『偉き人と完(まった)き人』

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渋沢栄一著作『論語と算盤』から

偉い人の要途は無限とは云へぬが 
完き人なら幾らでも必要な世の中である
 渋沢栄一

一般的に、リーダーシップが必要であるといいます。
リーダーとは目指すべき方向を定め、他を動員し、
ゴールを達成して成果を出す偉い人です。

ただ、栄一は指摘します。
偉い人はもちろん必要である。
しかしながら、そんなにたくさん必要ないのではないか、と。
偉い人は、ある意味で特殊な人物で、
どこか角が尖っているところがあります。
そのような尖った人たちがたくさん集まると、
角が多くなってコトが回らなくなり、
むしろ、逆効果になるかもしれません。

一方、「完き人」とは智情意というバランス感覚がある人
を示します。
それを栄一は「常識の人」としています。
バランスを保ちながら向上し続ける人材であれば、
共に働きながら共創することができます。

このような人材であれば、
世の中に活躍の場は無限にあるはずだ。
栄一はそのように考えました。

『偉き人』と『完き人』の違い
・偉き人
 性格等に問題があっても、その欠点を補って余る程に
 卓越した長所や能力がある者
・完き人
 性格的に偏りが無く、一切の常識を理解している 
 人間的に成熟した者

渋沢栄一いわく、完き人とは『常識人』であり、
それと比べると偉き人は『変態』である、とのことです。

「常識人とは、一切の偏りが無く、
智恵/情愛/意思のバランスが良い者」
ここから、『完き人』は智恵/情愛/意思の三要素の
バランスとれた常識人であり、
逆に『偉き人』とは智恵/情愛/意思のバランスは悪いが
いずれかの力が突出している人と言えます。

その視点から観ると、『完き人』と何かをやる時、
一緒にやっていき易(やす)いなと思います。
逆に『偉き人』はクセが強く、何かをやるにしても
上手く合わせてやらないと難しいなと思います。

完き人の輩出
渋沢栄一は、出来るだけ多くの『完き人』が
社会に必要であると言っていて、
『偉き人』も必要ではあるがそこまで多くなくて良いとも
言ってます。
確かに、能力があってもクセが強い人が多くいると
色々衝突とかありそうで一緒に何かをやる時大変そうですね。
ですので、出来る限り『完き人』の様なバランスが良い
万能な人を増やしたほうが
スムーズに物事は運びそうだなと思いました。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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