勤勉だが受け身の日本人

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太田肇、同志社大学教授

年次有給休暇は他国では100%近く捨得されている。厚生労働省の調査によると、日本人は48.7%と半分も取得していない。
また、非正社員を除く一般労働者の平均年間総労働時間は2026時間と主要国の中では突出して長い。これらの数字を見る限り、日本人は、相変わらず勤勉そうだ。

ところが、ワーク・エンゲージメント(仕事に対する熱意)の調査を見ると、日本人の仕事への熱意は最も低い水準にあった。
日本人の仕事に対する受け身で消極的な姿が浮かび上がる。労働生産性の国際比較を見ると、日本は1990年代に順位が低下し始め、92年以降は主要7か国の中では最下位が続いている。

最も高い米国に比べると6割強しかなく、その差は拡大傾向にある。国際競争力も、92年の1位から急低下し、現在も浮上の気配は見えない。
日本の順位が下落した時期は、IT革命が起き、ソフト化、グローバル化が進行した時期と重なる。
経営環境の変化によって社員に求められる意欲・能力は大きく変わった。日本企業の特徴である集団的なマネジメントと、勤勉だが受け身の働き方は通用しなくなっている。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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