『人生を導く 先哲の言葉』

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伊與田覺

どんなに正しいと思って実行しても、間違っていたと気づくことがあります。孔子は、そうした過ちを絶対悪とはしていません。気がついたら改めればよい。むしろ、過ちと知りながらこれを改めないことを本当の過ちであると説いています。

『論語』に、「曽子曰(そうしいわ)く、吾日(われひ)に吾が身を三省(さんせい)す」とあります。孔子の弟子であった曽子は、他の優秀な弟子たちの間ではあまり目立たない存在でしたが、絶えず自分を振り返り、反省をして誤りを改めたことによって、孔子の教えを最も忠実に受け継いだ人と賞賛されました。

孔子自身も生涯を通じてこの三省を繰り返した人でした。そして、いかにすれば過ちを少なくすることができるかと研鑽を重ね、五十にして天命を知りました。それからは天と交流できるようになり、人に見えざるものが見え、聞こえざる声が聞こえてくるようになった。しかし孔子は、そこで思い上がることなく、ますます謙虚に学び続け、六十にして耳順(みみしたが)う境地に至りました。

人は年とともに体も心も硬くなり、頑固になっていくものですが、孔子は逆に誰の意見でも素直に聞けるようになったのです。孔子といえば、後世の私たちからすれば完全な人という印象があります。しかしその実像は、常に反省をし、足らざるを改める努力を生涯にわたって続けた人でした。

多くの弟子から尊敬を集めていましたが、自分は他人と少しも変わらない、いたらない人間なのだと学び続けた。その結果、七十にして心の欲するところに従がえども矩(のり)を踰(こ)えず、すなわち、自分の思うままに振る舞っても過ちを犯すことの少ない人生に、ようやく到達することができたのです。

孔子は七十三歳で生涯を閉じました。当時としては相当な長寿であり、まさに天寿を全うしたといえるでしょう。東洋思想では、年を取るほど立派になっていくことが理想とされます。

老朽(ろうきゅう)、老醜(ろうしゅう)という言葉が示すように、老いというのは一般的に否定的に見られがちです。しかし、こうした言葉とは反対に、老熟(ろうじゅく)、老練(ろうれん)といった非常に魅力的な言葉もあります。年を重ねるたびに人間が成熟し、練(ね)れていく。そういう生き方を目指していきたいと思うのです。

エンジンオイル、OEMの仲間の勉強塾より

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グローバリズム

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世界のビールビジネスの競争は、これまで規模拡大の競争だった。規模経済の追求により利益率を上げる。そこから生まれたキャッシュフローで買収を繰り返して成長してきた。

ところが、ここ数年、先進国では特徴あるクラフトビールの台頭が著しい。この様子は、世界の情勢とも似ている。

資本主義の行く末である規模拡大型のグローバルビールメーカー。これに対する、地域密着や文化・伝統を背景にする特徴あるビールメーカー。グローバルリズムと反グローバリズムを見ているようだ。

グローバル化で、かえって民族・宗教の対立は先鋭化している。異文化と共存できなくては、正しいグローバリズムではない。ビールは趣向の違いだから共存は簡単だが、後は、そうはいかない。

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「国家と石綿」

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 永尾俊彦

大阪の泉南地域に石綿産業が興ったのは、明治時代末期。軍艦には保温などの目的で欠かせない素材となっていた。第2次大戦後は、基幹産業を縁の下で支えた。泉南地域には、零細な石綿関連の工場が林立した。若い働き手は、在日コリアンや同和地区、離島、へき地の出身者たち。

斜陽化した炭鉱から移った人もいた。高度成長期、マスクなどの保護措置も施さず時には、子守をしながら労働する。やがて、かつての社員や家族、近隣の人々が、肺を病み、相次ぎ命を失っていく。

「知ってた、できた、でもやらなかった」は被害者らが提訴した国家賠償請求訴訟の標語だった。1937年には、ある国の機関は、石綿が呼吸器に悪影響を及ぼすことを把握していた。国際的な規制の潮流もあって、日本が全ての石綿を使用禁止したのは、2004年だ。

裁判で、被害者や遺族は不作為の国に勝利した。しかし、石綿被害は数十年先まで、万単位の患者が生まれる恐れもある。産業の興隆が痛ましい犠牲を生む事があってはいけない。これは、大きな教訓である。

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「民主主義の内なる敵」

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 ツヴェタン・トドロフ

民主主義の本来的な構成要素が、分解して暴走してしまった。それが機能不全の原因だ。それは、人間の傲慢によるものだ。

古代のアウグスティヌスとペラギウスの神学論争に、既に現れている問題だ。人間は、自らの意志によって、つまり神の恩寵の助けなしに、善なる世界を作りだすことができるのか。

民主国家は、人権擁護と自由市場という高邁な目的の為に、戦争を含む、あらゆる手段を正当化してきた。それは、人間が自力でユートピアを建設できると信じる政治的メシアニズムに他ならない。

革命的な千年王国思想の後継者は、全体主義や共産主義だ。それらの醜悪な敵に勝利した民主主義は、今や同じ脅威を自己の中に抱え込んでしまった。その結果、人民はポピュリズムに乗っ取られ、自由は過剰に擁護されて他者を傷つける。進歩する事は、強制となった。

