世界最高の人生戦略書 孫子

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守屋洋

テクノロジーの進化に振り回されず生きる超AI時代の基本

経営をしていると、つい強気になったり虚勢を張ったり、無理なことをしてしまいがちですが、『孫子』はそうした行為を強く戒めています。

〇『孫子』の兵法の大原則
一、戦わずして勝つ。
一、勝算なきは戦わず。

松下幸之助の『道をひらく』が、素直になるための基本書だとすれば、『孫子』は、慎重になるための基本書と言っていい。

勝てない相手は選ぶな百戦百勝するのは、ある意味で簡単なことだ。相手を選べばいいのである自分の勝てない相手を知る──これこそ「彼を知る」の意味にほかならない
敵を攻め破り、敵城を奪取しても、戦争目的を達成できなければ、結果は失敗である
戦上手は、無理なく自然に勝つ。だから、勝ってもその知謀は人目につかず、その勇敢さは人から称賛されることはない
万全の態勢を固めて敵の不備につけこむ者は勝つ
敵が大軍であったら、分断して連絡を断ち、そこに攻撃をかける。これなら彼我の兵力比を逆転させることができる

「恒勝に五あり。
主を得て制を専らにすれば勝つ。
道を知れば勝つ。
衆を得れば勝つ。左右和すれば勝つ。
敵を量り険を計れば勝つ」
(孫ぴん兵法)

最高の戦い方は、事前に敵の意図を見破ってこれを封じ込めることである。
これに次ぐのは、敵の同盟関係を分断して孤立させること。
第三は戦火を交えること。そして最低の策は、城攻めに訴えることである

戦争のやり方は、せんじつめれば、「正」と「奇」の組み合わせにすぎない
勝算がなければ撤退せよ
利に合するのは簡単だが、利に合しないときの対応こそ、成功と失敗を分ける鍵勝算もなくやみくもに戦う軍は必ず敗れる
長期戦は避けよ
わざと遠回りをして敵を安心させ、敵よりも早く目的地に達し、不利を有利に変える
補給なくして勝利はない
敵を追いつめてはならない

協力し合うことや、シェアすることの重要性が強調される今日ではありますが、人間の社会から競争がなくなることは考えにくい。であれば、やはり処世術として、戦略は学んでおくべき。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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『「捨てる」「思い切る」で人生がラクになる』

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精神科医、斎藤茂太

「人の集まり」の中で活動するときは、「我」は捨てたほうがいいものの1つだろう。いつも「我」を出していると、「自分勝手」「傍若無人」「わがまま」などの、ありがたくない評価をちょうだいし、ケンカの火種となりやすい。たくさんの人たちの中でうまくやっていこうと思ったら、人と折り合ってゆく努力をしなければならない。

ただし、「我」は捨てたほうがいいけれど、完全に捨て去ってはいけない、とひと言つけ加えておこう。「過剰適応」という言葉がある。我を捨てて、周囲に自分を合わせようとがんばり過ぎた結果、心身の健康に支障をきたすようになる…心の病のひとつだ。人と一緒にいるときは元気にふるまっているが、ひとりになるとどっと疲れ、不安感につきまとわれ、わけもなくイライラして、ひどくなると夜眠れなくなり、頭痛や動悸がおこり、息苦しくなり…ひと口でいえば、自律神経の働きに問題が生じてくるのだ。とくに日本人は、この過剰適応を起こす傾向が強いようだ。それは日本が前にならえ、横にならえの社会であることが大いに関与していると思う。

ちなみに過剰適応を起こしやすい性格的な特徴は、次のようなものだ。
「人に好かれたい、いい人でありたい、という気持ちが強い」
「人の言葉や流行、マスコミなどに影響を受けやすい」
「がんばり屋さんで、神経質」
「リラックスして人と接することができない。緊張する」
「趣味がない。自分ならではの世界や楽しみがない」

もちろん人とうまくつき合い、世の中と上手に折り合うことは大切だ。しかし、心のどこかに「私は私よ、みんなが私と違う考えを持っていたとしても知ったことじゃない。ほっといてよ」という心境を持たなければならない。これを口に出して表明せよ、というのではない。そういう「我」は、心の中に納めたまま、大切にしてほしい。刃を鞘(さや)に納めるように、である。

『ピカソは、「オレの絵をどう思う?」などとは聞かなかった。「オレの絵をどう思うかは、おまえの勝手だ」と言っていたという』
我々はつい、人の評価や評判を気にし、ちょっと批判されたくらいで、クシュンとなってしまいがちだ。いい人でいたい、という思いが強いからだ。しかしながら、全ての人に好かれることなど絶対にできない。普通は、5割の人に好かれれば、5割の人には好かれない。どんなに人格者であろうと、批判者は常にいる。ときには「我」も必要だ。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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