関西経済同友会、ハーバードフォーラム2023

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ロジャー・ポーター、ハーバード大学ケネディスクール教授

多くの企業がやりがちなのは、他企業のやり方を観察し模倣するということだが、この発想はゼロサムゲーム的な思考である。そうではなく、他社と協働・協力しwin-winを創り出す方法を考えるべきだ。生産性の高い企業は常に他社とのwin-win関係を見つけ出そうとしている。

生産性向上のためには人材の個性を活かさないといけないが、生産性を気にし過ぎると人材が育たないというジレンマがある。

成功している組織は最も優れた人、Best Talentを惹きつけ続けることができる。人材を巡っての競争は常にあるが、成功している組織は優秀な人材を教育し、重要なポジションに据え、しっかりとした効率の良いチームを構築している。

現在、米国の未充足の求人が直ぐに埋まらないのは、必要なスキルを持った人材をマッチングできてないからだ。

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『松下幸之助の教訓』

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「知っているだけではあかん。できる人を育てるのや」

松下幸之助が、「君、地球上の人口はいくらや?」と聞いた。テレビの話からいきなり人口の話になり、技術の責任者は、それなりに答えた。「そうか、たくさんいるな」とうなずきながら、「人間の顔は、概して、テレビより面積が狭いわな。そこについている部品の数も、みんな一緒や」と答えが返ってきた。次の瞬間、松下幸之助は、「神さんは偉いデザイナーやな。こんな狭い面積の中に、同じ点数の部品を並べながら、全部デザインが異なる。大したもんや」と言った。デザイナーは、言葉を失ったのである

人がどう言おうと、自分で自分をほめられるというようなことにならなければいけない。自分ながらよくやったというような仕事をもたねばならない

死ぬということは、この大きな天地の理法に従う姿であって、そこに喜びと安心があってよいのであります

「誰よりも熱心であれ」「物事は絶対に行き詰まることはない」

「君が大学を卒業するまで、どれほどの税金がかかっていることか。国のお金で育てた人たちは、言葉を変えたら、“天下の人”や。その“天下の人”を一企業で使わせていただくのやから、利益を上げて国にお返ししなければならない」

人の採用に際し最も心がけなくてはならぬことは、採用した人はいうまでもなく松下の社員となるのであるが、非採用者は将来松下電器のお客さんとなる人であるとの観念をもつことである

信長の長所を見て、それに共鳴したのが秀吉です。欠点を見て、欠点を是正してあげようとしたのが光秀であります。信長にしてみると、どっちが嬉しいでしょうか

世の中は自分の思う通りになるわけです。もちろん、自分の思う通りになるとはいっても、間違ったことを考えて、それでその通りになるかというと、そんなバカなことはない。やはり、自分の思うことがだいたい正しい時に、その通りになるわけです

実業人の使命というものは貧乏の克服である。社会全体を貧より救ってこれを富ましめることにある

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『ピーター・ティール』

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トーマス・ラッポルト

昭和の時代、起業は頭が悪くてもガッツがあれば成功できる、ユートピアでした。でも、今日の起業は、頭が良くないと成功できない「高度な知的ゲーム」に変わりつつあります。なぜなら、今日のフロンティアはサイバー上にあり、それは高度な抽象思考を通してしか開拓できないからです。

「頭がいい」と言っても、これまで日本でもてはやされてきた、「記憶優位の」頭の良さとは違います。無限にオセロの端を広げていくような、クリエイティブな思考、拡大思考、点と点を線に、そして面に展開していく展開思考です。

ある日、床に敷かれた牛革の敷物にすわりながら、彼はこれ(敷物)は何?と父親にたずねた。「牛だよ」ピーターはその答えに飽き足らず、その牛はどうなったのか知りたがった。「牛さんは死んじゃったんだ」と父親。ピーターはさらに、それはどういうことなのかと食い下がる。父親は、牛さんはもう生きていないこと、動物も人間も、お父さんもピーターも皆いつかは死を迎えるのだと教えた。

父親の話は3歳のピーターにとってショックだっただけでなく、今日にいたるまで、人生をよりよく、より長くする技術の発展にかかわるきっかけとなった機械や集団に対する個の価値、権力の腐敗といったトールキンの哲学的モチーフも、ティールの人生に大きな影響を与えた

