『「つながり」で売る!』

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藤村正宏

今、もっとも大事なこと。それは、世の中の変化を認識することです。世の中に流通する情報量が爆発的に多くなりました。そんな環境ですから、あなたの会社の販促物を見てもらえるというのは奇跡的なこと。あなたの会社の販促物もその膨大な情報の1つなのですから。

スマートフォンの普及が、人々の消費を変えました。スマホを使っている人は、場所も時間も選ばず、24時間365日インターネットにつながっている。だから、真夜中に商品が欲しくなっても、すぐに買い物ができる。実際の店舗で商品を見て、その売り場でスマホを使って値段の比較も瞬時にできる。品揃えが多いとか、価格が安いとか、そんなものはもはや「価値」ではありません。さらにスマホでゲームをしたり、音楽を聴いたリ、映画やドラマを観たり、娯楽の部分で活用している人も多い。あなたのお店にわざわざ行く時間、あなたのブログを見てもらう時間、あなたの会社の販促物を見てもらう時間は、確実にスマホに奪われています。

SNSの日常化で、人々はつながりやすくなり、友達や知り合いとのコミュニケーション時間が増えています。これが、マーケティング的に社会に影響を与えないわけがありません。好むと好まざるとにかかわらず、SNSを利用している人々の行動は、すべての企業活動に影響を与えます。さらに、SNSは、リアルのソーシャルに近づこうと加速度をつけて進化しています。もはや水道や電気のようなインフラに近づいている。いや、もうすでに完全にインフラ化している。Facebookやツイッター、インスタグラム、LINEなど、年代や性別を問わず、みんな普通に使いまくっていて、特別なものではなくなっています。

そういう環境で、今までのような新規客獲得を目的にしたマーケティングをやっていたら、なかなかうまくいかないのは当然のことです。従来のマーケティングは通用しなくなってきている。こんな状況下では、たくさんの人との「つながり」が一番重要になってきます。だから、買ってもらう前から、SNSでコミュニケーションすることが大事なのです。SNSで楽しみながら、関係性をつくり出し、深めていく。あなたを中心として、お客さまのコミュニティができあがったら、これほど強いことはありません。

そのためにどうしたらいいか。それは気前よく役立つ情報や興味深い情報を発信して、お客さまとのコミュニケーションをとって、共感を得ること。そうしたら、あなたやあなたの会社を中心とした「コミュニティ」ができあがります。古いビジネスでは「お客を囲い込む」という言葉をしょっちゅう使っている人がいましたが、もうそんなことを考えていると、知らず知らずのうちにお客さまから敬遠されます。囲い込みをしようとした途端、それを敏感に感じ取り、お客さまは遠ざかります。理想は、あなたの発信に共感してくれた人たちが自然に集まってくるコミュニティです。なんの規制もない、会員制でもない、出入り自由のコミュニティを、あなたのSNSを中心につくること。これが今の時代の繁盛の法則です。

SNSの情報発信においては、ケチな人の評判は悪い。自分の情報を、無料で、気前よく発信する人に人気が集まる。もちろん、もうすでに有名な人が発信する情報については、有料の場合もあるが、それはごく限られた人たちだけの話。
情報は出さなければ、入ってこない。先に与えるからこそ、自分の欲しいものが後から入ってくる。出し惜しみをしない人に運がやってくる。けち臭い人には運はやってこない。「SNS時代に繁盛するには」楽しみながらSNSを活用し、多くのつながりを得てることです。

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『「産業革命以前」の未来へ』

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野口悠紀雄

いま、世界のビジネスモデルは大転換しようとしている。これに伴って、組織のあり方や人々の働き方も大きく変わる。そうした変化を先導できる国や企業や個人が発展し、変化に対応できない国、企業、個人が遅れを取り、衰退する。大航海時代から産業革命を経て、現在にいたる長い歴史の流れをみる。

いまどき「大航海時代を振り返る」などと言うと、「なんたる時代錯誤」と思われるかもしれない。確かに、これは500年も前のことだ。しかし、世界は、その時と同じような大変化を迎えようとしている。それは、一言でいえば、産業革命以前の独立自営業の世界への「先祖がえり」だ。
産業革命以降続いてきた流れが、いま大きく転換しようとしているのである。産業革命以降のビジネスモデルの基本は、さまざまな工程を1つの企業の中に統合し、組織を大規模化することによって、効率化を図ろうとするものだった。
しかし、1990年代以降、新興国の工業化や情報・通信技術の進歩によって、この基本が変わりつつある。新しい経済において重要なのは、大組織の中で決まりきったことを効率的に実行することではなく、まったく新しいビジネスのフロンティアを見出すことだ。それに成功するかどうかが、これからの企業や個人のあり方に大きな影響を与える。

「産業革命によって垂直統合化・集権化・組織化が進展したが、新しい経済の最先端は、それ以前の時代の分権的ビジネスモデルへと先祖がえりしつつある」ということになる。
ただし、「大組織か、小組織か」ということについての先祖がえりは、まだ現実には生じていない。現在の社会において大組織がいまだに支配的であることは、否定できない。だが、経済活動の中心が産業革命前のような小組織や個人に移る萌芽はすでに見られる。人々の働き方においても、フリーランサーが増えつつある。『アメリカでは、組織を離れて働く「フリーランサー」が増えている。

情報技術が進歩した結果、仕事の進め方に関する自由度が高まり、1ヶ所に集まって仕事をする必要性が薄れたからだ。高度の専門家について、とくにこのことが言える。こうした仕事を斡旋するためのスマートフォンアプリもある。これまでフリーランスと言えば、農業や小売業などが主だった。最近の特徴は、それが高度な専門家に及んでいることだ。アメリカにおけるフリーランサーの数は、5730万人だ。これは、アメリカの労働人口の35.8%になる。このレポートは、2027年には、フリーランサーが8650万人で、50.9%と過半を占めるだろうと予測している。

ダニエル・ピンクは「フリーエージェント社会の到来…“雇われない生き方”は何を変えるか(ダイヤモンド社)」において、人々は、組織から離れ、独立自営業になり、肉屋と燭台職人の時代になるだろうとした。
これは、まさに、工場制工業出現以前の社会だ。それが現実のものになろうとしているのである』現在、働き方改革が声高に叫ばれている。今後、色々な改革が進むが、その中でフリーランスのことはあまり多く語られていない。しかし、これからの時代はフリーランスという働き方が、様々な職業で出現してくるはずだ。

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