ファンが本当に求めている物は?

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和田裕美

〇その会社のファンになる1番の要因は何か?
1.企業&ブランドのインパクト19%
2.製品・サービスの提供19%
3.コストパフォーマンス9%
4.営業体験53%

半数を占めたのが営業体験である。顧客との対話で大事なのはヒアリングではなく、顧客がまったく気づかない考え方や課題に対する会話である。顧客は買いたいモノやサービスの会話を求めているのではないので、通り一遍の営業トークでは通用しない時代になった。
顧客は必ずしも自分の課題やニーズに気付いているとは限らず、まだ気が付いていない潜在意識を刺激するような質の高い会話にこそロイヤルティを感じる。

〇顧客以上に顧客を知る
相手の話をしっかりヒヤリングするだけでも仲良くなれる。じっくり話を聞いて共感してくれる相手に、人は親近感を抱く。しかし、ビジネスの関係を築くには、相手がまだ気づかない課題を見つけて、「もしかしたら、こんな悩みがあるのでは?」と推測できるスキルが求められる。それを見つけるためには、ただ聞き上手になって相手を知るだけでは足りない。相手の情報をできる限り取り入れて「もし自分がこの人だったら?」」を自問して徹底的に想像する。

自問する時のポイント
1.どんな選択をしたらより良い人生になるのか
2.どんな人生が一番幸せなのか
3.抱える恐怖やトラウマは何だろうと喜びと恐怖の両軸で想像する

そんな営業を顧客は、どう見てくれるか。この営業と会話すると気が付かなかった視点を教えてもらえる。危険を回避できる方法を教えてもらえる。色々な選択肢を見せてもらえる。それらを選ぶための的確なアドバイスがもらえる。そんな風に営業を高く評価し、ファンになっていく。
そのためには、顧客以上に顧客のことを知り、マーケットにも熟知しておくという厳しさがある。圧倒的な想像力と知識量で顧客と関係を築ける営業が、根強いファンになってもらえる。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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幸せな社会を創る

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矢野一男、ハピネスプラネットCEO
関西経済同友会、地方自治委員会

幸せは、楽な状態ではない。前向きな状態だ。幸せは、生産性や創造性を高め、心身を健康にし、離職を防ぎ、経済性をも高める。
個性や性格とは違う。前向きな姿勢は練習で身に着けることができる。

HERO 幸せにする4つの力
1.HOPE 道は見つかると信じる力
2.Efficacy 現実を受け止めて踏み出す力
3.Resilience 困難に立ち向かう力
4.Optimism どんな状況も楽しむ力

幸せで生産性が高い集団には、信頼できる関係がある。そして幸せな人が周りを幸せにしている。
職場には三角形のコミュニケーションが必要。仕事においては指示や依頼、報告などの用件を伝えるコミュニケーションになりがちだ。ここで上司→部下の縦の関係だけでは駄目だ。同僚との横や斜めの繋がりを持つことが必要だ。
三角形の繋がりは地域コミュニティづくりでも活用している。地域の成長とは、つまり人の成長である。人は心しだいでいくらでも変わる。ITで三角形の繋がりをサポートし、良い組織、サービス・地域づくりに役立てたい。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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『ブッダのことば 』

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北川八郎

釈尊
「まず自分を正しく整え、次いで他人に教えよ。そうすれば煩わされて悩むことが無いだろう。他人に教える通りに、自分でも行え。自己は実に制し難いからである。」
本当に自己は制し難い。人に忠告するのは簡単である。人に良きことを説きたければたくさんの本を読み、そのことばを伝えれば良い。しかし、頭で考えたことや、自分がなし得ないことをいくら説いたところで、ことばに光や、重みがないので、人の心にはしみ込まない。
自分が体験し、苦しみ、そして平安や、安らぎを得て…釈尊のいわれる「先ず自分を正しく整えて」…初めて、人に喜びを与える感動等がことばになる。その時こそ平凡な、使い古されたことばでも、人の心を打つ。ことばにエネルギーが乗り、人の心に飛んでゆくからだ。

