『数字は人格』

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小山昇 12210blog

財務3表のうち、経営において一番大事なのは、
貸借対照表(バランスシート・B/S)ですが、
多くの中小企業経営者は、
損益計算書(P/L)は見ても、B/Sは見ません。

「黒字倒産」という言葉があるように、
会社はたとえ儲かっていても潰れることがある。
資金が回らなくなった時が、会社の最期なのです。

だからこそ、資金の状態、経営の健全さをチェックする上で、
B/Sが大事。

森社長が社員を救えたのは、
慈愛の心を持っていたからだけではない。
高額の治療費を払って飛行機を一台チャーターする
「キャッシュ」を持っていたからです

無借金にこだわれば、
社長の意思で自由に動かせるキャッシュの量が増えません

経営は「率」ではなく「額」

2008年度に限れば、その約2分の1は“黒字倒産”でした

お客様増、社員教育、インフラ整備──
この3つに適切に投資し続ければ、
会社は継続的に成長していけます

キャッシュをつくる方法は、
「(1)事業で利益を出す」「(2)減価償却する」
「(3)銀行から借り入れる」、この3つしかありません

モノはなるべく早く捨てて、
新しいモノを買うために借金をするのが正しい

奥さんが主婦感覚で経理をしていたら、
1円単位のコストカットが進むと同時に、
100万円単位、1000万円単位の投資にもブレーキがかかります

個人の感覚で投資のことを考えていたら、成長が止まります。
会社は、借金してキャッシュを持ち、
それを未来に投資するのが正しい

変動金利より固定金利

1億円の土地があって2000万円借りたいなら、
土地を分筆(一筆の土地を数筆の土地に
法的に分割する)して、
2000万円分だけ抵当権をつけます。
残りの8000万円は、いざというときに担保として活用する。
手間とコストをかけても、そのほうが安全です

「資産は上へ、負債は下へ」が社長の仕事

商売を継続的に回していくには、
取引先の利益にまで気を配る必要があります。
そう考えると、支払いサイトが長いのはダメ。
買掛金はできるだけ減らして、
そのほかのところ(B/Sの「負債の部」の下のほう)で
資金調達してキャッシュを蓄えることが正解です

支払手形をゼロにできたら、当座預金口座をなくしてもいい

人件費を抑えたければ、ムダな仕事を減らすのが一番

投資先は「お客様増」「社員教育」「インフラ整備」の3つだけ
奥さんに経理をやらせてはいけない
「資産は上へ、負債は下へ」が社長の仕事
お客様は信用しても、支払手形は信用しない

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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『働き方の問題地図』

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沢渡あまね、奥山睦

これから日本の職場には、「7つの無慈悲」が襲いかかる。
(1)無慈悲なグローバル化
(2)無慈悲な少子高齢化
(3)無慈悲な家族問題
(4)無慈悲な育児問題
(5)無慈悲な女性活躍圧力
(6)無慈悲な雇用延長
(7)無慈悲な地球環境

突然のM&Aで外国企業の傘下に入る可能性、
同僚や上司が外国人になる可能性、
親が要介護状態になる可能性、
共働き育児でトラブルになる可能性、
雇用延長で身体がキツイなど…。

このまま何も改善せずに事を進めていけば、
働き手が疲弊することは間違いなさそうです。

あと5年もしたら、英語ができない研修講師は
登壇できなくなるのではないか?

外国籍の人が日本の職場に着任して、まずとまどうのがこれ。
「自分の配属先が何をする部署なのか、わからない」

海外の企業では、人を雇うイコールその人の専門性を買う。
それに対し、日本はその人の時間を買う発想が強い。
よって、「時間内はなんでもやってください」になりがち

〇5つの要素で自部署を定義してみよう
(1)目的 その仕事は何のために、誰のためにおこなうのか?
(2)インプット その仕事を進め、成果物を生むために、
   どんな情報・材料・ツール・スキルなどが必要か?
(3)成果物 生み出すべき完成物あるいは完了状態は? 
   期限は? 提出先は?
(4)関係者 巻き込むべき関係者・協力者は? 
   インプットは誰(どこ)から入手すべき? 
   成果物は誰のため?
(5)効率 その仕事のスピードは? 生産量は? コストは?
   人員は? 歩留まり(不良率)は?