いまでもティールにとって、ハーバードは間違った競争主義の象徴だ。2014年に彼がスタンフォード大学で担当したゲスト講義「競争は負け犬のもの」で、彼はハーバード・ビジネススクールを徹底的にこきおろしている。「あそこの学生たちはアスペルガー症候群の対極にあります。やけに外交的で、自分の考えというものを持っていない。2年間もこういう連中と一緒にいると、群集本能ばかりが発達し、誤った決断を下すようになってしまいます」

ティールの世界観と、ビジネスや投資判断の流儀に決定的な影響を与えたのは、スタンフォード大教授だった著名フランス人哲学者、ルネ・ジラールである。ティールはジラールの主著『世の初めから隠されていること』を哲学の基礎課程ではじめて読んだ。ジラール思想の核にあるのは模倣理論と競争だ。ジラールによれば、人間の行動は「模倣」に基づいている。人間には他人が欲しがるものを欲しがる傾向がある。したがって模倣は競争を生み、競争はさらなる模倣を生む

「壊れているものを探せ」──スタートアップの出発点は、いつでもこれだ

競争は負け犬がするもの。まわりの人間を倒すことに夢中になってしまうと、もっと価値があるものを求める長期的な視野が失われてしまう
採用面接の受験者にもいつも訊いている。「賛成する人がほとんどいない、大切な真実は何でしょう?」

PERの欠点は、成長率を考慮しない点だ。そこで成長率を企業評価に反映するために、「PEGレシオ」を用いる。これはPERを利益成長率で割って求める数値で、この指標によって株式を成長値で評価することができる。ティールは、PEGレシオは成長企業を評価するすぐれた指標であると考えている

完全競争においてはどの企業も利益を出せない。利益が発生すると、新しい企業が市場に参入し、その利益をさらっていく。独占はその逆だ。独占者は市場そのものを「所有」する

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『AI vs.教科書が読めない子どもたち』

新井紀子

衝撃的なのは、人工知能が既に「MARCH」合格レベルに達して
いること、さらに対する日本の中学生の読解力レベルが著しく低く、
正答率で見るとコイン投げ並み(正答率57%)だということ。

「AIがすべての仕事を代替する」や「シンギュラリティ」もウソで
すが、「AIにできないことを人間はできる」もウソかもしれないのです。



今の数学にはその能力はないのです。コンピューターの速さや、ア
ルゴリズムの改善の問題ではなく、大本の数学の限界なのです。だ
からAIは神にも征服者にもなりません。シンギュラリティも来ません

日本の中高校生の多くは、詰め込み教育の成果で英語の単語や世界
史の年表、数学の計算などの表層的な知識は豊富かもしれませんが、
中学校の歴史や理科の教科書程度の文章を正確に理解できないとい
うことがわかった

AIでは対処できない新しい仕事は、多くの人間にとっても苦手な仕
事である可能性が非常に高い

実は「AIはまだどこにも存在していない」

「いい感じの政治」を数値化することには無理があります。人の幸
福は数値化できないからです

威力を発揮したのが、「マジャール人は民族である」とか、「ピピ
ンは人物である」「死んだ人はそれ以降の事柄を起こせない」とい
うような、あまりに人間には当たり前すぎることをリストアップし
て整備した「オントロジー」です。オントロジーはモノゴトをコン
ピューターに理解させるためにつける名前や分類のことです

東ロボくんの世界史の解き方はワトソン同様、基本的に情報検索だ
とお話ししました。また、数学の問題文に特有の、正確で限定的な
語彙から成る文章であれば、論理的な自然言語処理と数式処理の組
み合わせでかなりの点数が取れることもお伝えしました。けれども、
そのふたつの方法では克服できない科目があります。国語と英語です

行く手を阻んだのは「常識」の壁でした

特に、論理と確率で扱うことが難しいのが、人間の意志です

数学が発見した、論理、確率、統計にはもう一つ決定的に欠けてい
ることがあります。それは「意味」を記述する方法がないというこ
とです

就学補助率が高い学校ほど読解能力値の平均が低いことがわかった
のです。つまり、貧困は読解能力値にマイナスの影響を与えています

AIでは絶対にできない仕事の多くは、女性が担っている仕事

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