運を引き寄せる法則

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精神科医、和田秀樹

運の強い人は、じつは、やって当たり前のことをきちんとやっている人なのです。平凡といえば平凡な答えですが、目立つことだけ一生懸命になって、目立たないことはいい加減にやっている人は、1つの運をつかんでも、それが逃げていくと、もうつかまえる運がありません。

でも、どういう仕事、どういう役割であっても一生懸命にやっている人は、いろいろなところで運をつかむチャンスに出合います。あなたの周りを見てください。「彼には安定感があるな」とか「彼女はいつも朗(ほが)らかだな」と思わせる人は、自分本来の仕事はもちろん、どんな小さな仕事や目立たない作業、地味な雑用でもきちんとこなしているはずです。しかも一生懸命、楽しそうにやっているはずです。
そういう人は、大きく落ち込んだり崩れたりすることはありません。本来の仕事が不調でも、ミスが続いても、全体の仕事を信頼されていれば周囲もちゃんとフォローしてくれます。

それに対して、ポイントを稼げる仕事のときだけ張り切るタイプは、運をつかめばそのときは勢いがよくなりますが、周囲は冷ややかです。「やることやってないじゃないか」と、あ「わたしはあの人、信用していない」といった見方をします。すると、せっかくの運も孤立します。

じつはここが大切なところで、わたしは「みんなが喜んでくれたり応援してくれる幸運」は長く続いても「孤立した幸運」はすぐに終わってしまうと思っています。たとえば美味しいものが手に入っても、自分ひとりで楽しんでしまおうとする人と、仲間に声をかけて一緒に食べようとする人では、その後に続く幸運の長さがまったく違います。
自分ひとりで楽しめば、幸運を独り占めできるかもしれませんが、食べてしまえばおしまいです。誰も美味しいものをプレゼントしてくれないのです。でもみんなで楽しむ人は、幸運の量は減っても誰かがまた声をかけてくれます。

「この間はとっても楽しかった。今日はわたしが珍しいものをご馳走しますよ」と声をかけてもらえば、思いがけない幸運を味わうことができるのです。この繰り返しで、長く幸運に出合い続ける人生のほうが、はるかに幸せなはずです。『わたしは高齢者専門の精神科医になったことで、歳をとってからみじめな思いをするのはおカネがないことではなく、若い人に慕われないことだと思うようになりました。いくら経済的に恵まれていても、家族や子どもたちはもちろん、誰からも慕われずに生きていくというのは不幸な人生だと気がついたのです。
すると、わたし自身の人生観も変わってきます。おカネを貯め込むことより、自分の好きなことにおカネを使って、いろいろな人と楽しくつき合い、頼ったり頼られたりしながら生きたほうがずっといいと思うようになりました。そこから開けてきた運というものが、たしかにあるのです』

慕われない人は、美味しいものを独り占めする人、つまり、自分だけよければいいと思っている人。また、愚痴っぽくて、不機嫌で、ケチで、人の話を聞かず自分の話ばかりだったり、目立つことが好きで、地味な仕事は手を抜くような人は、つまり、誠実さや信用がない人。

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『まず、人を喜ばせてみよう』

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書店「読書のすすめ」店主、清水克衛

《将来の目標はない方がいい。自分の夢なんて忘れてしまおう》

“成幸”体質っていうのは、より「バカ」になることなんですよ。
よく、「人生、目標を持つんだよ。自分の目標がない人は、途中で挫折しちゃうから。ただ漠然と生きているとなんとなくそのまま流されて、自分の夢や理想の人生が生きられなくなっちゃうから」って言われてますよね。

でも私は、うちの若い人たちには、「目標を持つな。志を持て」って言ってるんですよ。私たちのやっているNPO法人「読書普及協会」は、自分の小さな夢を目標にしている人たちの集まりじゃなくて、みんなが、それぞれ、目の前にきた人を元気にしようっていう志を持った人の集まりなんです。
「目標を持って、それに向かってコツコツ実現していく」確かに、それもひとつの王道なんです。「バカ」と言われるくらいにそこに突き進んだら、きっとうまくいくことでしょう。
ただね、目標にしばられて、その通りにできなかった時、イライラしちゃったり、がっかりしちゃったり、中途半端な自分に悩んじゃったりとか、そういう考え方だけしか知らないことで苦しんじゃっている人、いませんか。
それだけじゃなく、「私って、これって言える夢とか目標がないんです。それが悩みなんです」って悩んでいる方、いらっしゃいませんか?

