一人で死を迎える時代

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斉木乃里子

介護は、まず家族が担い、
手に負えなくなれば施設に預ける。
今後は、そんな常識は通用しない。

高齢者の増加に対して、就労人口が減るため、
家族どころか、施設の人員すらいないのが普通になっていく。

当然、家族に囲まれたり、施設のスタッフに見守られて
最後を迎える姿も無くなる。
多くの人が、一人で死を迎える事になる。

覚悟し、納得しながら死を迎えられるようにするため、
個人や社会は何ができるだろうか。

個人レベルでは、自分の終末について考えをまとめ、
周囲の人に提示することが重要だ。
財産整理が中心の終活にとどまらず、
精神的にも社会的にも納得できる
死の迎え方について、
それぞれが語り合える場が必要である。
それは社会にとっても、
知識や経験の蓄積に繋がる。

社会の側でも、一人で暮らす者同士が、
支え合うシステムを作っておく必要がある。

その前提となるのは、ある程度まで、
自分や周囲のケアができる住民を増やす事だ。
その上で、自立した住民が
ボランティアや有償サービスに参加する
仕組みが出来上がれば、
介護サービスの人材不足にも対応できる。

ただし、人々の自立には、
介護の体験教室などの充実が欠かせない。
子供の頃から、老いや介護について
学ぶ機会も増やさなくてはならない。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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