レゴブロック(デンマークのブロック玩具)や、
IKEA(スウェーデンの家具量販店)の家具の組み立ての
説明書をご覧になったことはありますか? 

言葉はいっさいナシ。
絵と図と番号(順番やパーツ番号)だけで描かれています。
そのメリットは2つです。
・多言語対応が不要
・ユーザーに優しい

「餅は餅屋」が生産性アップ、不正防止につながる

〇全国47都道府県の通勤・通学時間(総務省統計局・2016)
全国平均、片道1時間14分。
トップは神奈川県で、なんと1時間40分!
(ちなみに、睡眠時間の長さランキングの最下位も
神奈川県です)

出社主義の働き方が私たちを弱体化させる

テレワークなら仕事とプライベートを交互におこなえます

最近のテレワークツールは、プレゼンス確認機能といって
パソコン上で相手の在席・離席状況を確認できたり、
チャットでチームメンバーとリアルタイムに
会話できたりします。
離れていてもストレスなくコミュニケーションすることができる

「効率よく仕事をしているかどうか?」を評価基準に置く

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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神になりたかった男 徳田虎雄

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山岡淳一郎 

「徳洲会」を築いた男、徳田虎雄の評伝。

「ベッドは、いま苦しんでいる人のためのものや」

「そもそも医療とは何か」と徳田は自問する。
庶民の命と生活を守るものだ。
医者の都合で救急患者を断るのはもってのほか。
すべて受け入れよう。
患者さえ集まれば病院は経営できる。
医療が手薄な過疎地こそ、患者は多いはずだ、と見通した

弟の容態は悪化した。夜が明けて、
虎雄は別の医者を呼びに行く。
状態を聞かれ、「白目をむいている」と伝えた。
昼を過ぎてようやく医者が来たが、すでに手遅れで
弟は冷たくなっていた。
たとえ助からない病気だったにしても、
医者にも診てもらえずに死んだ弟が哀れで仕方なく、
怒りと悲しみが込み上げる

死亡者1552人のうち約22%の348人は
現場から病院への搬送途上で亡くなっていた

徳洲会は徳田個人の創造物ではなく、
ひとつの社会運動体であった

いつでも誰でも診る徳田の実践は、
関心のない者の反感を買う一方で、共感者を強く惹きつけた。
医療者の本能を刺激したのだ

父は、虎雄が出立するとき、こう言い渡した。
「成功するまでは生きて帰るな。
死ぬんだったら、鉄道線路もあるし、海もある」
徳之島には「家梁水粥(やんきちしきばん)」という
言葉がある。
米をひいた粉の粥があまりに薄くて家の梁が映るほどの
貧しさに耐えても、親は子どもに仕送りをして
教育を受けさせるという意味だ。
徳田家は貧しく、家梁水粥の見本のようだった。
父は、長男に命がけの覚悟を求めた

進出阻止で固まった医師会は、宇治市に対し、
徳洲会の進出を認めるのなら、小中学校の校医をボイコット、
予防接種を拒否する、と圧力をかける
学校医のボイコットは逆効果だった。
子どもの生命を人質にとったような対抗策は世論を敵に回す

勝利の美酒に徳田は酔った。有頂天だった。
身内の支持者の集まりで、
つい金丸への2000万円の鼻薬が効いた、と
得意げに喋ってしまう。
その声を録音した者がいた。ここが運命の分かれ目だった

徳田は、使えると見込んだ人間が金を欲しがれば金を、
ポストを求めればポスト、色を欲すれば色、
理想を追いたがればその対象を、瞬時に見分けて与えた

よく『組織ぐるみ』と言われますが、
人と金を動かしていたのは徳田さんとファミリーです。
医療の現場は、与り知らぬところです。
病院や介護施設の現場はひたすら、生命を救いたい、
患者さんを治したい、治らなければ見守りたいと
愚直に取り組んできました。
だから徳田家の人や幹部の動機がどうであれ、
あれだけ巨大な組織になったのです。
誰が上に立とうが、医療は医療なのです

