「多くの人を集める」

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日経産業新聞「新実践コミュニケーション改革」から。

集団への同調

米国シカゴのある大学で「ジャパンデー」という
日本文化を紹介するイベント。
日本人で「能」を披露することにした。
ところがその日本人、全く知識も経験もない。
一方観客のシカゴの人たちも「能」のことは知らない。
何となく、能役者のような声で観客の前で舞い始めたが
全く観客が集まらない。
奇声を発することでちらりとは見るが、足を止めてくれない。
そこで、心理学テクニックを試した。
午後はあるものをブースの通り過ぎる観客に
見えるように置いた。

さて何か。
人間は集団に同調するようにできている。
大勢の人が集まっていると、そちらに足が向く。
みなさんも経験のあること。
集団に同調することでリスクを検知したり、
リターンの機会を得たりすることができる。
これが集団的同調の理由とされている。

さて、でたらめの能を舞っていた日本人はこの手法を使った。
観客の見える場所に大きめの鍋を置き、
そこに1ドル紙幣や硬貨をいっぱい入れた。
鍋いっぱいのお金を見た観客は
「多くの人がこの能に感動してお金を入れた」と判断。
この能は素晴らしい日本の芸術だと誤解する。
そして、観客になっていった。
観客には能の知識がない。自らの知識のなさを補うには
他者の評価が必要。
コミュニケーションにおいて、何かが素晴らしいということを
効率的に示すには、
「多くの人に評価されている」という情報を与えることが
効率的。

日本人も、ええ加減なことしますね。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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