『不道徳な見えざる手』

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ジョージ・A・アカロフ、ロバート・J・シラー
ともにノーベル経済学賞を受賞しているジョージ・A・アカロフとロバート・J・シラーが、自由市場でインチキがまかり通る理由、なぜ人が騙されてしまうのかを説いた
人が騙されることの本質、騙してしまう理由、企業が経済活動をしているうちに不誠実になる仕組みなどを、ノーベル賞受賞学者2人が明らかにしている。

問題は、悪いやつがたくさんいるということではない。ほとんどの人はルールを守るし、単によい生活を送ろうとしているだけだ。でも競争圧力のせいで、ビジネスマンたちはどうしてもごまかしと詐欺をやるようになり、おかげで私たちはいりもしない製品を買い、高すぎる金額を支払ってしまう。
そして、ほとんど目的意識を与えてくれない仕事をやらされることになる
当初のスロットマシンは、現在のような意味合いではなかった。あらゆる「自動販売機」がスロットマシンと呼ばれた。でも、そこで、新しい使い道が見つかった。まもなくスロットマシンはギャンブル用機械を含むようになった
人は自分が本当に求めるものを自分でもわからないという弱みがあり、そうした弱みを儲かるような形で生み出し活性化させられる

〇カモ釣りがよく見られる四分野
・個人の財務的な安全性に関する分野
・マクロ経済の安定性をめぐる分野
・人々の健康をめぐる分野
・政治統治の質をめぐる分野

人々は贈り物や親切に返報したいときにカモにされる
お金を儲けるには二種類の方法がある。最初のものは正直な方法だ。顧客が1ドルの価値があると思うものを与える。そしてそれを、1ドルより安く生産するのだ。でももう一つは、顧客にまちがった情報を与えたり、かれらがまちがった結論に達するように促すことだ。それにより、実は1ドルより低い価値しかないものを、1ドルの価値があると顧客に思い込ませるのだ
美しい熟したアボカドを売るという評判のある人物には、チャンスができる。立派で熟したアボガドに人々が支払う価格で、低質なアボカドを売りつけられるのだ。この人物は、自分の評判をマイニングした(傷つけた)ことになる。そして売りつけた相手をカモとして釣ったことになる
スーパーに対して2パーセントの利用手数料を課すことで、クレジットカード会社は平均的な雑貨の利潤上乗せ分の5分の1近くをかっさらっている
食品を考えてみよう。シンクレアが報じたような結核の牛からのステーキに代わって登場したのは、インチキ食品産業だ。提供する商品で私たちを盛大に釣るのだ。その商品は、砂糖と塩と脂肪まみれだ。
いまや食中毒で病院に行くことはほとんどない。でも食品が引き起こした直腸系の疾病や糖尿病がある

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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