そんな方のために、他にも王道があるんです。それが、「目標を持たなくてもいい。そのかわり、自分の人間力を限りなく高めていく。そうすると、やがて人生は思ったとおりになる」って方法なんです。
「日本一の何々になる」とかって、遠くから目標を持ってくるんじゃなくて、目の前の人、目の前の物事に心を込めて集中するんですよ。私の場合もそうなんです。
ただ、来てくださったお客さんを喜ばすことに集中していただけなんです。目標は、遠くにあるんじゃなくて、目の前にある。それを、“顔晴(がんば)”る。そうすると、自然に道ができてきちゃう。

目標がなくても「あきんど感覚」さえあれば、道って自然に開けてくるものなんです。『「あきんど感覚」っていうのは、自分のまわりにいる人を喜ばせて、その結果、いつのまにか自分もツイてる人になってしまうという、神さまの知恵。

本物の商人っていうのは、とっても魅力的で、「人を喜ばすスペシャリスト」です。』商売においても、「目標日本一!」とか「売上高〇〇億円、店舗数〇〇〇店を達成する!」という威勢のいい目標を掲げている会社がある。もちろんそれはそれで素晴らしいが、本質的に言うなら、一店一店の実力を極限まで高めていくことの方が王道。それは、一店一店が筋肉質で、どこに出しても恥ずかしくない高いレベルにまで努力し、同時に、働いている社員やスタッフが自社のことを、「いい会社」だと思える会社。逆に、店を出せば出すほど、一店一店のレベルがどんどん下がっていくなら、それは倒産の道に向かって突き進んでいる。

それは、人においても同じで、目標や夢の実現より先に、自分の人間性や徳性をどこまで高めることができるかが、本筋での努力。目標や夢を追求するあまり、家庭が崩壊してしまったり、身近な人たちとの人間関係がおかしくなるなら、それは本末転倒。

「近き者説(よろこ)び、遠き者来る」論語
孔子は、「近くにいる民が喜び幸せであるなら、遠くにいる民もそれを聞いて集まってくる」と言った。身近な人や、自分の周囲にいる人を幸せにできない者は、遠くの人を幸せにすることはできない。遠くの人とは、商売でいうならお客さま。ただひたすら、目の前の人を喜ばせることを考える。お客さまも、スタッフも。どんなときも、高い志を持ち、人を喜ばせることを実践する。

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私のリーダー論

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マネーフォワードCEO辻庸介

チームで議論していると、いろんな意見に直面する。ただ、どれが正解なのか分からない。少しでも正解にたどり着く可能性が高い選択肢を選べるかどうかが重要になってくる。本当に起業初期は真っ暗闇を走っている感じだった。

正解は利用者にあった。利用者に使ってもらわなければ、存在価値は無い。利用者を増やすことで会社の資金調達が可能になる。だから利用者の声は大切にしている。

上場前に、組織が崩れたことがある。成長過程で人材が足りないため、採用基準が甘くなったのが原因だ。大きな基準として、ミッション、ビジョン、バリュー、カルチャー(MVVC)をつくらなければいけないと感じた。
自分たちはどういう会社を目指して、その過程をどういう価値観で作って行くのか。会社が大きくなると社員との意思疎通が難しくなる。リーダーとして発信をきちんとしようと心がけているので、社内のスラックで発信している。発信しなければフィードバックもありませんから。

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『夢をかなえる 口ぐせの心理学』

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医学博士、佐藤富雄

人の現在の姿というものは、その人の口ぐせの産物と言っても過言ではありません。 なぜなら、その人の考え方がその人の人生をつくっており、考え方は言葉によってつくられているからです。

