『御社の働き方改革、ここが間違ってます!』

Pocket

全白河桃子

見せかけの働き方改革をすると、逆に売上が落ちたり、離職率が上がり人材不足に陥ったりする。最悪の場合、サービス残業等で労働関連の訴訟などが起きるブランドリスクもある。一度「ブラック企業」の汚名を着てしまうと、人材がとれなくなる

これはキリンの営業女子チームがママになりきって働く「なりキリンママ」プロジェクトを実施した後に出てきた課題だ。「なりキリンママ」とは、子どものいない営業女性が「五時退社」「突然の呼び出しに対応」など一カ月間「ママ」に「なりきって」仕事をしてみるという、ユニークなプロジェクトである。実施した結果「前年比より高い成果、短い労働時間」という成果を上げた。

しかし残業代が減った結果、個人の毎月の給与は下がったというのだ。じつは、経営者が働き方改革をするときの本気度として「評価と報酬の設計」にまで手を突っ込んでいるかというのがひとつのポイントだ
「ただの時短だと思うからいけないんです。会社全体が、業界全体が、この会社で良かったと、プライドを持って仕事ができるようになる改革。それが働き方改革なんです」

自分が休んでも業務が回るように、「仕事の属人化」から「仕事の共有化」へと進む。このように、ワーママが会社内で一番「効率化」と「共有化」に取り組んでいる場が多いため、まずはワーママの業務設計を参考にするべきだ

経営コンサルティング会社のリンクアンドモチベーション執行役員の麻野耕司氏によると「目的・対象・役割・方法・基準・納期の六つが関係者でしっかりすり合っていると、業務の効率や効果が高まる」(麻野耕司・二〇一六)

「安心」とは両立支援、「やりがい」とは活躍支援で、「両立」と「活躍」の両方が支援されない職場では、時間制約のある人材は活躍できないのだ「日本のダイバーシティが進まない理由のひとつは、責任と報酬のバランスが悪いんですよ。

偉くなって残業手当がなくなったりすると、逆に損になる。男性はアホだからね、給料が減っても偉くなりたい。でも女性は違う。男性は地位が好き、女性は意外とお金が好き、それだけの違いです」(カルビー松本会長)

社員数約100人の広告代理店の事例「見なしで三十時間分の残業代が出ていて、今では早く帰れば帰るほどお得」という意識なので、特に社員から不満はない

「日本の生産性が低いのは女性の生産性が低いから」

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

Pocket