『魔法をかける編集』

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藤本智士

海外にいようが、東京にいようが、地方にいようが、今求められているのは「ローカル」であること、つまり本当にその場にいる人の役に立つことです。テレビというマスメディアから流れてくる情報は、東京という特殊なローカル情報なんだと認識して、自らの土地に根ざしたビジョンを描くことが、いま僕たちには必要なんです

うまくまとまった! という満足感に満たされちゃうと、そこにたしかにあったはずの現場の熱量が失われていたり、もともと伝えようとしていた事が伝わっていなかったりしてることに、気づかなくなるんです

「創る仕事になってはいけない、頼る仕事を目指すのが吾々の念願ではなかろうか」河井寛次郎が棟方志功に言ったこの言葉をもって棟方は救われたといいます

インタビュアーであるあなたが、インタビュアーのままであるうちは、その原稿は、どう頑張っても取材相手の演説から脱せないんです。しかしインタビュアーのあなたが、まるで対談相手のようになって会話ができれば、別に紙面にあなたの写真が出てこなくても、意外と読めるインタビューになってるはず

現場で100パーセント持って帰るってことなんですが、これは、後からもう一度電話で聞けばいいやとか、後でネットで調べて補足すればいいやとか、そういう考えで取材にのぞまないということ

「こんなことがやれるといいな」が、「ま、無理か……」に変わるまでの時間はほんと一瞬です

象潟町の人たちにとっては、池田修三の版画作品は、あまりにもふつうで当たり前すぎたんです

<こんなものがあったらいいのに、を目の前に用意する>という魔法は、本当によく効きます

「なんも大学」ではその真逆、秋田のことをあまり知らない人でも、なんとなくイメージすることができる「なまはげ」「きりたんぽ」「秋田犬」などのステレオタイプな秋田コンテンツをあらためて取材しています。
それは、単純にこれらを検索したときに、良質な記事が検索上位に上がってこないからです

2016年に視聴率81パーセントを叩き出した番組がケーブルテレビにある御柱祭を生中継しているのはLCVだけだから

「これからのメディアが生きる道は郷土愛ですよ」(LCV坂本万明氏)

最後に一つ、大切な編集の魔法を伝えたいと思います。それは<待つこと>。
スペイン語で「待つ」という意味の「エスペラール」は、希望という意味の「エスペランサ」と語源が一緒

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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