『新しい買い物』

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無印良品コミュニティデザインチーム株式会社良品計画代表取締役会長の金井政明氏と、WEB事業部部長の川名常海氏、無印良品のスマートフォンアプリ「MUJI passport」を手掛けたユニット・ワン代表の勝部健太郎氏による対談。

日本においてモノが売れなくなった時、企業は大きく2つの方向に舵を切りました。ひとつは、ブランドをつくろうという方向、もうひとつは、とにかく値段を下げようという方向です。どちらもそれなりの成果を収めましたが、今はどちらも苦しい。

こうした「企業目線」の考え方(資本の論理)ではなく、「生活者目線」で消費をとらえることを提案しており、「新しい買い物」とは何か、その本質に迫る。

『お客さまには「うれしさ」を売りなさい』「使うとき」がうれしいとき、でも売り手はその肝心の使う時にお客の側にいない、まさに買っていただいてから、お客様がうれしい瞬間をサポートし続けるのが、これからの企業のあり方。

生活者の目線で見たときに、本当にいい商品とはどういうものなのか。つまりは「人間の論理」ですが、むしろそれが「資本の論理」より優先されるべきだと考えたんです(金井)

1個、1個が素なもの、ある意味で「ふつうなもの」であることをめざしています。それぞれが余計な主張をせず、つかう人に染まっていくような……(金井)

ぼくらは、その地域ごとの嗜好性にかかわるようなところで商品をつくろうとしてはいないんです。いうなれば、無印良品の商品は、水のような位置づけですね。世界には、ワインもあれば、ビールもあるし、オレンジジュースも、コカ・コーラもある。でも、そのベースになる水は共通したものでかまわない。ぼくらはそういう存在をめざしたい(金井)

特定の商品のシェアを無理に伸ばそうとすると、どうしても美意識の部分がぼやけてしまう。だから、ひとりの人の生活のなかで、同じ美意識を活かしてもらえる場面を増やしていこうと考えたんです(金井)

もう余計なモノを買いたくないと多くの人が思いはじめているし、いまの10代や20代の若者たちにいたっては、失われた10年だか、20年だかという長い消費不況を経験したり、環境問題への意識が高まったりで、とても堅実でエコ意識も高い(川名)

「最高」「最安」より「最愛」

「買う人」たちはいま、「買い物」を通じて、3つの価値を得ようとしています。それは「共感性」と「体験性」、「共創性」です(川名)

もはやブランドは演出されたイメージによって拵えるものではない(勝部)

「ウケるもの」より「いいと信じるもの」企業はやっぱり、自分たちの商品の先に文化がつくられていく可能性があることを、もっと意識したほうがいい(勝部)

大切なのは、「買った人」がよりよい体験をして、共創を通じて、よりよい価値を享受できるようにサポートしていくこと(勝部)

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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