自分の口ぐせを思い出してみてください。 家に帰った時に、「あ~あ、疲れたな…」と言いながら、バッグや上着をベッドに放り投げたりしていませんか。 このような人は、一生「あ~あ」の人生になってしまう危険性があります。 また、「チェッ!ついてないなあ。運がないな…」 「もう歳だから…」などと、こんな否定的な言葉を、いつも口にしていませんか。 私たちの脳は、自身が発する言葉を正確に読み取りますから、否定的な言葉ばかり口にしていると、そのとおりの人生になっていきます。

逆に、いつも肯定的な言葉を使い、前向きな考え方をしていれば、そのような方向へと人生は動いていく。 人生が充実したり実りあるものになるか、つらいものになるかの分かれ目は、すべて自分の言葉にあるということです。

何かにつけ「すみません、すみません」と言っている人は、一生申し訳ないという頭を下げ続ける人生を送るに違いありません。 何かにつけ「ありがとう!」と言える人は、感謝に満ちた人生を送れることでしょう。

私の友人で、今はすばらしい実業家になりましたが、かつてはどうにもお金儲けのうまくない男がいました。 彼は仕事でも趣味でも上手にやり遂げられるのですが、お金だけはどういうわけか貯まらない。 周囲の人間はみんな首を傾げていました。 じつは、彼は大変重大な誤りを犯していたのです。 たぶん育った環境がそうだったのでしょうが、彼は「お金は汚いものだ」と頑固に思っていたのです。 そういう考えを身につけていたせいで、仕事をするとき必ず「私は金儲けはうまくありませんが、仕事はまじめにやります」と言うのが口ぐせでした。

この言い方は相手の耳に快く響きます。 だから、彼の仕事は順調でしたが、この口ぐせを繰り返せば繰り返すほど、相手にだけでなく、自分自身にも言い聞かせることになり、その結果、彼は「金儲けの下手な自分」という自己像をつくり上げ、そのとおりの人生を歩んでいたのです。

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『番狂わせを起こす人』

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野村克也

「教えてほしい。今年で83歳になる老いぼれの話を、あんたら、なぜ聞きたがるんだ?」取材に来た雑誌社の人間に、一度、真剣に尋ねたことがある。いまのプロ野球事情をどう思うか。プロフェッショナルとは何と考えるか。あるいは、生き方や働き方へのアドバイスに至るまで…。なぜか、一介(いっかい)の年老いた野球評論家である私のところに話を聞きたがる人が、じつに多いからだ。
すると、彼らに即答された。「いや、他にいないからですよ」まったくその通り、と笑ったものだ。別段、私の話に特別な知見が詰まっているわけではない。他に話してくれそうな年寄りがいないから来るだけなのだ。裏を返せば、野球界で、ものごとをしっかりと言葉に変えて表現できる人間が、他にはいないということだろう。番狂わせが起きた、と感じる。

私がプロ入りしたのは半世紀以上も前。当時、野球の人気は圧倒的だった。野球選手といえば、世間の誰もがうらやむ職業だった。それだけに、全国からの野球エリートが集う場でもあった。一方の私はテスト生として、南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)というチームの端っこにぎりぎり引っかかるように入った人間だ。
誰よりも努力しなければすぐにふるい落とされる。そんな思いでひとり必死に練習を重ねた。結果として、レギュラーの座を勝ち取ったが、その後も不安が消えることはなかった。稲尾和久や王貞治、長嶋茂雄など、同時代のスターや天才たちの背中に追いつくためには、誰よりも頭を使うしかなかった。相手選手のデータを集めて分析し、配球を研究することで、プロのグラウンドにぎりぎりしがみついた。

おかげで長きにわたり現役生活を送れたが、引退後は監督となるには学歴がなく、ゴマすりも苦手だった。
「それなら日本一の野球評論家になろう」と決意し、野球の知見を広げるだけでなく、啓蒙書や哲学書、中国古典などを読み漁(あさ)った。人間を知ることが野球を知ることにもつながると教えられたからだ。そして身につけた野球観は唯一無二のものだったようで、新聞やテレビの評論で重宝されるようになった。

