『神・時間術』

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精神科医、樺沢紫苑

神がかったと言われる私の時間術を
「神・時間術」と名づけました。

〇「集中力」を中心に時間を考える

人間の脳というのは、起きてから2、3時間は、
脳が疲れておらず、
さらに脳内が非常に整理された状態にあるため、
脳のパフォーマンスが1日で最も高いのです。

その時間帯は、「脳のゴールデンタイム」と呼ばれ、
論理的な作業、文章執筆、語学の学習など、
高い集中力を要する仕事に向いています。

脳科学的に最高のパフォーマンスを発揮できる時間帯に、
それに合った仕事をすることで、
仕事の効率を2倍以上に高めることが可能なのです。

「高い集中力を必要とする本の執筆は
午前中にしかできない」と書きましたが、
実は午後や夜にも、
高い集中力を必要とする仕事を上手にこなす裏技があります。
それが、「運動」です。

私は、週4、5回の運動を習慣にしています。
1回60分から90分の有酸素運動、
それが終わると、頭も身体もリセットされます。

言うなれば、朝起きたときと同じくらい、
すっきりとした状態になります。

〇雑念排除法

ある研究によると、集中力が高まっているときに、
電話や声がけによって集中力が途切れてしまった場合、
その状態(集中力が高まった状態)に戻るのに
約15分かかることがわかっています。

私は毎日、午前中は部屋にこもって執筆をするのが日課です。
そして家内に、「午前中、部屋で執筆しているときは、
絶対に声をかけるな」と言ってあります。

小説家が、小説を書く場合、温泉宿に缶詰めになって
小説を書き上げる、という話を聞きます。
なぜ温泉宿にこもるのか。
それは、「人的な横槍」をブロックして、
すべての雑念を排除し、集中力を高めて、
一気に執筆を終わらせるためです。

サラリーマンである友人にこの話をしたところ、
「社内の会議室に行くと集中できます。
会議室が空いているときに、
資料とノートパソコンを持って会議室にこもる。
邪魔が入らなくて、集中して仕事ができるんですよ」と
言っていました。

当たり前のことではありますが、
「缶詰仕事」をする場合は、
携帯やスマホの電源をオフにしないと意味がありません。

どんな閉鎖環境にいても、10分おきに携帯電話が鳴っては、
集中できたものではありません。

〇脳のパフォーマンスを高めるための様々なテクニックや
 メソッド
例えば…

●できれば、スマホやPC上の「スケジュール」や
「ToDoリスト」ではなく、
「今日の予定」「次の予定」
「午前中にするべき仕事」などを、
紙に書いて目に入るところに貼っておく。
すると、1秒で見ることができるため、
不思議なことに、
それ以上の「雑念」は湧いてきません。

●「始業直後のメッセージの確認は、最大の時間の無駄」。
なぜなら、朝にメールチェックすると、
「脳のゴールデンタイム」は、
それだけでほとんどなくなってしまうからです。
朝の時間は4倍の時間価値です。
朝の30分は、夜の2時間に匹敵するのです。
あなたの仕事の中の最も重要なことを
この時間に持っていきましょう。

●朝起きるのがつらい。朝が苦手だ。そんな人は、
「朝のシャワー」を。
朝シャワーで、完全にスイッチがONになり、
午前中から絶好調で仕事がこなせるようになる。

●朝起きたら、15~30分程度、
少し早足で外を散歩してみてください。
これだけで、「日光を浴びる」+「リズム運動」で
一石二鳥のセロトニン活性効果があります。

●1日のロケットスタートを切るために
絶対やってはいけないこと、
それは、「テレビを見ること」です。
最も集中力の高い時間帯である
「脳のゴールデンタイム」を
完全に吹き飛ばしてしまうからです。
朝起きたときの脳内の状態は、
「整理されてきれいな机の上」のような状態にあります。
しかし、テレビというのは情報の嵐です。
「テレビを見る」という行為は、
そのまっさらな机に、
たくさんの資料をぶちまけるようなものです。

「たいていの成功者は、
他人が時間を浪費している間に先へ進む。
これは私が長年、この眼で見てきたことである」
( ヘンリー・フォード)

同じような境遇で生まれ、同じような教育を受けたとしても、
年を経て老年に達したとき、
その差が圧倒的についてしまうことがある。
それが、時間の使い方だ。

万人に共通に与えられた「時間」をいかに有効に使うか、
それを浪費してしまうかで、人生は驚くほど変わる。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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