「政治経済の生態学」

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スヴェン・スタインモ

〇スウェーデン
第2次大戦後、福祉国家の代表と語られてきた。

ベルリンの壁の崩落後、新自由主義は世界に拡大した。
1990年代に社会民主党が下野した時、
「福祉国家の終焉」と論評された。
これも新自由主義の影響だった。

まもなく社会民主党は政権に復帰したが、
その政策を、変化する現実に適用・進化させねばならなかった。

高い教育水準、公共サービスの充実、
社会への信頼の高さは、変化の激しい世界経済の中でも
強みだった。

その強みを生かして、従来の製造業から、
知識生産で比較的優位を持てる方向へ舵を切った。

国家は、適応するか、消滅するかである。
進化は、変化を必要とする。

〇アメリカ
天然資源に恵まれ、分権的な政治制度を採り、
平等的な理想と反政府感情を重視する国に進化した。

リーマン・ショック以降、富・所得の不平等や
社会保護の弱さが前面に出て、
新たなシステムを構築できていない。

20世紀後半には、政治権力の分散が
統一性のある福祉国家の構築には不向きで、
大衆の政治権力への信頼が減退していたことは分かっていた。

一時、新自由主義の波に乗って、
金融を中心に繁栄を謳歌しているように見えたことが
国民の覚醒を遅らせてしまった。
状況は、今も変わらない。(2010年の時点で)

〇日本
敗戦後からバブル崩壊まで、
軽い税負担と雇用主ベースの福祉国家で高度成長を成し遂げた。

伝統的で階層的な社会が残存し、
強い中央官庁と弱い民主主義の組み合わせが、
少子高齢化やグローバル化に対応できなくなった。

21世紀に入って小泉政権が、
新自由主義的な改革を進めた。
しかし、進化論の立場からすると、
「グローバル・スタンダード」など存在しない
と悟るべきであった。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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