〇NHKのTV番組で、ある県の健康大会の模様を中継していた。
その中で、司会者を挟んで両側に東大の先生が座り、タバコの害をしきりにグラフや数字で示していた。喫煙がガンの原因になることを説き終わり、「ところで、両先鋭も、タバコは吸われないんですよね」と司会者がいった時、二人とも「いえまだ吸っています」と答えた。その瞬間、今までの講義内容は苦笑とともに消え去ってしまった。東大の先生であろうと…まず、「自分を正しく整え、次いで他人に教えよ」と2500年前に釈尊は教えている。そうすれば、その東大の先生が信を失うことはなかったであろう。たくさん良きことを口にしていると、それが自然に自分の耳に入り、自分が少しずつ正されてゆく。良きことを行い、良きことを口にし続けると、自分が少しずつ修正されて澄んでくるのが解る。自分がなさないことを口にして、人を諭すのを名づけて口善人と呼んでいる。私自身への警告である。口善人と呼ばれないために、出来ないことは口にしない。

〇親でも教師でも、経営者でもリーダー的な立場にある人が、口で言っていることと、やっていることが違ったら、誰もついてこなくなる。
自分を修めることができていない人は、人にモノを教えたり、導いたリすることはできない。親は、往々にして、自分ができなかったことを子供に要求する。教師も、経営者もまた然(しか)り。他人に言うのは簡単だが、自分を律することはまことに難しい。口善人と呼ばれないために…いくつになっても、自分の行いを律し、身を修めなくてならない。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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『腹を立てないこと』

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小林正観

《どんな問題も腹を立てることで解決はしません》

大切なのは、どんなことがあっても腹を立てない、戦わない、ということ。腹を立てることで問題を解決することはできないのです。
社会ではこんな極悪非道なことが起きている、あの人はこんなにひどいことをした…社会現象や事件に対して論評したり、他人の評価やうわさ話をしたりすることはやめて、自分はそうしない、と決めるだけです。それらのことをした人を非難、糾弾したりする必要はまったくありません。

人間は根本的なところでは、ものすごく美しい心を持っていて、自分の心の中で良心が芽生えることで、その問題は解決していきます。大切なのは、私が実践者になること、私が太陽になることです。

〇「怒ったら負け」
よくテレビなどで議論していて、突如激昂して大声で怒鳴りつける人がいる。それを傍から見ていると、「ああ、怒ったから負けたな」「この人は、ニセモノだな」と思う。議論では追いつかなくなり、大声で相手を圧倒し従えようとする、その態度が見えてしまうからだ。どんなに相手から大声で怒鳴られ、挑発されても、涼しい顔をして最後まで冷静に、声も荒げずに、淡々と言い返す人はカッコいい。しかしながら、これがいざ自分のこととなるとなかなか制御できない。

〇怒りを制御する
「怒りそうになったら6つ数える」というメソッドがある。怒りをコントロールする技術「アンガーマネジメント」の「怒りをしずめる」方法だ。6秒間思考停止すると、怒りやイライラがおさまる。「 大切なのは、私が実践者になること、私が太陽になること」腹を立てないこと…口先だけでなく、実践する。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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『心は喜ぶことを好む』

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浜松医科大学名誉教授、高田明和

「喜び」はすべてをよい方向へ動かします。これを強く主張したのが、江戸時代の神道家で、1850年に70歳で亡くなった黒住宗忠です。彼は修行がようやく実を結ぼうとしたところ、7日間の間に両親を失い、しかも結核になってしまいました。医師も見放し、絶望の淵をさまよっていましたが、ふとしたことから心の本質を悟りました。同時に、この本当の心は喜ぶことを好むと悟ったのです。
それからは、周囲の人が気がおかしくなったのではないかと思うくらい、絶え間なく笑ったといいます。するとさしもの結核も次第に治ってゆき、ついに病が完治したのです。この体で当時70歳まで生きたことは、彼のやり方が正しかったことを示しています。

彼は手紙の中で、「人は陽気ゆるむと陰気つよくなるなり。陰気勝つときは穢(けが)れなり。穢れは気がかれることで、太陽の気を消すなり。そこから種々いろいろなことが出来(しゅったい)するなり。何事もありがたい、ありがたいにて日をおくりなされ候はば、残らずありがたいになり申すべきなり」と述べています。
さらに彼は修業者に対しても、「何ほど道を守っても、心陰気になれば、出世はなりがたく候、なにとぞ春の気になってご修行あそばされるように」と忠告しています。

