『教養としての上級語彙』

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宮崎哲弥

古代ギリシャにおける
「ヘレネス/バルバロイ」ではないですが、
人が語彙によって人を区別しているのは、
今でも変わらないと個人的には思っています。

それが専門用語であれ、組織内の言葉であれ、
教養語彙であれ、
人が語彙によって結びつきを強めるとすれば、
語彙を知っているか知らないかは、
個人が所属できるコミュニティを決定づける。

語彙は、偉そうにするために重要なのではなく、
自らが動ける経済圏を決定づけるからこそ、
重要なのです。

また、語彙があると、
世界を違って捉えられるようになる。

どれだけ多くの言葉を使いこなせるかが、
その人の認識や感覚の細やかさ、
思考の分明さや複雑さーー
総じて生きてある世界の豊かさを表す。

●しょけん【諸賢】多数の人に対して
敬意を込めて呼ぶ語。代名詞的にも用いる。
皆さん。「読者諸賢のご<健勝>を祈ります」

●じょうぼく【上木】印刷するために
版木に図書を刻みつけること。
書物を出版すること。上梓すること。
「自叙伝を上木する」

<ちりばめる>という動詞はよく使われる。
「散りばめる」とも書かれるが
正規ではなく、この表記から
「一面に散らしてはめる」という誤用というか、
正確ではない語釈が広まってしまった。
正しい表記は<鏤める>である

◎ちりばめる【鏤める】彫ってはめ込む。
ところどころを彫って、金銀や宝石、
真珠、螺鈿などをはめ入れること

●地(ち)を易(か)うれば
皆然(みなしか)り 
人はそれぞれ地位、境遇を異にするから、
行いや考えも異なるのであるが、
その立場を取り替えてみれば、
皆各々の立場にふさわしい言行となる

●謦咳(けいがい)に接(せっ)する
(目上の人物に)直接お目にかかる。
(敬している人に)お話をうかがう。
会うことの尊敬語

◎繁簡(はんかん)宜(よろ)しきを得る
詳密な部分と簡潔な部分のバランスが
程よいこと

●琴瑟相和(きんしつあいわ)す
琴と瑟とで合奏して、その音色が
よく調和している。
転じて、夫婦間の相和して睦まじいたとえ

●とが【都雅】洗練された上品さを
持っていること。
都(会)風の趣味のよさ。
雅やか。「都雅な暮らし」「都雅を極める」

●さんび【酸鼻】ひどくむごたらしいさま。
大変痛ましい様子。惨状。
「酸鼻を極める」

●糟粕を嘗める(そうはくをなめる) 
何の独創性や<創見>もなく、
先人の残したものをただなぞること。
「糟粕を嘗めるような、
新味のない企画はいらんよ」

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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