『弱い者いじめはしない』

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小林正観

子どもに向かって腹を立てる、怒る、怒鳴る、声を荒げる、お母さんがいました。「確かに怒鳴ったり怒らない方がいいとは思いますが、子どもが口答えをすると、本当に腹が立って、もっと激しく言い返してしまうのです」
イライラしているのは自分、イライラしなくなるのも自分です。子どもに対して、つい強く言ってしまうというのは、その方の弱い者に対する態度を示しています。
もし子どもが見上げるような大男であるなら、たぶん怒鳴りつけたりしないでしょう。自分よりも体が小さくて弱い立場だから怒鳴っているのです。そういう意味で弱い者に対して刃が向いている。

ですから私は、そいうことを辞めるように提案しました。そうすると、そのお母さんは、こう答えました。「でも、世の中のお母さんってみんなそうですよね」「でも」と話をかわす方は、みなさん同じようなことをおっしゃいます。「はい、分かりました。よく分かりました」とはなかなか言いません。「でも、世の中の人って、そうしてないですよね」「だって、みんなそういうふうにしていますよね」などと、同じようなパターンで話をかわそうとします。

自分の問題として受け入れなくてはいけない時に、必ず「うっちゃり」をくわせようとするのです。これをひと言で言えば「素直でない」と言えますね。
「受け入れない」ということを前提に一所懸命考えた結果、出てくるのが、そのうっちゃりの方法です。受け入れることができたら、たぶん「分かりました」と言うに違いありません。世の中のこと、世の中の人たちはどうでもいいのです。実際に世の中の大多数の親が子どもを怒鳴っているのか、感情的に声を荒げているのか、私には分かりません。
「世の中はそうなっていますよね」と言うのは自分の都合のいいように言っていることに他なりません。9割方の親は怒鳴っていないのかもしれないのに。

自分に都合の悪いことを言われた時に、「世の中の多くの人がそういうふうにしているじゃないか」とうっちゃりをすることは辞めることにしましょう。「そうか、それを辞めたら自分は楽になれるんだよね。それを辞めたら子どもと関係が良くなるんだよね」と思ったら、素直にそれをやってみてはどうでしょうか?自分の問題として「そうじゃない方がいい」と言われたら、「なるほど、そうですね」と受け入れた方が自分が楽になります。

また「怒る」という行為は、たいてい自分より弱い立場の者に向かって発せられる。自分より強い立場の人に向かって「怒る」ことはなかなかできない。
怒るという行為は、弱い者いじめであり、卑怯な振舞だ。弱い者に対する態度で、その人の人格のレベルが分かる。

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