人間関係にもコスパが大切だ 

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人間関係をよくしたいと思ったら、まず、 自分の体調を整えて、機嫌をよくしておく。体調と機嫌がよければ少々嫌なことがあってもスルーできるし、嬉しいことは素直に喜べるからです。そういう人とは、安心して接することができます。その心理的安全性が、人から選ばれる第一条件です。私たちの人間関係も、安全第一なのです。肉体的にはもちろん、精神的にも危害を加えられたくないし、恐怖や怒り、不安も与えられたくありません。その場の空気を壊す人も警戒しますし、嫌味を言って攻撃する人や、足を引っ張ろうとする人も敬遠します。そういうことをしないで安全である、という基本保障をすることが、人から選ばれるために欠かせません。

安全でない相手と一緒にいると、空気を壊すんじゃないか、攻撃されるんじゃないかと気が気でなく、リラックスすることも楽しむこともできません。もし親族であっても、そういう人とはちょっとずつ遠ざかっていくしかない。
お金持ちの人がどうしてお金持ちとしか付き合わないかというと、どれだけ稼いでいるのかとか、おごってくれとか言われる心配がなくて、心理的安全性を保てるから。また、普段の生活の話をしても、自慢話だと捉えられる心配もありません。

安全であることは人から選ばれるために欠かせないが、基本条件にすぎず、安全だけれども、こっちから話を振らないと会話が続かないという人は選ばれません。
なぜなら、一緒にいて楽しくなく、相手に、黙っているのは機嫌や体調が悪いせいなのか、などと気を使わせるからです。すなわち、コストパフォーマンスが悪いということ。この場合のコストとは金銭的な費用という意味より、気持ちの労力という意味を指します。そうしたコストがかからなくて、一緒にいて楽しくて、面白くて、役に立って、といろいろなメリットがある人は、多くの人に選ばれます。
私たちが買い物をするときは、できるだけ低価格で高品質のコスパのいいものを選ぶようにします。それで買ってよかったと思うものをリピートします。それとまったく同じで、人間関係も労力がかからなくてメリットが大きくてコスパがいいことが、 関係性が続く条件になる。

メリットを大きくする付加価値は、話題が豊富、面白いことを言って笑わせてくれる、気配り上手、アイデアが豊富などのほか、オシャレでセンスがいい、ということも含まれる。
もっとも黙っていると選ばれないからといって、自分の話ばかりするのもNGです。相手の話は同調しながら、ちゃんと最後まで聞いて初めて話す、というのが大人の会話の進め方です。相手が話している途中で、「わかるわかる、実は私もこういう体験があってね」と自分のことを話してはいけません。共感するとつい話したくなるものですが、相手が話す機会を奪うことになります。話すのは、相手の話が終わってからです。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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ESGとSDGs

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日経BP環境経営フォーラム・田中太郎より

ESGだが、環境(Environment)、社会(Social)、
ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもの。
企業の価値を測る尺度としては、
業績や財務の情報などが主流になっているが、
それだけでは企業経営の持続可能性を判断するには不十分だ。
そこで、環境・社会・ガバナンスといった
非財務情報を企業評価に取り入れようとする動きが
急速に拡大している。

もう1つのSDGsは、国連が2015年にまとめた
持続可能な開発目標のことである。
飢餓の根絶や地球温暖化対策など、
2030年までに世界が達成すべき目標を
17の大きな目標として取り上げている。

2017年7月に、ESGとSDGsが
時代のキーワードであることを示す
3つの出来事があった。

1つめは、世界最大の機関投資家である
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、
ESG投資を本格的に始めると発表したことだ。
ESGインデックスというものを導入し、
株式投資の運用に使っていくというのである。
まずは1兆円規模でスタートし、
今後どんどん拡大していく予定だ。
2016年度の世界のESG投資は約22兆円といわれているが、
日本ではそのうちの2%ぐらいしか占めていない。
今回、GPIFがESGインデックス投資を始めたことによって、
日本の世界シェアが高まっていくことが期待される。

2つめは、7月の半ばにドイツのハンブルクで開かれた
G20サミット。
そこでTCFDから注目すべき最終提言が発表された。
TCFDとは、世界の金融当局が構成する金融安定理事会が
特別に立ち上げたタスクフォース。
そのTCFDが提言の中で、企業に対して、
どんな気候変動リスクがあり、
それに対してどんな戦略を持っているかといった
情報を開示するように求めたのである。
これによって直ちに有価証券報告書に盛り込むように
義務づけることにはならないと思うが、
今後は、アニュアルレポートなどの報告書に、
気候変動リスク、温暖化リスクというものを
開示するという動きが進んでいくのではないかと思われる。