近代啓蒙の自律的な人間は、原罪などと言う古めかしい教義を信じない。だがそれは、人間の限界を知る本来的な保守思想の一部なのである。

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「権力の終焉」 

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モイセス・ナイム

当選した時のトランプの選挙戦の背景を見る。期待感の革命と参入障壁の低下だ。期待感の革命とは、情報アクセスの進化がもたらした。

「どこか他に、もっと良い社会があるはずだ」という漠然とした改革への期待感のことである。トランプに期待したのではなく、漠然と改革に期待した。

参入障壁の低下とは、巨大な組織背景を持たない素人でも大統領選挙にエントリーできるようになった事だ。これらが現代社会の、あらゆる局面で不可逆的に権威の失墜を招いている。

一口に「民主主義」と言っても、その内容には、多数決選挙や当地の正当性、法の支配などいろいろな問題が含まれる。民主主義に勝る体制が他にないとすれば、後は各問題の行き過ぎを防ぎつつ、それをどのように上手く機能させるか、という調整の問題である。

トランプはどこまで傲慢を捨てて、中庸や調整という徳を出してくれるだろうか。当時から心配されていた。

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『人生に、寅さんを。』

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キネマ旬報社

男はつらいよ”の寅さんの名言

■若いときっていうのはな、胸の中に炎が燃えている、そこへ恋という一文字を放り込むんだ、パァーッっと燃え上がるぞ!

■燃えるような恋をしろ。大声だしてのたうち回るような、恥ずかしくて死んじゃいたいような、恋をするんだよ。

■日本の男は、そんなこと言わないよ。何も言わない、目で言うよ。お前のことを愛してるよ。すると向こうも目で答えるな。悪いけど、私あんたのこと嫌い。するとこっちも眼で答えるな。わかりました、いつまでもお幸せに。そのまま、くるっと背中を向けて黙って去るな。それが日本の男のやり方よ

■思ってるだけで何もしないんじゃな、愛してないのと同じなんだよ。愛してるんだったら、態度で示せよ。

■ああ、この人を幸せにしたいなぁと思う。この人のためだったら命なんかいらない、もう、俺死んじゃってもいい、そう思う。それが愛ってもんじゃないかい?

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「アメリカンドリームの危機」

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マイケル・サンデル

アメリカでは格差について、人々はあまり心配していなかった。我々は、いずれ上向くという信念があったからだ。貧しい出であっても、のし上がる事が出来る。それが、アメリカンドリームだった。

しかし、今はそうしたケースが急速に減っている。今は、アメリカにおいて貧しい生まれなら、その7割は、中間層にすら上がる事ができない。上位20%の層に入る率は、わずか4%だ。上位の層に上がる率は、今やヨーロッパが上だ。これは、アメリカンドリームの危機と言える。

もし、子供たちに「格差は心配しなくていい。君たちはのし上がる事が出来る」と言えなくなれば、もっと平等や団結といった事に注意を払わねばならない。そんな風潮は、ポピュリズムだけでなく、ナショナリズムも煽る。それが、一番の心配だ。

民主主義を再活性化し、資本主義とグローバリセーションの関係を向上させる。そうして、上位の人間だけでなくて、全ての人が利益を享受できるようにしなければ、重大な危機が訪れる。極端なナショナリズムや、耐えがたいポピュリズムが人々をさらに魅了するだろう。

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「トランプとマスコミ」

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 マイケル・サンデル

トランプはマスコミを非難するが、それは正しい部分もある。マスコミは、本来の役割を十分に果たしていない。センセーショナリズムとセレブ中心の政治ばかりに目をやっている。

予備選挙の段階で、トランプがテレビに出演して手にしたお金は20億ドルにもなる。彼は、いつも放映中に暴言を吐き、それが視聴率を上げたからだ。彼が、マスコミを馬鹿にするのは当たり前だ。

これは、大統領選挙に関しては、責任ある報道方法とは言えない。エンターテインメントか、暴言を見るためのものに過ぎない。民主主義の未来も、責任あるニュース源とメディアの報道姿勢に掛かっている。

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『珠玉のことば』

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《裁く者は裁かれる  裁かない者は裁かれない 
許す者は許される  許さない者は許されない》 (キリストのことば)

自分の体験で言い換えると「投げかけたものが返ってくる。 投げかけないものは返らない。 愛すれば愛される。 愛されなければ愛されない。 嫌えば嫌われる。 嫌わなければ嫌われない」

投げかけたものが返ってくるというのが、宇宙の大法則です。笑顔をずっと周りの人に投げかけていれば、いつの間にか自分の未来が笑顔に囲まれるのです。そして、不機嫌をずっと投げかけていれば、いつの間にか不機嫌に囲まれるのです。投げかけたものが返ってくる。投げかけないものは返らない。

キリストはなんと20何歳の若さでこのことに気がついていたようです。「裁く者は裁かれる。 裁かない者は裁かれない。 許す者は許される。 許さない者は許されない」このことが分かれば、自分の損得勘定として、人を裁かないほうがよさそうだということに気がつきます。人を許したほうが得策であるということにも気がつきます。

思いやりのある言動をとること、笑うこと、感謝することを、試してみましょう。こんな短いことばで、人生の非常に大切なことをキリストは教えてくれていたのですね。

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『生きるんだよ』

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石川洋

《偉くならなくていい立派にならなくていいお役に立つ人になることである》

生まれてくるときには赤子は掌(たなごころ)をにぎりしめている
そのこぶしを開くとき人間の活動が始まるのである
結んで開く生命の躍動である問題は何と結ぶかである

楽な生き方と手を結ばないこと
うまい話しに手を出さないこと
利の多い仕事に手を染めぬこと
結び方を間違うと自滅の道を歩む
心して無慾の縁を選ぶことである
よい仕事に汗をかくことである

エンジンオイル、OEMの仲間の勉強塾より

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