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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『大量生産品のデザイン論』

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グラフィックデザイナー佐藤卓

パッケージデザインの判断指標は以下の3つ。

・「価値(バリュー)」を伝える
・「印象(インプレッション)」を現す
・「知覚(シズル感)」を誘う

大量生産品のデザインは
それ単体としての「デザイン」の存在だけでは
機能しない(評価し得ない)。
販売チャネル、幾多の売り場を経由して、
そこに陳列されてこそ機能する(評価される)ことになる

本当は、パッケージデザインの良し悪しだけで
商品を売ることはできないのです。
つまり商品にはもともと価値があって、
その価値や魅力がきちんと表現されているデザインであれば、
自ずと売れるはずです

一つ気がついたのは、
クールミントガムの正面性についてです。
従来のパッケージでは、天面と側面に
ほとんど同じ要素が入っていました。
これは発売当初はパッケージされている枚数が
少なかったため、商品の正面と言えるのは、
ガムの幅にあたる天面だけだったことに由来しています
パッケージをよくよく眺めていると、
この天面と側面のデザインがほとんど同じくらい、
視界に入ってくることに気づきました。
つまりクールミントガムの正面は、天面と側面の二面、
斜めから見た角度だったのです。
このことに気がつくと、俄然自由になりました。
今までの二倍の広さでデザインを考えればいいからです
側面に5体のペンギンを並べました。
しかも右から2番目のペンギンにだけは、手を挙げさせて…。

今までのファンというのは、
まさにメーカーにとっての財産です。
そんなファンにどれくらいの変化までは許容してもらえるか。
それと同時に、
新しくなったことへの嬉しさや楽しさを感じてもらえるか。
その許容値を探ることが、リニューアルにとっては大切なこと

キシリトールの特徴は、
何となんといっても「歯に良い」ということにあります。
そこでこの時は、歯磨き粉や歯ブラシといった、
デンタル用品のイメージからデザインを構成することを
すぐに思いつきました。
そこからは「デンタル」というイメージが
ガムという食品になじむような調整を
行っていけばよいわけです。
そしてシンボルマークになったのは奥歯を真上から見たところ

「そのまま」というキーワードが誕生したことによって、
みんなが共有できる「軸」ができたのです。
この時に身を以て体験したのは
「言語が明快になるとデザインも定まる」ということです

細かいことですが、青に変更した際には、
白い地色と青い色を敷いたその境界に細い線を入れました。
この線を入れることで、
丁寧につくられているという印象がグッと高まるのです。
またこの細い線は、店頭に置かれた時に、
遠くからは見えませんが、近づくと見えてくる。
つまり、距離によって情報が変化するのです。
それは、パッケージの正面、「おいしい牛乳」という
ロゴのベースに、白い牛乳が注がれているグラスの写真が
敷かれているヴィジュアルも同じです。
遠くからは単に白い地色に見えますが、
近づけばグラスがあることがわかる

「商品の魅力をどう伝えるか」はビジネスにとって一大事。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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『何もしない方が得な日本』

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 同志社大学教授太田肇

何もしないことが得になる近年の風潮の広がりが心配だ。
例えばコロナを理由にしたイベントの中止など、
何もしないことによる安全の確保=安全地帯への逃げ込みが
目立つ。そこには「出る杭になって打たれたくない」という
心理が働いている。
つまり、個人の利益や保身のためには、
何も積極的にやらないことが一番いいという考え方だ。
これが連鎖すると「中止ドミノ」が生まれて来る

こうした回避行動は「エクスキューズ症候群」とも呼べる。
冷静な計算に基づく確信的な不作為であり、
社会の仕組みやシステム造りの原点に構造的な欠陥がある。
一度失敗してしまうとゲームが終わってしまう
「トーナメント型キャリア」も要因の1つだ。
そこでは組織の人間関係も挑戦を阻害する要因になっている。

