『修身教授録』森信三を読んで

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経営コンサルタント・小宮一慶

森信三先生は教える側の心得として「人を教えようとするよりも、まず自ら学ばねばならぬ」と言われていますが、まさにそのとおりだと思います。私もお教えする立場ですが、やっぱり自分自身が常に高まっていかないと、人にものを教えることなどできません。

また、読書は「心の食物」であると、実にうまい表現をしておられます。食事を欠けば肉体を養えないのと同じように、思索をする人にとって読書以上に優れた心の養分はないと。

その他にも勉強になる言葉がいろいろありましたが、私がよく引用させてもらうのは次の言葉です。
「人生は、ただ一回のマラソン競走みたいなものです。勝敗の決は一生にただ一回人生の終わりにあるだけです。しかしマラソン競走と考えている間は、まだ心にゆるみが出ます。人生が、五十メートルの短距離競走だと分かってくると、人間も凄味が加わってくるんですが  」
人生は長丁場でマラソンと似たところがありますが、しかしマラソンだとばかり思っていては、ここぞという時に全力を出し損ねることがある。普段からこれ以上はできないというくらい全力でぶつかっていると、能力は僅かずつでも上がっていくもので、特に若いうちにその習慣を身につけた人は強いと私は思います。

また、いまの自分の心に響いたのが、「真の誠とは、その時その時の自己の『精一杯』を尽くしながら、しかも常にその足らざることを歎くものでなくてはならぬ」という言葉です。
目一杯力を尽くしながらも、自分はまだまだ不足であると感じ、どこまでも精進を重ねる。本書には「目の前のことを精一杯やる」という記述がよく出てきますが、私もそこに強く共感するとともに、それが即ち「誠」ということなんだなと教わりました。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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