焦点錯覚

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日経産業新聞「新実践コミュニケーション改革」から。

何か一つのことにこだわり過ぎると
全体が見えなくなってしまう・・・
そんな経験、ありますよね。
コミュニケーションでは相手に多くの情報を提供するのだが、
相手がその情報のどのポイントに注目するのかは判別できない。
多くの情報が伝達されるとその中の1つに過度に集中してしまい、
本質を見誤ってしまう。
そのことを「焦点錯覚」という。

自動車のセールスマンの事例。
客はA社、B社との比較で両社とも性能に優れており
甲乙つけがたく迷っている。
A社の車には業界初の自動ブレーキが搭載されていた。
でも、客はB社の車を選択。
何故か。

客に理由を聞くと「A社の車には安全装置が付いているが、
他の機能はB社の方がバランスよく付いているから」との回答。

これが「焦点錯覚」。
A社の車にも自動ブレーキ以外の機能も備わっているのに、
その機能ばかりに注目してしまい、
その他の情報を捨て去ってしまう傾向がある。

焦点錯覚は変動する。車の事例で、自動ブレーキという
安全装置に注目したが、
今や自動ブレーキ装置は決して珍しくない。
ブレーキだけでなく、運転そのものが一定の条件のもとで
自動になり始めている。
そうなると自動ブレーキという情報に新味がなくなり、
焦点が当たらなくなる・・・・
新しく出てくる耳目を引く情報に焦点が移るという。

私たちは情報を同時に公平に思い起こすことが苦手。
つまり、印象が強い情報や
偶然に記憶に残ってしまった情報を思い起こして
不十分な比較をしてしまいがち。
情報の出し手が多くの情報をだしているのに
もったいないこと。

そこで、情報の出し手は自らが出した情報を
公平に比較してもらえるような工夫が必要になる。
製品の能力に関する情報ならグラフを利用して、
どの種類の能力がどの程度備わっているのか
分かりやすく見せることが有効になる。
人間の脳は気まぐれ。決して公平にはできていない。
ポイントは必要な情報を公平に再認識させることにある。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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