戦争が作った現代の食卓

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A・M・デ・サルセド

ボストン郊外にある陸軍ネイティック研究所。さえない工業団地のような研究所が、世界の食卓を支配する現代の神殿なのだ。

主たる任務は軍事予算をしかるべき大学や企業に分配し、戦場用食料の研究開発を進めさせること。
そこで育まれた防腐や包装、高栄養成分開発に関する新技術やそのプロセスで獲得された特許は、食品メーカーに無償ないしは低額で提供され、一般の食品の生産や流通に数々の革命をもたらしてきた。

今やスーパーマーケットで売られる食品のほとんどにこの研究所が関与した技術が応用されている。
科学技術には軍事用にも民生用にも使えるデュアルユース性があり、どこまでが軍事研究なのか線引きは難しい。私たちに最も身近な食の世界こそデュアルユースの典型であり工業生産加工食品は、戦争と平和が既に相互に浸潤している現代の一つの象徴である。

米国食品メーカーは、国際的な市場競争でも優位に立つが、米国の軍事予算はそうした非軍事的戦争も支えているのだ。
そして最も過酷な条件下で食べられる戦闘糧食向け技術を応用した。

保存性に富み、調理時間もゼロか最短で済む加工食品が、働きつつ家事をこなす女性たちへの福音となった。それは平和時であっても戦場並みに秒刻みの効率的な行動が要求されるようになったからだ。

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