その評論が縁で、現役時代は縁もゆかりもなかった3つのチームを監督として率いることになった。そして、いまだ。私はいつも「敗者」からのスタートだった。だから自分を磨かざるをえず、必死にもがき苦しんで、周りに追いつこうとしてきた。変わることを厭(いと)わず、頭と言葉を武器にしてきた。こうしてなんとかしがみつくことで身についた“筋力”のおかげで、この年になってもなお、現役のようにいろいろなところから声をかけてもらえているのだと思う。

一方で、学生の頃、プロ野球の現役時代、監督をしていた当時…周囲にいた才能あふれる者たちの姿は、あまり見かけなくなってきた。才能がない。運がない。エリートではない。そんな人間こそが、番狂わせを起こす。
古今世界の歴史をひもとくと、順調に経歴を重ねてきたエリートや才能あふれる人たちが、必ずしも成功してきたわけではない。逆に、逆境を乗り越えたり、不幸な環境をひっくり返して成功してきた人は多い。

既存のレールに乗らない、番狂わせを起こす人たちだ。それは、松下幸之助翁のように、「貧乏」、「体が弱い」、「学歴がない」などというハンデがあった人たち。
逆境にあっても、「なにくそ」と発憤する人たち。
逆境にあっても、自己研鑽を怠らない人たち。
逆境にあっても、自分の魂を磨きつづけてきた人たち。
逆境にあっても、「打つ手は無限」と決してあきらめない人たち。

現代は、ITやAIによる何百年に一度の大変革の時だ。大変革の時は、番狂わせは世界中で起きる。ありとあらゆるものが、順当に行ったり、予想した通りに動いてくれる時代ではないからだ。

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どんな状況の中でも咲く努力をする

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斎藤一人

不幸な人って、「私にはあれがない」とか「これができない」とか、“自分にないもの”に焦点を当てようとするんです。そうではなくて、「私にはあれがある」「これもできる」とか、“自分にあるもの”に焦点を当てたとき、人はしあわせになるんですね。

人間には“業(ごう)”ってものがあるの。それは神様が与えてくれたものなんです。だから、その神様の与えてくれたものでしあわせになるの。ポーカーでも、配られたカードにいちいち文句を言ってると勝てないんです。配られた手でどうやって勝とうか、って考えないと勝負には勝てません。

何かハンデを持って生まれてくる人がいるんだけど、そういう人は魂的に優秀な人が多いんです。それで実際、まわりの人は「困るでしょう?」って言うけど、それほど困らない。

「私、足が遅いんです」って言う人がいるけど、車の運転ができてポルシェにでも乗れば、その人は時速200キロだって出せるんだよね。だから人はそれぞれ、得意なことを一生懸命やればいいの。
それで苦手なことは必ず誰かが助けてくれるから。人はそうやって助け合い、補い合って生きていくものなんだよね。

それを不得意なことをなくそうとかってやっていると、大切な人生の時間があっという間になくなっちゃう。
それより、得意なことで、みんなのお役に立てればいいんだよ。

「置かれた場所で咲きなさい」渡辺和子
どんな状況の中でも咲く努力をするということ。もっといい条件でなければ咲くことはできない、と言っているなら、いつまでたっても花を咲かすことはできない。与えられた条件の中で、どれだけいいパフォーマンスをあげることができるのか。何もかもそろっている人は、結果としてうまくいかない人が多い。
豊かで条件がそろっているがために、そこからの努力をしないからだ。「配られたカードにいちいち文句を言ってると勝てない」

