『「完璧なリーダー」は、もういらない』

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組織開発ファシリテーター、長尾彰

「今日から、あなたがチームのリーダーです」職場や学校で、ある日突然そう言われたら、あなたはどうしますか?
「望むところだ!」と気合を入れる?自信はなくても、「頑張ります」と、挑戦してみる?「私には務めあげる自信がありません」と、辞退する?
リアクションは人それぞれに違うと思いますが、「自分はリーダーに向いているのだろうか。リーダーの素質はあるのだろうか」などと、悩む必要はありません。

大丈夫、あなたはリーダーになれます。なぜ僕がそう言い切れるのか。じつは、リーダーに必要とされる「リーダーシップ」は、あなたがすでに持っているものだからです。現在、会社や組織の中でリーダー的な役職・ポジションについている人はもちろん、1度もリーダーを経験したことがないという人まで、すべての人たちに備わっているので、個々の能力や素質は関係ありません。あるとすれば、リーダーシップを「発揮するか、しないか」の違いだけ。

日本社会における組織の形は、これまではトップダウンによるヒエラルキー型が一般的でした。リーダーとは「長」という肩書を持つ人や、組織をまとめるポジションを意味することが多く、課長・部長・社長といったマネジメント層の人たちを指している場合がほとんどです。学校ならば学級委員長・生徒会長などですね。

リーダーたるもの、行き先や生き方を迷うことなく先頭で示し続け、人々はその背中に憧れ、尊敬しながらついていく…。このようなカリスマ的なリーダーが企業や組織を牽引することで、日本の経済産業はめまぐるしい発展を遂げてきたのです。確かに、これまでの社会はそれで安泰でした。でも、時代は大きく変化しています。その変化のスピードはどんどん速くなり、物事の結果がすぐに出てしまうにもかかわらず、予測の不確実性が高く、誰も「正解」がわからない…。自信満々で有無を言わさずに「こっちへ行くぞ!」と、みんなを牽引するようなカリスマ的リーダーは減少し、個々が自分の行き先を考え、自己責任を負うようになりました。率先垂範・不動不惑のリーダーは通用しなくなりつつあり、「総リーダー時代」に突入しているのです。

それなのに、「リーダーたるもの、優秀でなければならない」という呪縛が、未だにどれほど多くの人たちを苦しめていることか!こうした固定観念に囚われて自信がない人ほど、「私はリーダーに向いていないのでは?」と悩んだり、リーダーであることに精神的負担を感じたりしてしまうのです。また、「正解」にこだわり、柔軟な思考や大胆な発想ができなくなる人もいます。

優秀なリーダーが悪いわけではありません。ただ、優秀でなくてもいいのです。リーダーシップは、チームや組織を束ねるポジションにいるかどうかに関係なく、組織に所属するすべての人たちが発揮できます。もちろん、あなたも。ではどうやってリーダーシップを磨くのかと言うと、方法は至ってシンプル。「~したい(Want)」という自分の意思を、周囲に発信することです。
たとえば会議中に、1人の男性が「ちょっと休憩にしませんか?」と、提案したとします。このとき、彼はこの場におけるリーダーの役割を果たしています。さらに、別のメンバーが「だったら私、コーヒー買ってきたいな」「では、15分ほど休憩にしましょうか」などと提案すれば、その人たちもまたリーダーになるのです。メンバーそれぞれが「~したい」という意志を発信することによって、チームの合意形成や意思決定が成されるので、これらすべてが、立派なリーダーシップと呼べるのです。

従来の「リーダーは常に固定された人物」という考え方ではなく、チーム全員がリーダーであり、状況に応じて誰かがリーダーシップを発揮する。リーダーというバトンを、メンバーのあいだでクルクルと回している状況をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。

