『自分を「やる気」にさせる! 最強の心理テクニック』

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内藤誼人

フランスの精神療法研究家のエミール・クーエは、「私はよくなる、毎日よくなっていく」といった暗示をかけるときには、朝目覚めたばかりのときと、夜の寝る前に、20回ずつ繰り返すことを勧めている。

20回も暗示をかけるのは大変だと思われるかもしれないが、実際にやってみると、そんなに時間も手間もかからない。「さあ、やる気が出てくるぞ!」「ほら、どんどんやる気が出てきた!」「やる気が頭からつま先まで溢れてきたぞ!」といった言葉を20回くらい唱えるだけなのだから、せいぜい1分とか、2分くらいなものだ。しかも、“暗示のかかり易さ”というものは、慣れればなれるほどに高まっていく。はじめのうちは20回くらい唱えなければ暗示にかからなくとも、そのうちに10回になり、5回になり、という具合に回数はどんどん減っていく。そのうち、1回だけ、「ほら、もうやる気が溢れてきた」と唱えるだけでも、やる気が面白いように出てくるようになる。

やる気が出ない人は、自分に悪い暗示をかけているからやる気が出ないのであって、そういう悪循環を断ち切りたいのであれば、とりあえず朝晩、20回ずつ自分に良い暗示をかける習慣を持ってほしい。暗示というのは、決して精神的なものばかりではなく、きちんとした身体反応(生理反応)を伴うものなのである。たとえば、バラの花粉でぜんそく発作が起きてしまう女性に、「今からあなたにバラの花束を渡します」と言いながら、造花のバラの花束を手渡すと、それだけで発作が起きてしまうことがある。造花のバラに花粉などはないのだが、私たちの脳みそは、「バラだ!」と認識しただけで、身体がそれに反応してしまう。さらに、「今からタバコの火を手に押しつけます」という暗示をかけてから、ペンなどを手に押しつけると、押しつけた場所にやけどの痕ができてしまうことすらある。これらの例でわかるように、暗示というものは、単なる精神現象ではない。

「さあ、やる気がでてくるぞ」という暗示をかけると、私たちのやる気を引き出してくれるホルモンであるテストステロンなどが分泌されてきて、身体的にも、やる気に満ちあふれた状態になる。自分に暗示をかけることは、単なる気休めではなく、実際の生理反応を伴ない、現実に効果の出るものなのだ。まったく何の効能もない薬でも、「これは効く!」と信じて服用すると、私たちの身体はそれに反応し、病原体などをやっつけてくれることがあり、これは「プラシボ効果」(偽薬効果)として知られている。

やる気がない人は、まず考え方を変えなさいと私がアドバイスするのも、単なる気休めではない。「嫌だな」とか「やりたくないな」と思っていると、本当に身体も重くなってきて、仕事は遅々としてはかどらなくなるのに対し、暗示で気合を入れておけば、不思議なくらい身体も軽くなってきて、本当にスイスイと仕事をこなせるようになるのだ。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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