こうした消極的率主義が蔓延するようになった背景には、
日本社会が一種の共同体に近い性質を備えているからだ。
閉鎖的で同質的な組織は「ゼロサム」でパイを奪い合う。
さらにメンバー間で大きな差を付けない
平等性が内在しているので
人間関係が固定化され、
メンバー同士の濃い関係が組織運営に反映される。
そうした組織には、
存続し繁栄していくための意思や構想が欠けており、
挑戦を阻害する隠れたコストなっている。

では、こうした社会を変革するにはどうすればいいのか。
「する方が得になる仕組みを作ることだ」
まずは、挑戦する人が自分の利益を脅かされない
仕組みを作るための防波堤を作る。
そのために、集団から個人を分ける。
次に、既存の組織や制度の枠外に
別の制度を設けることで「新しい橋」を架ける。
さらに、その橋を渡らせるために
各種のインセンティブを用意して人々を誘導し
先導役としての異質な人材を活用することが鍵になる。

何もしない先には、絶望的な未来が待ち受けており、
結果として自分の利益に反することになる。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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『なんとなく、始めよう』

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中谷彰宏

世の中で偉人と呼ばれる人は、
本来、別になりたかった仕事がある人です。
習いごとも、なんとなく始めた人のほうが続きます。
最初から期待感がないからです。

アイドルの「たまたま友達の付き添いで
オーディションに行ったら、
友達が落ちて、私が通った」という話は、実話です。
マネージャーのつくり話ではありません。
必死でないほうが通るのです。

新しいホテルができた時は、どんなホテルか誰もわかりません。
創業時の立ち上げの時に入った人たちは、一生懸命です。
5年ぐらいたった時に、そのホテルはトップになりました。

求人に応募者殺到です。
人数は大体そろっているので、採用数は若干名です。
何百倍もの競争率になりました。
それを勝ち上がってきたのですから、
本来はすごいモチベーションです。
それが「ちょっと思っていたのと違う」と言って辞めるのです。

これは最初に期待値が上がりすぎていることが原因です。
「思っていた仕事ではなかった」と言って辞める人は、
第一志望の会社に入れた人なのです。
その人は、テレビのドラマを思い浮かべていたのです。

僕はホテルの研修の仕事をしています。
ホテルのドラマは定期的に放送されています。
ホテルのドラマがオンエアされたあとは、
ホテル志望者が増えます。
同時に、1年目の離職率が高くなります。
第2新卒が増えるのです。
ドラマと混同して来るからです。

実際は、ドラマでは描かれないような
裏の大変なことがたくさんあります。

《第一志望でないほうが、続く。》

昔の結婚のプロポーズの言葉は、
「私と一緒に苦労してくれないか?」というものが多かった。
つまり、苦労するのが前提となっている。

しかし、昨今は、「君をもっと幸せにするから」が多い。
それは、今が幸せだけれど、もっと幸せになろうということ。

期待値が上がれば上がるほど、
それと違ったときの落胆の度合いは大きい。
結婚に限らず、何かを始めるときの期待値が
低ければ低いほど、物事は長く続く。

「苦労するのがあたりまえ」であり、
「うまくいかなくてあたりまえ」なのだから、
何かトラブルや困難が起こってもあまりうろたえない。

期待値を上げずに…
「なんとなく、始めよう」

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか

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プチ・レトル 122180 blog

アマゾンは物流システムを重要視する中で、
最高の人材をそこに配置するようにしています。
倉庫管理者の多くは、MBAを取っている人間です。
新卒採用された東大卒の若手さえも、
倉庫でピッキングをするところから仕事を始めます

一般的な日本企業では、物流部門の社員に
そんな高い給料は払えない、という話になりますが、
それは物流に対する
経営層のコミットメントの違いによるのです

倉庫管理に優秀な人材をあて、ハイテクを駆使し、
徹底したマージンコントロールを行う。
このようにして、倉庫の効率を飛躍的に上げることで、
その利益を「安さ」という形で消費者に還元していくのです。
どこよりも安い品揃えに、自然と購買数が増える。
それによってさらなる設備投資が可能になる。
アマゾンは、このような無敵のサイクルを作り上げたのです

