『自分の中に孤独を抱け』

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岡本太郎

東京画廊の山本豊津さんが、こんな事をおっしゃっていました。「価値とは長く継続することで、価格とは時間で価値を切ること」
アートを前提にお話されたのですが、この言葉にはロングセラーとベストセラーの違いが込められています。
我々の多くは、「価格」に注目しすぎるあまり、短期間しか「価値」が継続しない「まがい物」を掴まされてしまう。作り手としても、「価格」(今の評価)に注目しすぎると、長く売れるものが作れない、ということです。
では、価値あるもの、長く続くものを作るにはどうしたらいいのか。
人間は、孤独になればなるほど人間全体の運命を考えるし、人間の運命を考えた途端に孤独になる。憎まれて結構、好かれて結構。そもそも、好かれるより悪口を言われた方が世の中は動くんだよ。
生まれてきた、自分が生きているこの社会の中でノーを突きつけること。信念のためには、たとえ敗れると分かっていてもあえて行う、己れをつらぬくという精神の高貴さがなくて、なにが人間か。長く価値あるものを作ろうと思うなら、おもねるのではなく、闘わなければいけないのです。
人間は、孤独になればなるほど人間全体の運命を考えるし、人間の運命を考えた途端に孤独になる。だから人間一人ひとりが孤独でなければいけない。それが人間の矛盾律だ

孤独とは、しょんぼりしたり、がっかりしたり、自分の身を引くことじゃない。“ぜんぶ”の上に覆いかぶさり、みんなの運命、全人類の運命を背負い込む。それがほんとうの孤独だ。世界即己れ。そう考えて、人間全体の運命を背負い込もうと決意する。それが十余年のパリ生活の終わりに僕が到達した結論だ
ふりかかってくる災いは、あたかも恋人を抱き入れるように受け入れる。それが人間のノブレス(高貴さ)だ。逃げない。晴々と立ちむかう。それが僕のモットーだ
たまたま岡本太郎という人間がそこに居るから、それをうまく使いこなして、この世界で思いきり遊んでやろうと思ったんだ
未熟を決意するのは、素晴らしいことなんだよ。空を翔ぶ鳥を見て、自分は鳥のように自由に空を翔べないと思う。花盛りの樹を見ても、自分はあの花のようにはまだ開いていないと思う。そこから新たなファイトがわき起こってくる
未知に賭ける事をやめた途端、青春は失われる
自分の立場や信念を純粋につらぬきとおし、独自の仕事を創造的に進めていこうとすれば、とうぜん大きな無理解にぶつかる。右から叩かれ、左からこづかれ、後ろから突きとばされる。多くの作家はそういう抵抗に耐えかねて、無難な仕事の方に逃げてしまう。
誰にも肌ざわりがいいように、手ぎわよく作品をまとめ、ひたすら丸く──。そういう作品は本質的な矛盾をはらんでいないから、退屈でやりきれない
極端な言い方をしよう。褒められるどころか、むしろ逆に向こうがヘコタレ、困惑するような現代日本を突きつけ、押し出すべきだ。もし我々にそういうヴァイタリティが無いなら、文化も芸術もへったくれもない
政治──経済──芸術この三つがこれからの社会に必要な三権分立であり、人間存在、人間社会における三権分立だ
けっきょく人間は、自分の生命から溢れ出る本物の喜びがなければ満足できないんだよ。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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