『「人の上に立つ人」の勉強』

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佐藤一斎

リーダーになると、視点が高くなって良いこともありますが、かえって見えなくなってしまうこともある。
少年時代に学んでおけば、壮年になってもそれが役立ち、何事かを成し遂げることができる。壮年期に学んでおけば、老人になってからも気力が衰えることはない。老年期になってなお学ぶことができれば、世の中の役に立って、死んだ後もその名は残る

人間の才能というものは、剣と同じである。これを上手に使えば、わが身を守ることができる。ところが、使い方を間違えると、危険が自分に戻ってきてわが身を殺すことになる

人と一緒に仕事をする場合、人には楽しい仕事を回し、自分は難儀な仕事を担当するとよい。そうすると仕事そのものは苦しいけれども、気分は爽快である
自分独りで身を慎むコツは、いま自分は人込みの中にいるとか、広い座敷の中にいると想定することである。反対に人と対応するコツは、自分独りで閑居している時と同じ気分で行なうことにある

時間は時々刻々と移り変わるが、自分の心は「現在」に据えておかなければならない。
時機が到来していないものを迎えることは不可能だし、また過ぎ去って行ってしまったものを追いかけても追いつけない。少しでも過去のことに未練をもって追いかけたり、まだやっても来ないものに気を揉んだりするのは、「心の不在」を示すものである

人は才能があっても、度量に欠けていると他人を包容することはできない。また反対に、度量があっても才能に欠けていると、物事を成し遂げることはできない。もし、才能と度量の二つを兼ね備えることができないならば、才能を捨てて度量のある人間になった方がよろしい

頭脳は、正しい判断ができるよう冷静でありたい。背中は、人を動かせるよう暖かくありたい。胸は、人を受け入れられるよう虚心坦懐でありたい。腹は、物に動じないよう胆力を充実させたい。人間は、このようにありたいものである

一人前の男子たるもの、自分自身の持てる力だけを武器に生きるべきである。けっして他人の知恵やお金をあてにしてはならない

人間は、「天は、なぜ私をこの世に送り出し、何をさせようとしているのか。自分はもともと、天の所有物だから、天の与える仕事(天職)があるはずだ。
この使命を果たさなければ、必ず天罰を受ける」と考えねばならない

物事すべてにわたって、「機に応じる」ということは大事なことである

重職たるもの、仕事が忙しいなどと口にするのは恥ずかしいことである

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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