「データを読み取る」 

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中村良平

データを読み取るには、規範的モデルと問題解決のストーリーが必要だ。つまり、「ここがこうだから、ここはこうなっているはず」そして「ここをこうすれば、ここがこうなるはず」といった因果関係の明確化、その関係についての仮説の確認や検証だ。

データの見方としては、他の市町村との比較のように横断面で見ることが1つ考えられる。もう1つは、全国の変化の状況と比較するように時系列でみる方法だ。その時に必ず意識しておく必要があるのが、因果関係を念頭に置いてデータを見るということだ。因果関係とは、たとえば「街の所得が大きいと、その街の小売り販売額は高くなる筈」といったことである。
また、「資本労働比率が高いと、労働生産性は高くなる筈」というモデルもある。対個人サービス業の場合、人口集積が高いとサービス効率は高まるので、「一人当たり収入額は、人口集積とともに高まる筈」という考え方もある。

所得と小売販売額の関係を例に挙げてみる。横軸に市町村の所得額、縦軸に小売り売上額をとる。県内市町村をプロットして、回帰線を表示する。これは、縦方向のばらつきを最も説明できるように導かれた所得と売上高の関係を示す基準線だ。各市町村は回帰線を挟んで、その上下に位置するが、なぜ乖離しているのかを考える事が大切だ。
例えば、所得の割に売上高が多い地域は、他から消費が流入していると考えられる。逆に、回帰線より下の市町村は、所得が地域の売上高に十分結びついていないことが分かります。その理由を考える事が、施策を考えるための次のステップになる。

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