この世で成功した人を見ると、なんとなくそばにいたい、いっしょに話したいという雰囲気をもつ人ばかりです。人は本来、仏の心の持ち主ですから、相手の明るい心と付き合うのを好むのです。それにひきつけられるのです。
ですから明るい心の持ち主は仲間や支持者を得ることができ、それが成功につながるのです。

人はひとりでは何もできません。しかし人間が集まり、争いを起こさないというのも難しいことです。この困難を可能にするのが、明るい心です。
明るい心は相手の心を覆う雲を消散させ、心の光を発揮させます。このように知らず知らずのうちに心の光が輝くようにさせた人は、相手になんともいえない幸福感を与えます。これがその人にひきつけられる理由なのです。

心は明るさを求めています。これを自覚し、人に自覚させるには、つねに明るく、笑いにあふれる人物になることが必要なのです。笑いましょう。少しのことにも喜びを見出し、笑いの材料にしましょう。欧米でもユーモアをもつ心は最大の美徳とされているのは、こうした理由があるからなのです。
人の持っている明るさはすぐに伝染する。明るさは、 上機嫌な人に宿り、不機嫌な人には寄り付かない。そして、上機嫌な人は、いつも陽気で、笑いがたえない。「心は喜ぶことを好む」いつも機嫌よく、笑いのたえない人生を。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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『斎藤一人 大開運 』

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(斎藤一人&千葉純一)

「俺は出世して偉いんだ」とかって思って天狗になってる人は、あんまり神社にはいかないかもね。だけど、どんなに偉くなっても神社に行く人は、「なんだかわからないけど、世の中には、すごい存在があるんだ」って信じてるの。

だから、神様の前では頭を下げるんだよね。あまりに自分の力頼みばかりしていると、人は傲慢になっちゃうんだよね。でも、自分の力をはるかに超えた絶対的なもの、すごいものがあるんだっていうことになると、人は謙虚にいられるんだよ。「何か絶対的な、宇宙を創った存在がいるんだ」とか「それに比べたら自分はちっぽけな存在だ」とか、こういうのがないと謙虚さがなくなってしまうの。

ただ、こういう神様の話は2割くらいで、残りの8割の日常生活は、自分でしっかり生きていないといけない。何でも神様ばかり頼ってちゃいけないよっていうことだよね。だから、バランスでいえば、神事(かみごと)は2割で、仕事は8割くらいがいいよね。ただね、これは私の考えだから、もっとピンとくる話があったら、そちらに従ったほうがいいよ。そこで仮に間違ったバランスになったり、誤った行動に出てしまったりしても、それは、その人が人生の勉強の時期にあるということなんだよ。

たとえば、仕事もしないで神頼みばかりしている人は、それがちょっと極端なバランスだということを前世で学んできていないの。だから、今世で学んでいる最中なの。間違った行動をしているのは、勉強をしているだけなの。

どれくらいお酒を飲めるかは、人によって違うよね。ビールを10杯飲んでも平気な人もいれば、1杯飲んだだけで青くなって吐いてしまう人もいる。ここで平均値を持ち出してみても、バラバラなものを集めて平らにならしただけの数値だから、ぜんぜんアテにならないよね。自分がどれくらい飲めるかは、実際に飲んでみないとわからないんだよ。
神事と仕事のバランスも、要するに、これと同じことなの。自分で実際にやってみて、しっくりくるバランスを見つけるしかないんだよ。そうすると、観音参りでも何でも、自分にちょうどいいのは月に1回だなとか、わかってくるよ。私にとっては「神事2割、仕事8割」くらいがちょうどいい。だけど、「じゃあ、そのようにするんですね」と言って、自分で何も考えもせずに従おうとするのは、ちょっと違うよ、ということなの。

神事と仕事との比率は、年齢によっても、その人の立場によっても違う。人は、人生の後半を折り返した頃からは、あの世にだんだんと近づいてくる。その人の寿命があるので、人生の後半は人によって違うが、一般的に50歳を過ぎ、60歳を過ぎれば、あの世にはますます近づいてくる。あの世に近づいているなら、現世の勉強も大事だが、あの世の勉強をもっとしなければならない。つまり、神事やお寺の時間を増やすということ。