3つめの出来事は、ニューヨークの国連で開かれた
SDGsに関するハイレベル政治フォーラムである。
この会合で、日本の岸田外務大臣(当時)は
約10億ドルを拠出して、
世界のSDGsの取り組みを支援していく方針を発表した。

ESGはソフトな規制へ向かう
SDGsが企業評価の共通言語に

この3つの出来事は何を示しているだろうか。
TCFDの提言やGPIF のESGインデックス導入の動きに
見られるように、今後企業は、
ESGに関する情報開示がますます求められるようになるだろう。

これまでの環境規制などは、法律で基準値を決め、
違反したら罰則というように、
政府がある程度コントロールすることによって機能させていた。
しかしこれからはもっとソフトな規制によって
情報開示を迫られるようになる。
情報開示したデータをもとに、
NPO(非営利組織)や調査会社、投資家など
さまざまなステークホルダーが、
企業の価値を決めていくことになるからだ。
3つの出来事はその兆候として捉えることができるだろう。

そして、企業がなぜSDGsに取り組む必要があるかというと、
ESG投資家などのステークホルダーが企業価値を評価する際に、
SDGsを共通言語にしているからだ。
したがってリコーなどの先進企業のように、
SDGsに基づいた事業戦略というものを
外に向けて発信することが重要なのである。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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安売りだけで成功した会社など一つもない

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キャニコム・包行均会長に聞く
曲沼美恵:ライター

ユニークな企業には、ユニークな経営者がいるものである。福岡県うきは市に本社を置く「キャニコム」の二代目、包行均(かねゆき・ひとし)会長もその1人。「草刈機まさお」をはじめ、「北国の春…お」や「みなみの春…お」、「男前刈清(おとこまえがりきよし)」などユーモアたっぷりの商品名で話題をふりまき、農業用運搬車の分野で業界トップに躍り出たかと思えば、「ブッシュカッタージョージ」や「ヒラリー」などの度胸あるネーミングで世界にも打って出る。
「斜陽」と言われて久しい業界で、「なんでも三流」だったメーカーを「超一流のグローバル中小企業」を目指せる会社へと変えた仰天の戦略と人生をご紹介する。

「草刈機まさお」は海外でも「MASAO」
――すごいなと思ったのは、そのネーミングセンスが海外にも通じちゃっているところです。草を刈る「草刈機まさお」。海外では「Hey MASAO」として親しまれている
「『草刈機まさお』なんてのは、世界中、どこへ行っても『まさお』で通す。言わんと買えんから、代理店もいつの間にか『まさお』言うようになった。『まさおくれ~』ちゅうようなもんで。海外だと『Hey MASAO』」

――「ブッシュカッタージョージ」とか「ヒラリー(和名:ひらり)」とか、けっこう、大胆な名前をつけてらっしゃいますよね。
「ネーミングは度胸。アメリカ人も笑ってくれる」

――キャニコムと言えば、お客さんの声を「ボヤキズム」と称して汲み取りながら商品開発していく話が有名です。あれは、御社の開発担当者が利用客のところへ行って、話を聞くというスタイルですよね?
「うちの開発の担当者は忙しくて、なかなか行かない」

――もしかして、会長自身が……。
「もう大好きやの。最近はね、講演とかが増えて行く機会が少なくなってるけど、それでも年に3、4回は行ってますからね。
販売店には行かない。販売店に行っても、ただ『安くせい』ちゅうだけだから。『安くせい』言われたとたんにね、この人はうちの商品を知らないんだなあ、と思うんです。そういうところに何回足を運んでも、いい情報はもらえない。真に受けて帰ってきよったらね、安いもの作るしかないんです」

安く売って成功した会社はない「安く売って儲かった人、成長した企業はひとつもないんです。これをね、マスコミさんにも是非、言わないと話にならん。
成長してる会社はね、値上げができる会社なんです。社員は絶対、ボーナスも給料も上げてもらいたい。商品が根本なんだから、商品の値を下げて給料を上げられますかっていう話なんです。これは中小企業でも大企業でも、どこも一緒だと思うんだけど、マスコミさんは『値上げして儲かりました』とは書かない。『コストダウンして儲かった』としか書いてくれない」

