『ブランドのコラボは何をもたらすか』

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宣伝会議

ここ数年間で、急激に広まってきた販売促進手法があります。
それは、ブランド間の「コラボ」(=コラボレーション)です。

スマホゲームでは、多様なキャラクターとの
コラボが当たり前ですし、
ビジネス書でも有名人同士の共著が増えてきました。

理由は簡単。SNSやメルマガ、ブログなどでブランドが
顧客リストを持ちやすくなった今、
コラボによってリストの総量を増やす手法が
効果的だからです(お互いのファンを融通し合える)。
とはいえ、異質なブランド同士のコラボは、
現実には困難を伴います。
一過性のものに終わることも少なくありません。

そんな中、4年も続く珍しいコラボがあります。
キリン「午後の紅茶」と、グリコ「ポッキー」のコラボです。

ふとメンバーのひとりが呟いた。
「プリンに醤油をかけるとウニになるよね」
一瞬、場が固まった。……それだ!
何気ないつぶやきが、ブレイクスルーに繋がった。
そこからは早かった。
すぐに「単品でももちろんおいしいが、
それだけでは完結しない。
2商品を食べ合わせると、さらに新しい味覚が生まれる」
という、今後数年続くこのプロジェクトの
根幹とも言える「1+1=2」にとどまらない
「1+1=3」の味覚設計アイデアが生まれたのだった

デザインは、何パターンも試行錯誤を重ねた。
最終的に、ペアリングが分かりやすい、
王子様とお姫様が出会うデザインが完成した。
背景は繋がっており、デザイントーンは全く一緒。
2つ並べることで、離れ離れだったキャラクターが
手を取り合う設計だ

そこで、ひねり出されたのが「キス」だった。
「1年目は手を繋いでいたから、2年目はキスというのは
どう?」
きっかけは、誰かの冗談半分での発言だった

場所は、東京と大阪で多くの人が行き交う、
JR東日本の山手線と大阪環状線の車両の「扉」だ。
1編成をまるごとジャックし、
男女がそれぞれ描かれた両開きの扉が閉まるたびに
キスをする、というクリエーティブに仕立てた

第3弾は“おとぼけ”コラボとなったのだが、
商品名からそのおとぼけははじまっている。
「午後の紅茶」は「クリーム忘れた(笑)いちごティー」、
「ポッキー」は「いちご忘れた(笑)クリーミーバニラ」。
それぞれが材料を1つ忘れてしまったために、
食べ合わせることで初めてショートケーキが生まれる、
という商品構造にしたのだ

置く側にとってみれば、
実は「定位置」を動かすことは難易度が高い。
決められたフェイス数(陳列面積)の中で、
別カテゴリの商品をねじ込むのだから。
だから「自由区画」の方が制約なく陳列ができ、
違和感の最大演出に繋がるのだ

PRバリューの最大化を考えるのであれば、
情報発信日は金曜日以外の平日に設定すべきだ。
夕方や翌日の情報番組に取り上げられる
可能性がぐんと上がるからだ。
土日の情報番組は1週間分のニュースからの
ピックアップになることが多いため、勝負がしづらい

ブランド視点での時期選定にも方法がある。
例えば「ポッキー」には「ポッキー&プリッツの日
(11月11日:スティックが並んでいる様より)」、
「午後の紅茶」には
「午後の紅茶の日(5月5日:ゴゴと55を掛けて)」が
あるように、
ブランドのアニバーサリーに当ててニュースを作るのも、
PRを取りやすくする一因である

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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