アマゾンは本を仕入れる際に、
各取次会社に様々な条件を提示して互いを競争させ、
最も条件の良い業者から順位付けをします。
そして、順位が上の会社から
優先的に購買リストを渡すのです。
たとえば、順位トップの会社がそのうち50%を納品すると、
次に2番目の会社に残りの購買リストが回ってきて、
そこが30%納品し、残りの20%が3番目の会社に流れる
といった仕組みです。
この仕組みを「カスケード」と呼びます

アマゾンの2016年12月期の売上高に対する
物流コストの比率は、13%

EDIを導入すると、受注、発注、出荷、請求、支払
といった取引データを、異なる企業間で
電子的にやり取りすることができます。
実は、他の会社とのこうしたシステム連携を
地道に行っているからこそ、
アマゾンではスムーズで迅速な配送が可能になるのです

アマゾンでは、一部大手製造業と同様に、
顧客からの注文が入った場合、
その注文を納品(フルフィル)するために考えられ得る
全ての納品経路(仕入先→倉庫→顧客)を算出し、
お届け日(納期)とコストを考慮したうえで、
最適な納品経路(フルフィルメントパス)を
決定するシステムを実装しています

アマゾンでは、最初からフリーロケーションを前提に
倉庫を作ります。
無数の商品を扱っており、
大抵は小ロットで注文されるため、
圧倒的にフリーロケーションのほうが向いているからです

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾

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『欲望する「ことば」』

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嶋浩一郎、松井剛
博報堂ケトル共同CEOの嶋浩一郎
一橋大学教授でマーケティング、消費者行動論、
文化社会学などを専門とする松井剛

言葉がわれわれの欲望を変え、現実を変えていく

突然ですが、質問です。
あなたは「加齢臭」を気にしたことがありますか? 
女性の方であれば、「女子力」を気にしたことはありますか? 

ある、という人に重ねて聞きます。
では、「加齢臭」あるいは「女子力」という
ことばができる前に、
それらについて気にしたことがあったでしょうか?

そうなのです。

われわれは、自分の欲望は自分の中にある、と
思ってしまいがちで
すが、じつは欲望は言葉によって作られるのです。
博報堂PR局は、これを「社会記号」と名付けた。

「ロハス」「第三のビール」といったことばは、
世の中の新しい動きや事象を説明するために
メディアがつくった社会記号ですが、
ロハスということばができたことによって
エココンシャスな商品が売れ、
第三のビールということばができたことで、
ビール各社の「新ジャンル」がヒットするという
現象が起こりました(嶋浩一郎)

「おひとりさま」という社会記号が定着するということは、
「他人に気を遣うより、自分が好きなように
外食や旅行をしたっていいじゃない」という欲望が
世の中に芽生えているということ(嶋浩一郎)

最初に取り上げるのは、「ハリトシス(halitosis)」
ということばです。耳慣れないことばですね。
これは「口臭」を意味する医学用語です。
このことばがよく知られるようになったのは、
1920年代のアメリカにおいて展開された
リステリンの広告がきっかけだと言われています
この広告キャンペーンは大成功を収め、
1920~21年は10万ドル程度だったランバート薬品の利益は、
1927年には400万ドルにまで達しました。
リステリンで口をゆすぐことが、
シャワーやひげそりと同様に、
朝の習慣としてアメリカ人に定着したのです(松井剛)

堅い専門用語を使った“病名”を付けることで、
この“病気”を治さなければ社会的な失敗をもたらすかもしれない
という固定観念を植え付けることができる場合がある(松井剛)

〇社会記号の8つの機能(松井剛)
自己確認 「コギャルでよかった」
同化 「コギャルになりたい」
寛容 「コギャルだからしょうがない」
拒絶 「コギャルなんて大嫌い」
規範 「コギャルなら茶髪・ルーズソックスでしょ」
課題 「コギャルのような不良は更生させるべき」
報道 「コギャルの生態を知らせたい」
市場 「コギャル向けの商品をつくろう」