立場とは、神職やお寺の住職は別だということ。神主さんやお坊さんは、若いうちから神様や仏様の修行をし勉強するのはあたりまえだから。謙虚でいるためには、神事を忘れないこと。そして、同時に…神事と仕事のバランスを大事にする人生。

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「話がわかりやすい人」と「わかりづらい人」の決定的な差とは

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本多正識:漫才作家・吉本興業NSC講師

「話がわかりやすい人」と「話がわかりづらい人」は何が違うのでしょうか。実はその違いは1つしかありません。正解は「相手に合わせた話し方ができているかどうか」です。
「単純なことを」と思うかもしれませんが、長いことお笑いの仕事をしていて今でも大事だと感じることの1つです。

お笑いを例に出しましょう。お笑い芸人になると最初は舞台で漫才やコントを披露するところからはじまります。大阪を中心に幾つかの舞台をまわることになるのですが、最初に気がつくことがあります。それは「同じお笑いファンでも劇場によって客層が違う」ということです。みんな同じお笑いファンなのに、ウケるポイントが違ったり、空気が冷たかったりするのです。

加えて、もう少し芸を磨いていくとさらに新しいことに気がつきます。それは同じ劇場でも曜日や時間帯が違うと客層が違うということです。そのため披露するネタは同じだったとしてもただそれをこなすだけでは笑いが起きず、ウケたあとの舞台でスベることも起こり得るのです。つまり、話す内容や披露するネタは同じでも、話し方や伝え方だけで面白くもつまらなくもなるということです。

ですから自分が今相手をしている人はどんな人なのか考えながら話すことが何よりも大事なのです。子ども向けなのか大人向けなのかというのもありますし、時間帯も大事です。相手がどんな考え方なのかなど、とにかく相手に合わせて自分の話を伝えることではじめて話は伝わります。

話題を戻しましょう。ですから、「話がわかりやすい人」というのは言葉選びであったり、声のトーン、タイミングなど、基本的に聞いている側のことを考えて話をしているのに対し、「話がわかりづらい人」は自分の言いたいことを言いたいように言っているだけなのです。
たとえば、ミスした直後で、バタバタしているときに説教をされたら、内容が良かったとしてもほとんどの人が「言われなくても悪いと思っているのに」と感じるのではないでしょうか。逆に少し落ち着いたタイミングで諭すように説教をされたら「たしかに、こういうところは改善できるよな」と自然と頭のなかに内容が入ってくるかと思います。

言っていることや話の内容はいいのに、話し方の部分で損をしてしまってはもったいないですから、ぜひ意識してみてください。

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『修身教授録』森信三を読んで

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経営コンサルタント・小宮一慶

森信三先生は教える側の心得として「人を教えようとするよりも、まず自ら学ばねばならぬ」と言われていますが、まさにそのとおりだと思います。私もお教えする立場ですが、やっぱり自分自身が常に高まっていかないと、人にものを教えることなどできません。

また、読書は「心の食物」であると、実にうまい表現をしておられます。食事を欠けば肉体を養えないのと同じように、思索をする人にとって読書以上に優れた心の養分はないと。

その他にも勉強になる言葉がいろいろありましたが、私がよく引用させてもらうのは次の言葉です。
「人生は、ただ一回のマラソン競走みたいなものです。勝敗の決は一生にただ一回人生の終わりにあるだけです。しかしマラソン競走と考えている間は、まだ心にゆるみが出ます。人生が、五十メートルの短距離競走だと分かってくると、人間も凄味が加わってくるんですが  」
人生は長丁場でマラソンと似たところがありますが、しかしマラソンだとばかり思っていては、ここぞという時に全力を出し損ねることがある。普段からこれ以上はできないというくらい全力でぶつかっていると、能力は僅かずつでも上がっていくもので、特に若いうちにその習慣を身につけた人は強いと私は思います。

また、いまの自分の心に響いたのが、「真の誠とは、その時その時の自己の『精一杯』を尽くしながら、しかも常にその足らざることを歎くものでなくてはならぬ」という言葉です。
目一杯力を尽くしながらも、自分はまだまだ不足であると感じ、どこまでも精進を重ねる。本書には「目の前のことを精一杯やる」という記述がよく出てきますが、私もそこに強く共感するとともに、それが即ち「誠」ということなんだなと教わりました。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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『残酷すぎる成功法則』

