マリア・コニコヴァ
行動経済学が教えていることは、
人間にはバイアスがあるということ。
そしてわれわれが正しく判断を下そうと思えば、
このバイアスを排除するための思考術が欠かせない。
「きみの場合は、見るだけで観察しないんだ。
見るのと観察するのとでは、まるっきりちがう。
たとえば、きみは、玄関からこの部屋へあがる階段は
何度も見ているだろう?
ぼくは一七段だと知っている。
それは見るだけでなく、観察しているからだ」
大陸をまたにかけてプレイボーイぶりを発揮した
ワトスンが、ジャスミンの香水をつけた女性と
付き合ったことがあったとしたら、どうなっただろう?
その付き合いが幸福なものだったと仮定しよう。
手紙の匂いを嗅いだ彼は、
突然はっきりと物が見えるようになるだろう
(幸福な気分では、視野が広くなる)
★初期設定効果(デフォルト・エフェクト)
私たちはデフォルトのオプションをそのまま利用し、
実際には別のオプションの方がいい場合でも、
変えるためのエネルギーをかけようとしない。
迷っているときの脳は、推論から一般化までの
推論プロセスのあらゆる段階でいちばん楽な方法を選ぶ
二つのことが同時に起こる可能性は、
そのうちのひとつが起こる可能性より高くなりえない
「不可能なものをひとつずつ取り除いていけば、
あとに残るものが、どんなにありそうもないことでも、
それが真実だということを、
これまで何度も言ったじゃないか」
古代ローマの哲学者で詩人のルクレティウスは、
世界に存在するいちばん高い山は
自分がそれまでに観察したいちばん高い山と同じだ
と信じている人間を、馬鹿と呼んだ
人間が学習するのは、主として、報酬予測誤差
(RPE リワード・プレディクション・エラー)
というものに駆られてだ。
期待していたよりもやりがいがあると、
RPEによりドーパミンが脳内に放出されることになる
★自信過剰が増大する主な情況
1.困難に直面したとき
(事実をあますところなく知ることができない場合に
どうしても判断を下さなくてはならないとき)
2.自信過剰は慣れとともにふくらむ
3.自信過剰は情報量とともに増大する
4.自信過剰は行動とともに増大する
(積極的に携われば、自分のやっていることに
自信がついていく)
★このようなバイアスをどうすれば排除できるか
・自分のものの見方から離れれば離れるほど、
より広い状況を考えることができるようになる
・相手の個人的な特質によって判断を曇らせてはいけない
・観察したものからのみ推理し、
それ以外のものからはしない
エンジンオイルをOEMする時にも
こんなバイアスは取り除かねばなりませんね。
阿修羅の正義になってはいけない。