新しいモノやサービスを売るためには、前提として、
まずカテゴリーを消費者や流通業者などに
認知させる必要があるわけです。
そのため、カテゴリーの社会記号は、
マーケティングの研究者から注目されてきました(松井剛)

カテゴリーとしての社会記号をつくる際に大事なポイントは、
代表例を消費者に認知させることになるのでしょう。
例えば「エナジードリンク」ならばレッドブル、
「サードウェーブコーヒー」ならばブルーボトルコーヒー、
「渋谷系」ならば小沢健二、といった具合です(松井剛)

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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寺山修司とポスター貼りと。

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笹目浩之

19歳の時、寺山修司が主宰するアングラ劇団の芝居を見て、
すっかり演劇の虜になり、以来、ポスター貼りを生業にして、
起業、演劇公演プロデュースまで手掛けてしまったという
著者による、興味深い半自伝的エッセイ。

「好きなことを仕事にしたい」という人は
世の中に数多くいると思いますが、
具体的にどうやったらいいか、
わからないで迷っている方が大半だと思います。

「ポスター貼りからでも好きな世界に関わることはできる」
ということと、好きなこと「だけ」を仕事にするには、
金銭的な誘惑を断ち切り、
好きなことだけやり続けられる
仕組みづくりをすることが大事だ。

周囲を見ている限り、
好きなことを仕事にすることはできても、
それが継続できていない人は多い。

自分サイズの起業を目指す人は、著者の考え方を学ぶことで、
無駄な誘惑、失敗を避けられる。

ポスターを貼りに行くという行為が、
街のいたるところや人々の生活の中にまで演劇や芸術的なものを広げるという、
どこか寺山さんの演劇論に近い行為だという勝手な認識もあった

それまでさまざまな仕事をしてきたが、
どれもぼくでなくてもできる仕事だったし、
代わりの人間はいくらでもいた。
その上、手に職があるわけでもなく稼ぐ手段を持たないし、
食えもしなかったのだ。
そんな精神的・肉体的にも
どん底のような暮らしがあったから、
ポスター貼りの仕事によってできた人と人との結びつきが、
ひとしお嬉しかった

人がやりたがらない仕事を引き受け、
時にバカにされながらも最底辺から演劇を見つづけ、
足で情報を集めてきたことで、
ある日それがプラスに転じることがある

一番いい場所にポスターを貼るのが目標だった

〇ポスター貼りの「三か条」
一、酒の席では絶対に仕事の話をしない。
二、ポスターの制作までは引き受けない。
  あくまでも貼るだけに徹する。
三、小劇団の人とは知り合いにならない。

手を広げれば売上は上がるというが、
それに対する経費やリスクが多くなれば、
安心して仕事に没頭することもできない。
いくら稼げるかよりも、
仕事をしていくら残せるかが大事だと思ったのだ

「どんなに小規模の公演でも、
スタッフとキャスト合わせれば10人くらいいるでしょう。
その人たちで10枚ずつポスターを持って街に貼りに出れば、
1時間で貼れますよ。
ウチに数万円払って依頼するくらいなら、
その分のお金を稽古や芝居の足しにしてください」
小劇団の関係者からポスター貼りの問い合わせを受けた時に、
ぼくは実際にこう言って断っていた

実は会社設立当時の若い頃に、
「壁の買い切り」を本気で考えたこともある。
でも、やめました。考えているうちに、違うなと思った。
壁を買い切ったならば、そのスペースを埋めるために
営業活動をしなければならない

自分を騙してまで世間の価値観に合わせようとしていたら、
いつになっても人に頼ったり甘えるだけだ

競合する相手がいないから、相場もなければ値引き合戦もない

「好きなことを仕事にする」といった場合、
好きなことが仕事になっていないか、
カタログから「探す」人が多いのですが、
それでは好きなことを、好きなやり方でやることはできません。

昔、カルチュア・コンビニエンス・クラブの増田さんが、
5W1Hの頭に「好きな」を付ければ理想の仕事になる、
とおっしゃっていましたが、
まさにそのためには「仕組みづくり」が重要です。

「好き」を仕事にするための考え方と仕組みづくり。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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