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エリック・バーカー

ウィンストン・チャーチルはイギリスの首相になるはずがない男だった。“すべて完璧にこなす”政治家とほど遠い彼が首相に選ばれたことは、衝撃的な出来事だった。たしかに切れ者ではあるが、その一方で偏執的で、何をしでかすかわからない危険人物というのがもっぱらの世評だったからだ。

チャーチルは26歳で英国議会議員になり、政界で順調に頭角を現したが、次第に国家の要職には適さない人物だと見られるようになった。60代を迎えた1930年代ともなると、その政治的キャリアは事実上終わっていた。いろいろな意味で、チャーチルは前任者のネヴィル・チェンバレンの引き立て役に甘んじていた。チェンバレンといえばすべてを完璧にこなす、まさに典型的なイギリス首相だったからだ。

イギリス人は、首相をうかつに選んだりはしない。たとえばアメリカの大統領と比べて、歴代の首相は概して年長で、適正を厳しく吟味されて選ばれるのが通例だ。異例の早さで権力の座に上りつめたジョン・メジャーでさえ、アメリカ大統領の多くに比べ、首相職への備えができていた。

チャーチルは、異端の政治家だった。愛国心に満ち溢れ、イギリスへの潜在脅威に対してパラノイア的な防衛意識を貫いた。ガンジーさえも危険視し、インドの自治を求める平和的な運動にも猛反対した。チャーチルは自国を脅かすあらゆる脅威に声高に騒ぎたてるチキン・リトル(臆病者)だったが、まさにその難点ゆえに、歴史上最も尊敬される指導者の一人となった。

チャーチルはただ独り、早い段階からヒトラーの本質を見抜き、脅威と認識していた。一方チェンバレンは、ヒトラーは「約束をしたら、それを守ると信じられる男」という考えで凝り固まっていたので、宥和政策こそナチスの台頭を抑える方策だと確信していた。ここぞという重大な局面で、チャーチルのパラノイアが本領を発揮したといえる。
いじめっ子に弁当代を渡したら最後、もっと巻き上げられるだけだ、奴の鼻を一発ぶん殴らなければならない、と見抜いていたのだから。

チャーチルの熱狂的な国防意識…危く彼の政治生命を滅ぼしかけた…は、第二次世界大戦前夜のイギリスになくてはならないものだった。そして幸運にも国民は、手遅れになる前にそのことに気づいた。

偉大なリーダーの条件は何だろうか。
ハーバード大学ビジネススクールのムクンダは、それまでの研究結果に一貫性がなかった理由が、リーダーが根本的に異なる二つのタイプに分かれるからだと分析した。
第一のタイプは、チェンバレンのように政治家になる正規のコースで昇進を重ね、定石を踏んでものごとに対応し、周囲の期待に応える「ふるいにかけられた」リーダーだ。
第二のタイプは、正規のコースを経ずに指導者になった「ふるいにかけられていない」リーダーで、たとえば、会社員を経ずに起業した起業家、前大統領の辞任や暗殺により突然大統領職に就いた元副大統領、あるいはリンカーンのように予想外の状況下でリーダーになった者などを指す。

「ふるいにかけられた」リーダーはトップの座に就くまでに十分に審査されてきているので、常識的で、伝統的に承認されてきた決定をくだす。手法が常套的なので、個々のリーダー間に大きな差異は見られない。
しかし、「ふるいにかけられていない」リーダーは、システムによる審査を経てきていなので、過去に“承認済みの”決定をくだすとは限らない…多くの者は、そもそも過去に承認された決定すら知らない。“バックウラウンド”が異なるので、予測不可能なことをする場合もある。その反面、彼らは変化や変革をもたらす。ルールを度外視して行動するので、自ら率いる組織自体を壊す場合もある。だがなかには、少数派だが、組織の悪しき信念体系や硬直性を打破し、大改革を成し遂げる偉大なリーダーもいる。

