紺野登、野中郁次郎

確かに、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の経営者と日本の経営者を比べると、明らかに「構想力」に違いがある。でも正直、日本人はよほど努力しないとアメリカ人が持っているような構想力は持てない。

以前、ペンタゴンで働くアメリカ海軍のエリートと話したことがありますが、会話から感じたスケール感がすごい。アメリカ人は、自分たちが世界政府だと思っていますから、視野が広いし、全体を見渡して構想する、という意識があるんですよね。一方、日本は島国ですから、どちらかというと、「周りで今、何が起こっているのか」「何が脅威なのか」という受け身の意識になりやすい。

フェルプスのいうように「イノベーションには新しいものの構想を練って開発を行なう創造と、それを先駆的な形で採用する段階のふたつが含まれ」るのであり、重要なのは構想ー創造ー採用(実践)の一連の働きを秩序立ててまとめ進めていくシステムです

構想力とは、個人、組織が発揮するケイパビリティ(能力)であり、想像力、主観力、実践力を合わせた「存在しないものを存在させる力」です。
それは新たな現実を紡ぎ出す綜合する力、物語り的(ナラティブ)な知です

構想は、過去・現在・未来にまたがる歴史的想像力によって生み出されるナラティブな智慧

目先の効率を重視する現場主義信仰は構想力の抑制に働きます
技術に優れているのになぜ儲からないのか、といった技術中心の問いは、それ自体が誤っている

構想力とは、よい問い(ビッグクエスチョン)の力でもあります
0(ゼロ)を基準とした正の数と負の数という発想が生まれ、負の数が数として認知されることで数の世界は革命的に拡張しました。
「0を加えても引いても、何も変化しない」「0をかけると、何もかもが0になる」「何かを0で割ることはできない」などのように、0(ゼロ)は独特の世界を持ち、そこを起点としてさらなる構想を人間にもたらす存在であり続けています。つまり「存在しないもの」であるゆえに多くを生み出すことになった

「リンゴが落ちるならば、月も落ちるはずだ」という思考実験が行われました。そして、地上と天上とはまったく異なる世界だというそれまでの常識を180度くつがえす視点の転換をなし遂げたのです

構想力にとって、アート(芸術や制作、その行為)は本質に関わるものとなります。真善美を目指し、人間の想像力を解放する媒介となるからです

フランクルは、アリストテレスのいう人生の究極の目的としての幸福に対して、収容所生活のなかで疑問を持ったのかもしれません。彼は極限状況のなかで自殺願望を口にし始めた被収容者たちに「生きる意味」の転換を促します。
それは次のような言葉です。「私たちが生きることから何を期待するかではなく、むしろひたすら、生きることが私たちから何を期待しているかが問題なのだ」

ツイッターの創業者の一人だったジャック・ドーシーは、知人のアーティストがクレジットカードを受け入れなかったために作品を売れなかったという話を耳にします。
ドーシーは身近な小さな事象からの発見を事業や発明に結び付けるというやり方を好むことで知られていました

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