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『母性がもたらす幸福論』

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小林正観

約2500年前のインドに生きていたお釈迦様は、
「人物をつくる4つの要素」を弟子たちに残しました。

お釈迦様がいう「人物」というのは、
私は「世の中に寄与し、まわりからその存在を喜ばれる人」
という意味だと解釈しています。

そういった「人物」をつくる要素とは、
次の4つだとお釈迦様は言ったそうです。

1. 貧乏
2. 読書
3. 感動
4. 母親の感化

「人物」をつくる要素は「父親の感化(父性)」ではなく
「母親の感化(母性)」であると、お釈迦様は言いました。

私なりの解釈ですが、「父親」の役割は
「能率」「合理性」「生産性」といったものを
教えることなのだと思います。

けれども、お釈迦様は「人物」をつくるために
必要なのはそういった「父性」ではなく、
「他人との協調性」「共生」「他人に力を貸すこと」
「世のために自分が貢献する」ことを教える
「母性」が必要なのだと言った。

母親が子どもに与える影響は大きいと
教えてくれているのです。

アメリカの精神分析医エリック・バーン博士が提唱した
「交流分析」という心理療法がある。
正式には、Transactional Analysisといい、TAと表記される。

TAでは、大きく分けると、
人間には3つの自我状態があるとされる。

1つ目は「親(Parent)」、2つ目は「大人(Adult)」、
3つ目は「子供(Child )」だ。

1つ目の「親(Parent)」 には、父性的な性格(CP)と
母性的な性格(NP)の2つがある。

CP(父性)には、 責任感、正義感や道徳心など、
よい面があるが、それが行き過ぎると、
「〇〇すべきである」というように
支配的になってしまったり、批判的だったり、
上から目線になりやすい。

NP(母性)には、優しさ、思いやり、共感、許す、温かみ、
世話をする、などのよい面があるが、
それが行き過ぎると、「〇〇してあげる」というように、
過保護になったり、おせっかいだったり、
自立を妨(さまた)げてしまうようにもなる。

人格形成において男女を問わず、
CP(父性)が大事なことは言うまでもない。
しかしながらNP(母性)には、人を思いやるとか、
優しくするといった、「他人を喜ばせること」、
「世のため人のためにつくす」という人間としての
大切なテーマの追求が含まれている。

そして、このNP(母性)には、
「ウソを言ってはいけない」
「卑怯(ひきょうな)ことをしてはいけない」
「弱い者をいじめてはいけない」という、
武士道(会津藩の什の掟)に一脈通じるものがある。

これらのNPの価値観を子供に伝えるのが、
母親の大きな役割だともいえる。
母親の役割は偉大だ。

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『新訂 いい会社をつくりましょう』

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伊那食品工業会長、塚越寛

社員が幸せに暮らせるためには、会社が雇用を維持・創出していくことが欠かせません。会社が年々、少しずつ成長することによって、新たな雇用を生み出せば、人の幸せや社会の安定につながります。

ものづくりを中心に経済成長をつげてきた日本は、現在、大きな産業の転換期にさしかかっています。戦後の復興を支えてきた二次産業が、高度な機械化やロボット化、IT化を進め、また製造拠点を海外へ移転するなどの合理化を進めてきたことによって、ものづくりの現場で以前ほど人が必要なくなってきました。
一国における就業人口の分布は、一次産業から二次産業へ、二次産業から三次産業へと移っていきます。フランスやイタリアなどで顕著なように、二次産業分野でのブランド化を進めると同時に、ホテル業や飲食業など、三次産業の育成によって、新たな雇用を生んでいくのです。観光業の発達にも、そうした背景があります。

日本でも、製造業での雇用が少なくなった分だけ、三次産業の正しい成熟による新たな雇用が求められています。
しかし現状は、三次産業での雇用創出がまだ十分ではありません。二次産業の会社が雇用を維持・創出するために、これからは「五次産業化」の取り組みがますます重要になってくると思います。五次産業とは、「二次+三次」の発想から名づけたものです。生産から消費者への販売まで、一貫して行う事業のあり方です。メーカーが五次産業をめざすには、二つの段階があります。
最初に、消費者に直接売れる商品をつくること。そして次に、自社の商品を、自分たちで消費者に売ることができるしくみをつくることです。

