簡単な能力開花の教育法

Pocket

「人生を創る言葉」より

大の里という大相撲の大関のお話。

小柄な体で新弟子のころは「鼠」と呼ばれて
兄弟子にこき使われていた。
苦労の末に大関にまでなったので後輩の指導には熱心であった。

後輩で後に同じく大関になった鏡岩という力士がいた。
鏡岩は大の里と同郷。
二段目で出世が止まりやる気を失い、
真面目に相手をしてくれる人がいなくなっていた

その時大の里が声を掛けた。
「おい、鏡岩。お前稽古が嫌ならしなくてもいいからな。
ただ、朝早く起きて稽古場に出てみろ。
俺に騙されたと思って人より早く出てみろ。
そうすればお前はきっと出世できる。うん、
俺が請け合うよ」

先輩から勧められたので断りかねて
鏡岩は騙されたと思って早く稽古場に下りた。
稽古をする気はまるでなかったが、
人の稽古を見ているうちに、だんだん身が入ってきた。

二日、三日と人より幾分早く稽古場に出ると、
自分も一番やろうという気が湧いてきた。
ついに一番とってみると面白い。それでまたやる。
というように、だんだん稽古をやって
いるうちに。停滞から脱出することができた。

関脇の綾川も同じく二段目で出世が止まって足踏みをしていた。
面白くないから稽古にも身が入らず、
気持ちにも僻みが出ていた。
その時にも大の里は同じことを言った。
「とにかく朝早く稽古場に出ろ。人に負けない時間に出ろ。
出さえすれば後はどうにかなる」
妙なもので、人より早く稽古場に出ると
多少なりとも優越感を感じて
稽古に励む気になってくる。
ちゃんこ飯もうまくなって体が大きくなり、
いつの間にか成績が上がって関脇になった。

大の里は常々こう話をしていた。
「これは相撲だけの話ではない。
どんな職業でも身を入れてやることができれば大したもの。

そうするのはわけはない。
勤め人なら人より5分早く出勤してみればいい。
それで”おお、お早う、お前はいつも早いなあ”と
友達に言われたら、それできっと仕事に身が入る。
それに引きかえ、”ああ、俺はダメだなあ。
誰も相手にしてくれない”などと、自分から遅れていちゃあ、
自分で穴を掘って自分を落とすようなもんじゃないか」

とにかく人より早く仕事場に行く。
それだけを続けているうちに、
全てが変わると大の里は教えている。

周りの見る目が変わり、本人自身もやる気になってくる。
そうなればしめたもの。
あとは放っておいても勝手に変わっていく。
これほど簡単な能力開花の教育法はないのではないか。

1日、与えられた時間は24時間。
これだけは人間だれにも与えられた平等なもの。
この時間を如何に自分が使えるようにするか。
効果的に使うことができるか。
私の場合、夜はすぐに眠たくなってしまうので、”朝”でした!

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

Pocket