「ふるいにかけられた」リーダーはことを荒立てずに済まそうとする。「ふるいにかけられていない」リーダーは逆で、ことを荒立てずにはいられない。システムや制度を破壊することもしばしばしばだ。
「ふるいにかけられていない」リーダーはなぜインパクトが大きいのか?それはほかのリーダーと決定的に異なるユニークな資質を持つからだ。ユニークな資質とは、日ごろはネガティブな性質、欠点だと捉えられていながら、ある特殊な状況下で強みになるものだ。
そうした資質は、たとえばチャーチルの偏執的な国防意識のように、本来は毒でありながら、ある状況下では本人の仕事ぶりを飛躍的に高めてくれるカンフル剤になる。ムクンダはそれを「増強装置(インテンシファイア)」と名づけた。

この概念こそが、あなたの最大の弱点を最大の強みに変えてくれる秘訣なのだ。古来よりの歴史をひもとくと、世の中が引っくり返るような大変化のときには、通常の指導者やリーダーでは対応できない。ある種の狂気や、パラノイア(偏執症)を持った人が危機を救っている。もちろん、その資質ゆえに、状況を悪化させたり、ダメにしてしまっている人もいる。

現代は、ITによる超大変革の時。通常の対応では、ほとんどの会社も、組織も生き残れない。政治も同じだ。いまこそ、異端の人を認めなければならない時が来たのかもしれない。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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大人の筋活

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森谷敏夫、京都大学名誉教授

〇筋肉の役割
体を動かす。体を衝撃から守る。代謝をアップする。心臓の血液循環を助ける。免疫力を上げる。水分を蓄える。熱を作る。生理活性物質(マイオカイン)を作る。

筋肉は、歩く、走る、座るなど、生活のあらゆる動作に欠かせない。筋肉は単なる運動器にとどまらずに、衝撃から体を守ったり、糖質と脂質を燃やして熱をを作ったりする。
筋肉を動かしているのは脳。筋肉が動いている時は、脳も活発に活動している。最近は、筋肉から様々な臓器に働きかける生理活性物質(マイオカイン)が分泌されることが注目されている。その1つの脳由来神経栄養因子(BDNF)は、脳で学習や記憶を司る海馬を活性化し、認知症の予防や改善に繋がることが分かって来た。

筋肉はいわば、生きる力の源。筋肉が衰えないように体を動かすことは、健康的な日常生活を送る上でとても大切だ。必要に応じて刺激することで、体が動きやすくなるだけでなく、心臓も脳もハッピーになって、元気に自立した人生を送れる。大人の筋活の目的は、ここにある。

筋肉は、何もしなければ25~30歳ごろから1年に1%ずつ減っていく。筋肉は、瞬間的に大きな力を出すけれど持久力に乏しい速筋と大きな力は出ないけれど持久力のある遅筋で構成されている。加齢によって減りやすいのは速筋だ。
速筋は大きな負荷をかけなければ鍛えられないと考えられていた。しかし、近年の研究で、軽い負荷でもスピードを速くすると、速筋もそれなりに鍛えられることが分かって来た。つまり、筋力に自身の無い人でも、軽く動くこと繰り返せば、重いバーベルを上げ下げするのに近い効果が得られる。

〇筋肉が減るのは老化現象とは限らない。
宇宙飛行士を見ると、2週間無重力の中にいると筋肉が15%減少している。筋肉のエネルギー源である糖質が燃焼しないので、血糖値も悪くなっている。

筋肉の材料となる蛋白質を毎日3食しっかり摂る。蛋白質が足りないと、筋トレをしても筋肉は減っていく。筋肉をつけるため1日に必要な蛋白質の量は、体重1㎏に対して1.2~2.4g。体重が50㎏の人なら60g、朝昼晩各20㎏が目安だが、摂りきれてない場合が多い。
歳を取ると筋肉を合成する力が弱くなるので合成を促すロイシンなどの必須アミノ酸をサプリメントなどで補うのも有効だ。

筋トレなどの運動を行うと、刺激を受けた筋繊維の中で筋核の数が増える。筋核には筋トレの情報を記憶する装置=マッスルメモリーがあり、運動を辞めて筋肉が落ちても筋核自体は残る。なので、運動を辞めていた人も、再開すればマッスルメモリーが活性化して筋肉が効率よく合成される。

筋トレが苦手な人は、階段を使うように心がける。座る時間を短くする。テレビを見ながら足踏みをするなど、生活の中で、より多く体を動かすことから始めてみる。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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