脳力開発の城野宏氏は、「リーダー」についてこう語っている。
『形式上のリーダーの地位にある人が、必ずしも真のリーダーというわけではない。その人の地位や権限が何であろうとも、周囲に対し本質的な影響を与えるだけの「変化の土台づくり」を地道に確実に進め得る人物こそ、人間としての本物のリーダーである』
変化の激しい現代は、経験豊かな熟練のリーダーだけが問題を解決できるとは限らない。むしろ、その分野に関して、全く知らない素人や、新人の方がリーダーシップを発揮できることがある。
「知らない」ということを自分で自覚しているから、多くの人の意見を聞くことができる。反対に、経験豊かなリーダーは、過去の経験があるために、他人の意見を聞かず、自分や側近だけで判断を下しやすい。

ITやAIの急速な進化により、思いもよらない新技術や大変革が起こる現代は、なまじっかな知識や経験があると、逆に対応できないことは多い。知識や経験があるとそれにとらわれ、新しい技術や考えを受け入れられないからだ。「完璧なリーダーはもういらない」新しい形のリーダーが今、求められている。

エンシンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾

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「返報性の法則」

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西田文郎

ちょっと調子がよくなるとほとんどの人が、自分は優秀だと誤解しはじめます。これは他人事ではありません。しかし、「自分はデキる」と思っている人間に、本当にデキる人はいないし、「自分は優秀だ」と考えている人間に、本当に優秀な人がいたためしはありません。自己満足は、未来へ進む力を奪います。

スポーツメンタルの指導経験から、はっきり断言できますが、本当にデキる人間、本当に優秀な人間は、間違いなく「自分はまだまだである」と思っています。謙虚だからではではありません。いつも未来の目標に向いていて、それと現在の自分を比べているので、「まだまだ」としか思えないのです。

志の低い人間ほど、すぐ図に乗ります。志が低いから、すぐ舞いあがる。大成功者から見れば、成功どころか失敗でしかないレベルなのに、なぜかいい気になり、思いあがり、「自分はデキる人間だ」「優秀だ」などとカン違いしはじめるのです。残念ながら、今の日本はそんな人間ばかりです。

調子に乗り、勢いづいている人のところへは、人が寄ってきます。勢いよく流れる川が、まわりの水を集め、しだいに大河になるのと同じです。人は勢いのあるものが大好きで、未来に向かって勢いよく流れているものに魅力を感じ、本能的にそこに集まります。人は未来のイメージが欲しいのです。人が集まるということは、チャンスや才能が集まるということであり、イヤでもツキや運が寄ってくるということです。
1人では、絶対に勢いには乗れません。調子にのって勢いづくには、未来のイメージを分かち合い、支えてくれる仲間が必要です。一方、図に乗るには1人でも十分です。というより、1人でなければ、図には乗れません。そのうえ図に乗っていると、まわりの反感を買い、嫌われ、だんだんひとりぼっちになっていきます。孤独ほど人の運勢を悪くするものはありません。このことをぜひ覚えておいてほしいのですが、「孤独なのにツイている」「ひとりぼっちなのに運がある」、そういう人を私は1人も知りません。

『世の中をナメていいる人間は、いつか必ず大失敗します。ナメてかかると、いずれ相手に復讐されるというのが、この世の法則だからです。これを「返報性の法則」といいます。
他人を疎んじていると、必ず他人に疎んじられ、お金を軽んじていると、必ずお金に軽んじられ、健康を無視していると、必ず健康にも無視される。逆に他人を大切にする人は、人間関係に恵まれ、お金を大切にする人は、お金に恵まれ、健康を大切にする人は、健康に恵まれるようになる。雑巾だって大切に使えば、長持ちしてくれます。

この返報性の法則をしっかり理解し、大切なものを大切にしてさえいれば、どんなに不幸になりたいと思っても、そうそう簡単に不幸にしてくれません』
人は、未来感を持つ会社や人に魅かれる。未来感という未来のイメージだ。反対に過去のことばかり言っている会社や人には、人は寄りつかない。
未来へのイメージを持つからこそ、そこに希望があり、夢がある。未来を大切にする人は、未来から大切にされる。過去を大切にする人は、過去に生きることになる。過去に生きる人は、愚痴や、泣き言や、不平不満やグチが多い。いくつになっても、未来に好奇心を持ち、未来を大切にする。

エンシンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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