言葉に込める誠の心を意識する

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早樫一男

子供は生まれてすぐに単語を獲得する訳ではない。
最初は「アー」「ウー」といった声を発する。
これが肺機能や口唇機能などの成熟に伴って、
次第に「バブバブ」といった喃語になっていく。

声には、母音と子音がある。
母音は吐き出す息を唇や舌で妨害しない時に生じる音。
子音は吐き出す息を唇や舌で妨害させて生じる音。
こうしたことから、息吹分けによって
言葉が生まれていることが理解できる。

「ブーブー」「マンマ」など片言を話し始める頃には、
声と意味が繋がりだし、1歳を過ぎると、
大人と同じような言葉で
コミュニケーションできるようになっていく。

言葉の広がりには、音声模倣も不可欠だ。
話すと聞くとは裏表。
聴き分ける働きが十分に機能しているからこそ、
新たな言葉が獲得できる。

幼児期における言葉の発達の遅れについて
相談を受けた時は、
聴覚と口腔機能の確認から始める。
口腔機能とは、唇を調節して息をまとめて吐く力や、
咀嚼力、飲み込む力などを指す。
おもちゃのラッパを吹かせたり、
少し硬いものを噛ませたりと、
意識的にトレーニングすることで、
言葉を発する力もついてくる。

何気ない一言が相手を傷つける場合がある一方で、
悩み苦しむ人を勇気づけることができるのも、
また、言葉の持つ不思議な力である。

相手との関係性によって、
言葉に含まれるメッセージが変わるのも不思議だ。

たとえば、ある女性が義母に対して、
「長生きしてね!」と声を掛けた場合。
義母との関係が良好か険悪かによって、
更には、声のトーンやアクセント、
表情や態度が加わる事によって、
伝わるメッセージが真逆になる。

否定的な思いを抱きながら、
口では異なる表現をすることは
「嘘と一緒」として戒められている。

言葉は、空気と同様に当たり前のモノではない。
人間にのみ与えられている言葉の不思議さに感謝して、
まずは日々の言葉に誠の心込めて、
その使い方を意識していきたい。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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