――そうかもしれません……(汗)。
「お客様は値下げよりもいい商品を欲しがっている」(包行会長)
「この20年、全体の景気が悪くなってきたのはそこ。代理店は『安くせい』しか言わんけど、直接、お客さんとこ行って聞いてみたら、いい商品を欲しがってるんです。こだわりの商品を。 農家もこだわってますから、人と違う作物を作ろうと思っても、それに対応した機械がないわけ。みんな、一般的なものしか作らないからね。数がたくさん出るもの、よく売れる機械を作るじゃない。特殊な機械はどんどん作らなくなる。
だけど、こだわってる農家ほど、そういうのを欲しいわけ。我々はそこに行って、話を聞いて、あなたが望みのものを作って差し上げましょう、と言っている。そうすると、ものすごく重宝されるわけね。だけど、台数は出ません」

――小ロット多品種生産にならざるを得ない。
「あなたのために一生懸命作ったんだから、高くなります。これ、当然でしょ?最大売れたとしても、年間1000台ぐらい。だったらこれくらいの値段になりますよというのは、相手にわかってもらうしかない。
逆に言うと、大企業は絶対にそこへは参入してこない。我々が『グローバル中小企業』を目指す理由はそこなんです。大企業が来ない分野は勘でわかる」商品化する基準は「胸」に突き刺さるかどうか

――そうすると、顧客の声のどこをくみ取って商品化するかっていうのは、すごく重要なポイントになりますね。
「そう、だから俺のここ(胸)に、突き刺さらんとダメ。農家のおやっさんが泣いて頼まんと。そのくらい困っております、というのがわからんと、作ったら大損になる。
30度の急斜面があったとします。そこでも刈れる草刈り機が欲しい、としますね。そしたら、安いか高いかの比較じゃないんですよ。この30度の坂を刈れる機械が、あるかないか。あれば、いくら出しても買う、となるでしょう。ここに挑戦すれば、当然、高くなるんです。どうしてもね。下手をすると、倍くらいの値段にはなる」

価格と言えば、こんな話もある。四輪駆動の「草刈機まさお」は当初、140万円で発売しようとしたところ、「高すぎる」「売れるわけがない」と反対された。そこで、包行会長は、それまでつきあいのなかった建設機械のリース・レンタル会社に、「まさお」を持ち込む作戦に出た。
すぐに「これは面白い」となったが、問題は価格。高いと思っていた140万円が「むしろ、安すぎる」と言われてしまった。
リース・レンタル会社の言い分は「高いからレンタルするのであって、安かったら買えばいい。中途半端な価格はダメだ」というもの。「メンテナンスの必要がないくらいに良くして持ってくれば、200万円で買う」と言われた。

リース料金の決め手となったのは、「まさお」を「試したい」とやってきた農家の感触だった。2時間ほど使用した結果、「これはいい機械だ」となり、お礼に一升瓶を3本持ってきた。それを1泊2日に換算した2万5000円が「まさお」のレンタル料金になった。「だから、値段はうちが決めたんじゃない。使う人の気持ちが決めている」と、包行会長は言う。

ビジネスのやり方はヨーロッパから学んだ「建設界には億単位もするような機械があるじゃないですか。だけど、そこで儲からんでもいいちゅうわけ。あとで部品交換がいっぱい出てくるわけよ。そら半端じゃない」

――キャニコムの部品のパーツの売上比率は今、どれぐらいですか。
「うちは15%から20%の間ぐらい」海外戦略や採用等をより強化するために今年3月、東京に「グローカル・ヘッドワーク・オフィス」を設置した

――もっと高めたいと思ってらっしゃる?
「それはそうです。部品は値引きがないですから。早く修理して欲しいときに、安いも高いもない。ということは、在庫をある程度、持っとかないといけない。なかったらお客さんが困るから。うちの場合、これを称して『ABCサービス』と呼んでいる」

――ABCサービス?
「アフター・ビフォア―・コンサル、これをきっちりやらんとね。今は高度成長期じゃないから、サービスできっちり儲かる仕組みを作らんと」

――そういうきめ細やかさって、海外だとどうなんでしょうか。同じようにできるものですか?
「一緒ですよ。むしろ、海外の方が進んでるくらいで。 うちの代理店さんの場合、『まさお』を一台買うでしょ。そしたら部品はだいたい10台分、買ってます。我々がヨーロッパ行ってびっくりしたのはそこ。部品供給いうたら、ヨーロッパの方が日本よりも心配してた」

