『平均思考は捨てなさい』

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トッド・ローズ
この国を支配している、恐ろしい「宗教」に気づきました。その「宗教」とは、「平均」という名の宗教。ベストセラーの一部は、この「平均」から漏れた人間が共感を抱く内容であり、それだけ日本の病理を表している。
実際の数字がまとめられると、ダニエルズさえも衝撃を受けた。結果はゼロ。4063人のパイロットのなかで、10項目すべてが平均の範囲内におさまったケースはひとつもなかったのである
平均的なパイロットなど、存在しないのである。つまり、平均的なパイロットにフィットするコックピットをデザインしたら、実際には誰にもふさわしくないコックピットが出来上がるのだ
ゴルトンは人類を14の異なった階層に分類した。底辺は「低能者」、中間は「凡人」、いちばん上は「有能者」から成る階層である
個性を重視しない平均主義を中心に据えれば、無駄は系統的に解消されるとテイラーは確信した。その結果、「これまでは人間が優先されたが、将来は組織が優先される」ことになったのだ
ランク付けに執着するソーンダイクは迷路のように複雑な教育制度を作り上げたが、今日そこには学生だけでなく、すべての関係者が閉じ込められている
個性学は、分析してから集計する方法を大前提としている。まず、個人のなかに一定のパターンを探し出す。そしてつぎに、何人もの人たちのパターンを集計し、そこから何らかの方法でグループの傾向を洞察していくのだ
バスケットボールのパフォーマンスに関して行なわれた数学的分析によれば、試合の結果には少なくとも五つの要素が確実に影響しているという。得点、リバウンド、スチール、アシスト、ブロックである。そしてこれら五つの要素のほとんどは、関連性が強くない。たとえばスチールの得意な選手は普通、ブロックが上手ではない
「ある日、閃いたんだ。仕事での成果はコンテクストに左右される。だから採用においては、候補者がどのようなコンテクストで最高の成果を発揮できるのか、考えることが肝心なんだ」(ルー・アドラー)
学習するペースにわずかな柔軟性を持たせるだけで、ほとんどの生徒が成績を大きく向上させることが、ブルームの実験からは明らかになった

〇個性に関する3つの原理
1.バラツキの原理 才能にはバラツキがある
2.コンテクストの原理 私たちは特定のコンテクストで首尾一貫している
3.迂回路の原理 最適な経路は個性によって決定される

個人よりも集団を重視する文化が定着しているアジアでは、科学的管理法は欧米よりもさらに徹底的に採用された。三菱や東芝といった企業は、標準化と労使分離の原則に従い、組織を全面的に再編したほどだ。
1961年に日本を訪れたテイラーの息子は、鉛筆にせよ写真にせよ、父親の手の触れたものを何でもよいから譲ってほしいと東芝の経営陣から熱心に乞われた

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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