自社製品の研究開発による下請けからの脱出には、時間はかかりますが、長期的な視野をもって、あきらめずに取り組んでいく価値はあると思います。また、自社の商品を直接販売するしくみをつくれば、お客様の声を直接いただくことができます。
当社もかつては、販売力が弱く、作った寒天のほとんどを大手企業に納めていた下請けの時代がありました。売上高の七割を、輸出が占めていたこともありました。

会社のあるべき姿をめざして、下請けや過度の輸出依存から脱却する決断をしたからこそ、今の当社があるのです。
製造業の五次産業化には、手間と時間がかかります。初めから一人前の対応ができなくてもいいのです。日々、直接にお励ましやご助言をくださるファンのお客様とふれあうことの楽しさや喜びは、社員にやる気と誇りをもたらしています。

『会社経営の目的とは、人や社会の幸せに貢献することだというのが、私の信念です。会社の本来あるべき姿とは、社員の幸せをつうじて、いい会社をつくり、社会に貢献することだと思っています』
また、そのためには学びが必要で、学ぶ目的については、二宮尊徳先生の遺訓がある。
『翁曰く人、生まれて学ばざれば、生まれざると同じ学んで道を知らざれば、学ばざると同じ知って行うこと能(あた)はざれば、知らざると同じ故(ゆえ)に、人たるもの、必ず学ばざるべからず学をなすもの、必ず道を知らざるべからず道を知るもの、必ず行はざるべからず』
せっかくこの世に生を受けたにもかかわらず、学ばないということは、生まれてこなかったのと同じこと。学んだとしても、人として本来歩むべき道(魂を磨くこと)を知らなければ、学ばなかったのと同じこと。仮に知ったとしても、それを実践しなければ、知らなかったのと同じ。

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『アマゾンのすごいルール』

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佐藤将之

10億円規模の決済がわずか2日間で通った

「倉庫貸し」のビジネスがなぜ誕生したのかと言えば、それは「ホリデーシーズン以外の倉庫が遊んでいるから」アメリカをはじめとした世界中の注文をスムーズに処理するためには、膨大なデータを高速演算処理できるサーバーを準備する必要があったわけです。ところが、ピークを過ぎてしまえば、倉庫同様、サーバーにも空きが生じます。その空きを他社に「サーバー貸し」したのが、AWSの始まり

「忘れないでくれ。あのとき、僕と当時の仲間たちが世間から誤解されるようなイノベーティブなことをやったから、今、花が咲いているということをね。今、未来のために種を植えなかったら、この花はいつか枯れてしまうよ。だから、今日もイノベーティブな種を植えよう。未来に花を咲かせるためにね。たとえ、それが今は誤解されるようなことであったとしても」(ジェフ・ベゾスの言葉)

遠い未来から、物事を考える──これはジェフ・ベゾスの素晴らしい才能
少数ならば「善意」でも成立するのです。けれども、「善意」だけでは、規模を拡張することも、継続することもできないのです。大切なのは、「仕組み」なのです
「Single Detail Page(シングルディテールページ)」というフォーマットが誕生したことが“革新的な発明”

アマゾンのすごいのは、販売者を「アマゾン優先」、「それ以外の販売者は2番手以下」と優先順位付けしなかったことです。
「お客様にとっていちばん有益なセラー(トップ)がショッピングカートを取れる」というルールを設け、セラーの競争原理が自然に働くようにしたのです。
トップは、本体価格、配送料、配達にかかる日数など、さまざまな条件をアルゴリズムで解析した結果、決定しています
何か大きな目標を達成したときに、私たちは必ず「But Still Day One!!でもまだ1日目が始まったばかりだけどね」と言うのです

「アマゾンをこれから1つ上の段階に引き上げてくれる人材を採用しよう」

アマゾンでは、アマゾンのすべての行動を「数字=メトリックス」で管理する体系ができ上がっています。「今週の目標は何か?」「先週の目標達成率はどうだったか?」といったことがすべて数字で決められています
そろそろ日本企業は、新しい人事システムの導入に舵を切るべきなのかもしれません。

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『嫉妬をしない』

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堀江貴文

強硬な政治から「鉄の女」と呼ばれ、1979年から90年までイギリスで首相を務めたマーガレット・サッチャーは、こんな名言を残している。
「金持ちを貧乏にしても、貧乏な人は金持ちにならない」