――あ、先に成熟経済に突入していたから……。
「そう、うちらはそういうこと、ヨーロッパから教えてもらった。マレーシア、インドネシア、タイ。そういうところもね、個人的に行ったんです。出張じゃなくて、遊びでね。だけど、金持たんな、と思ったもんで。遠いけど、まあ、ヨーロッパからが正解かもしれんね、と思いながら、出て行った。

また来たくなる国ちゅうのは、空港で決まります。まず景色、色ね。それと、税関。人を小馬鹿にしたような目で見るようなとこはダメね。いらっしゃいませ、いう目で見てもらわんと。その雰囲気で『あ、この国好きだなあ』となる。
次にタクシー。ボッタくられたりしたら、二度と行きたくないと思うでしょ。
ホテル行くやん。鍵、ポーンと投げられたりして。最初はショボい部屋に案内して、文句言ったら替えてやるちゅうような発想。そういう人を小ばかにしとるような国は、海外取引ではダメやね。
いかにウエルカムするか、よね」

「まさお」は「F1」感覚でデザインされていた!
――意外だったのは、デザインを重視されてるという点です。中小企業のものづくりに関して、社長さんに伺うと「デザインなんか無駄だ」とおっしゃる方が多いのですが、キャニコムはデザイン専門の部署を持っていますね。
「まさお」はドイツでもデザイン性を高く評価させれている 「『デザインの森博多』ね。あそこはデザインを中心に海外担当だとか、海外向けの人たちが集まる場所ちゅうかな。
『まさお』を作った時にね、ドイツ人がカタログ見ただけで注文してきたん。『大丈夫か』と心配になって、『性能・機能を確かめなくていいのか?』って聞いたんですよ。そしたら、『デザインがいいものは性能・機能もいいはずだ』って。『ドイツの車でそれは立証しとる。ベンツ見ろ』と言うわけです」

――なるほど。
「『まさお』は、F1のような感覚でデザインしてます。葡萄の房がなっているとか、上部に制限があるところを走ることが多いから、運転席がスポーツカーみたいに低くなっている。時速も、うちが一番速いんです。と言っても、せいぜい時速14キロか15キロですけど。

坂道を登る時にもカッコ良く登りたいじゃないですか。隣のあの親父には負けたくない、どうだ、と。そういう気持ちに応えたい」

ワイシャツも自分でデザインネクタイやワイシャツだけではなく、自家用車も奇抜な色合いで注目を集めているという 「じつはね、私、ワイシャツも自分でデザインしてるんですよ」――えっ、ワイシャツも?
「百貨店に行くでしょ、そしたらまず、別々の柄で二着作る。右と左の身頃を別々の柄を組み合わせて、パターン違いを作ってみたり。そしたら、一度に二着売れるでしょって教えてあげる」

――右左、別々の柄……ですか。
「そういう、いろんなこと考えながら過ごす時間が、楽しいわけ。私はそこにお金を払う。ワイシャツのために2万円出すんじゃない、ここでデザインの勉強をしながら、楽しみながら考えるのにお金を出す。そこに無駄はないんです」

――そう言えば、名刺も社員の方と色が違いますね。
「社員は白と赤。黄色と赤は社長と会長だけ。裏返してみてください」

――「2016年 チャレンジ・チャーム」。なんですか、これは?
「『魅了あるチャレンジをしましょう』という意味です。毎年変える『今年の目標』」

――3つありますね。
最初の「ボヤキズム(コストアップ)」は先ほど伺ったとして、「DNA&DNB」というのは?「DNAは、あなた自身のこと。要するに、自分の頭で考えろという意味です。スマホを頼るな、と。それだったら、他社と差別化できない。スマホで見つかる答えは、どこでも一緒やん。 だから、もっと自分を信用しなさい、と。できる範囲でいいから、とりあえず自分の頭で考えようや、と。
そこにDNB、つまり『デザイン』『ネーミング』『ブランド』ね、これらをちゃんと足していく」

――最後にあるチャンスメーカーとは?
「市場が変化していますから、相手に合わせとったら大変じゃん。そうじゃなくて、キャニコムが変化させる。自ら変わったほうが早いよ」

――恐れ入りました。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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