私のリーダー論

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 関根正裕、商工組合中央金庫社長

営業ノルマを廃止し、各支店で自主的に営業計画を作るよう指示した。計画作りには営業店のすべての職員が参加する様に求めた。作業を通じて全職員が当事者意識を持ち、ボトムアップ型の組織に変わってもらうという狙いがあったからだ。

商工中金の視点は全国にあり、地域によって集積する産業や市場規模は異なる。営業計画は本部ではなく、地域をよく知る支店が作った方が良いモノになるはずだ。

支店長会議では、業績の話は一切しなかった。支店長たちにはマネジメントを楽しむように言った。人を動かすのは難しいけれど、うまく行けば面白いように結果が出るから、それまで頑張るように言い聞かせた。
計画を作るには、取引先のニーズに向き合う必要がある。その過程で中小企業の役に立つことが本来の役割だという自覚を取り戻し、現場に活気が出てきた。本来の役割以外のことはやらなくていいと宣言し、保健や投資信託の窓口販売は辞めた。

職員の心理的な安全性を高めようと努めた。何か問題に気づいた際に、上層部に伝えてくれるようになるには、何を言っても大丈夫という安心感が不可欠だ。全国の支店を訪問し、現場の職員から話を聞く機会を設けた。その間、支店長ら管理職には席を外してもらった。

再生のキーワードは現場へのリスペクト。組織や所属職員はそれぞれ長所を持っている。もちろん短所もあるけれど、そこだけ見ていても仕方がない。各人の長所を見い出し、それを発揮できる職場を作ることがリーダーの役割だ。雰囲気をいかに良くするかが私の最大の使命だった。
行員たち一人一人の話をよく聞いてそれぞれの良い部分を見つけるようにした。ともかく長所を伸ばす役割に専念した。業績は二の次と考えていたが、結果として後になって上向いてきた。

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