『論語と算盤(上)』

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渋沢栄一

「偉い人」と「欠点のない人」

偉い人になるのがいいことのように思う風潮がありますが、そうではなく「常識の人」である欠点のない人が必要とされている。
智・情・意のどこかで突出しているのではなく智・情・意の3つをバランスよく備える。歴史書に出てくる英雄や豪傑には、何かと智・情・意の3つのバランスを失っていた人が多い。つまり彼らの中には、「意志は非常に強かったけれど、知識は足りなかった」とか「意志と智恵はそろっていたが、情愛に乏しかった」とかいった性格の人がいくらでもいました。

このような人はいくら英雄や豪傑でも「常識的な人」とは言えません。なるほど、一面から見れば非常に偉い点がある。非凡なところがある。普通の人には到底かなわない点があるのは間違いない。しかし、「偉い人」と「欠点のない人」とは、大きく異なるものです。

「偉い人」とは、仮に人間として備わっているべき性質のすべてに欠陥があったとしても、その欠陥を補ってあまりあるくらい超絶した能力を持っている人のこと。これを欠点のない人と比べて言えば「変態」です。
それに対して「欠点のない人」とは、智・情・意の3つが十分に満ち足りている人のこと。すなわち「常識の人」です。

私はもちろん、偉い人が出てくることも希望していますが、大多数の社会人に対する希望としては、むしろ「欠点のない人」になり、社会をそういう人でくまなく満たしてほしいと願っています。
つまり「常識の人」がもっと多くなることを希望しているのです。「偉い人」の使い道は限られていますが、「欠点のない人」ならいくらでも必要なのが今の世の中です。現代のように、社会のシステムがきちんと整備されつつあるときには、常識を備えた人がたくさんいて働くだけで、何の欠乏も不足もない。「偉い人」の必要性は、特殊なケースを除けば無いのです。

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感謝、称賛、報酬してる?

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 松本晃

日本では、大きな業績をあげた人に対する報酬は貧弱だ。だから、ヘッドハンターが暗躍し、会社にとって貴重な人材が簡単に引っこ抜かれる。

報酬の魅力だけで会社を移る事が日常化している。それでは、お金だけで人材を引き留めておけるか、それはNOである。お金で採った人は、お金で取られるからだ。

良い事には、常に感謝。輝かしい業績には、事ある事に称賛。稼いだ人には報酬。この3つをバランスとって、会社の文化にすることで、社員は会社を愛し、活躍し続ける。

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天に徳を積む

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天理教本部長、山田清治郎

日々通らせていただく心によって、人は埃を積むか、徳を積むか、いずれかである。

世の中に、こういう人がある。おれは他人の世話にならぬが、その代り他人の世話もせぬと言うて、これが当たり前と思っている。こんな人は、如何に徳が在ろうとも、日々に減らす一方である。

それを、日々に人の助かるよう、喜んでいただくようにと、心がけたなら、徳はますます積まれ、埃も払わせていただけるのである。
今日の人は、なるだけ働かないで得を取ろうと頑張っている。人の見ている所では人一倍働いて、人のおらぬ所では怠ける。十分のうち八分しか仕事をしないで十分のお礼を受ける。それは、人は知らぬけれど天が知っている。後の二分は、天に借金していることになる。

世の中では、そういう人を才子や、出来る人と言うが、神様から見れば、埃を積んでいるのである。その埃が積もり重なって、病気災難に遭うようになるのである。
それを反対に、八分すべきものを十分働いて、人の為に尽くしてやったならば、世の中では、馬鹿や阿呆と言われるけれど、神がお見通しである。
余分に働いた二分は、天に徳を積んでいるのである。そして、その徳により、日々自由を叶わせていただく事ができるのである。

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