サッチャーが首相になった当時のイギリスは、行きすぎた福祉政策や労働争議、基幹産業の国有化などによって、経済が活力を失い、イギリス病と言われる不況に悩まされていた。
そこでサッチャーは、それまでの福祉優先の政策や政府による過剰規制を廃し、経済を活性化しようと試みた。しかし、サッチャーが推し進めようとしていた改革は、左派から「金持ち優遇策」として批判され、それでサッチャーは先の言葉を述べて、自らの正当性を訴えたのだ。

そもそも、金持ちが金持ちになれたのは、基本的には「お金を稼ぐ能力をもっていた」から、と言える。貧乏人が金持ちになるためには、お金を稼ぐ能力を身につけなければならない。ところが、多くの人は、能力のある人の足を引っ張ることで満足して、それでおしまい。

それでは到底、生産的とは思えないが、なぜそんなことをするかというと、「嫉妬(しっと)」と呼ばれるものがそうさせているのだ。「嫉妬」というのは厄介なもので、自分では気づかないうちに芽生えてくる。

例えば、数年前にAKB48の『恋するフォーチュンクッキー』という楽曲が流行した。このとき、企業や自治体による「踊ってみた」動画が多数公開され話題になったが、あまりにも流行っていると、「何だよ、ただの真似じゃないか」なんて冷めた見方をする人も多くいた。ただ、それって結局は「流行しているものに対する嫉妬」からきているのではと思うのだ。

何かが流行したときには、「何だよ!」などと思わずに、「どうしてこんなに流行っているのか?」と考えるべきだ。『恋するフォーチュンクッキー』が大流行したのは、秋元康さんの確固たる思いがあったからだとう思う。
楽曲が発表された当初、AKBのメンバーは、メロディに不満があったそうだ。ところが、秋元さんは、リリース前から「絶対に流行る」「ファンの皆はもちろん、多くの人が踊ってくれる曲になる」と語っていたという。
秋元さんのアイデアは、わざと振りつけを盆踊り並に簡単にして、誰でも踊れるようにした点にあったと思えてならない。簡単にできそうであれば「自分たちでも踊ってみよう」という人たちは現れるもの。今は、ソーシャルメディアが発達しているから、すぐ拡散できるのだ。実際、秋元さんの思惑通りになったし、AKBのメンバーたちも楽曲が好きになっていったとあとから聞いた。

だから、やっぱり秋元さんはすごい!とはいえ、何かが流行しているときに、斜(しゃ)に構える人は、結構多い。
ユーチューバーが流行り始めたときだって、世間の大人たちの反応は「子ども向けばっかりだし、大して面白くないじゃん」というものが多かった。そうは言っても、ユーチューバーが流行っているのは事実だし、中には莫大なお金を稼いでいる人もいる。

「何だよ!」なんて言って斜に構えていると、自分のほうが立場が上になったように錯覚するから、気はラクになるかもしれない。でも、それで得することなんて何もないのだ。
僕の場合は、『恋するフォーチュンクッキー』が流行ったときに、秋元さんサイドからオファーがあり、自分でも踊ってみて、「面白いな」と感じた。ユーチューバーのブームがおきたときも、ユーチューバーの代表格であるHIKAKINくんとすぐ会って、仕事をした。

斜に構えた段階で、その人はもう「負け」。自分にできないことをやっている人を見て、嫉妬したら「負け」。
何事も学びのチャンスだと思い、自分に取り入れられることを見つけた方がいい。人の成功に嫉妬することの無意味さを、肝に銘じてほしい。多くの人々の心の奥底には、成功している者や目立つ人に対する嫉妬心がある。芸能人や政治家に対しては、とりわけそれは大きく作用する。ちょっとした言葉のミスや、スキャンダルで大きく炎上し、引きずり降ろされる。
成功した人に嫉妬する人は、あまりにも器が小さい。成功した人を心から賞賛する人は、器が大きい。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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