『ラクして速いがベスト』

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松本利明

違う視点を入れることが、仕事においては決定的な差を生むことがある。特に人事的視点は、「評価」と密接に結びついているだけに重要なのですが、ブラックボックスのためか、なぜか仕事術ではあまり触れられていません。

〇かつて、名著『トヨタ生産方式』で、大野耐一氏は「ムダ」を以下の7つに分類しました。(偶然、この本も1978年刊です)
加工のムダ
在庫のムダ
造りすぎのムダ
手持ちのムダ
動作のムダ
運搬のムダ
不良・手直しのムダ

このなかでも「不良・手直しのムダ」に着目し、これをなくすための方法を徹底して議論しています。

〇サラリーマンの「ムダな努力」
1.一生懸命がんばるけれども、やり直しが多い
2.すべてに全力投球で、疲れ果てる
3.責任感を持ちすぎて、仕事を抱えすぎる
4.根回しに労力と時間をかけすぎ、疲弊する
5.上司の指示通りにやるが、結果が伴わない

結局、サラリーマンにとって仕事の納品先は上司であり、そことのコミュニケーションに失敗すると、すべてがムダになる。
では、どのようにコミュニケーションし、仕事を進めれば良いか。人事のプロしか知らない視点を入れた。

個人の作業スピードをどれだけ上げても、生産性は上がりません。
自分の作業時間よりも、上司、関係部署、取引先といった他者とのやりとりの中で生産性は決まります

やり直しは、生産性とモチベーションを一気に下げます。
ではどうすればいいか。実は簡単。確認やチェックの回数を増やせばいいのです「1つ確認ですが」という言葉が便利です。これなら、仮に理解の行き違いがあったときでも、誰かの責任になることはありません

最初に確認するのは「納期・品質・用途」といった相手の期待値。
「会議で発表する資料を全部つくってほしいのか、考えを整理するためのたたき台をつくってほしいのか、エクセルで表とグラフだけつくってほしいのか」仕事の依頼者にしっかり確認しましょう
60点で出すメリットは3つあります。
1.方向性を確認できる
2.相手に突っ込ませて、ゴールを明確にする
3.いじわるな上司対策

相手が「何を重要と思っているか」を正しく聞き出し、その順番に沿って話していけば、合意をとりやすくなります。これでもかみ合わないときは、次の4つを相手と共有しましょう。
1.テーマ(何について話すのか。例:クーラーを買い替えたい)
2.論点(どんな点をもとに判断するか。例:クーラーの価格、ランニングコス   ト、保証期間と内容)
3.結論(何を伝えたいのか。例:B社のクーラー)
4.根拠(なぜその結論なのか。例:15年使うなら、電気代とクリーニング代、  保証を入れるとB社のほうが安くなるから)

「やりたい仕事」は捨て、「勝てる仕事」に注力する

メール返信は「1行」でスピーディに!

〇スケジューリングのコツ
1.ミーティングや外出は日程を絞って固める
2.1週間の疲れ度合いを想定して日程を固める
3.その日の「気分」を想定して予定を固める
4.1日の予定は6時間で見積もっておく

悪い壁は、あなたの前に立ちはだかり、根回し・意思決定を遅らせる。いい壁は、今の仕事に集中できるように、余計な仕事や飛び込み仕事をブロックしてくれる。

“表の組織図”にダマされずに、“裏の組織図”で本当のキーマンを見つける

仕事の生産性を組織全体で考える視点を持つ。

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