罪滅ぼし

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城山三郎
いくら生活は簡素にといっても、余程、努力しないと生活はひとりでに膨らんでいくでしょう。

土光敏夫
それが膨らまない。ワシには5人の子供がいるんですが、部長の時に親類に言われた。「お前、みっともないから、お手伝いを置け。」僕は、取り合わなかった。

城山三郎
奥さんは大変ですな。

土光敏夫
僕はワイフをフリーにしてますから、彼女は気楽にしていますよ。

城山三郎
5人の子供を育てながら、旦那様の世話もするのは大変でしょう。

土光敏夫
その代り、僕はあんまり面倒みて貰わなかった。朝飯を食わして貰うとか、ふんどしの洗濯ぐらいで。

城山三郎
奥さんは、当然の事としてなさっていたんですか。

土光敏夫
当然だよ。ブーと言ったら追い出すもの。

城山三郎
そういう女房教育のコツは何ですか。

土光敏夫
ワシは会社では仕事だから、いろんな要求を出す。ただし、家へ帰ってきたら小言は一切言わぬ。飯が不味いとか、あれが食いたいとかは言いませんから、ワイフは楽なもんですよ。

城山三郎
もし現役を、お退きになったら、奥さんを罪滅ぼしに、どこかに旅行に連れて行かれるとか。

土光敏夫
そんなことは、しませんね。罪なことは、していませんから。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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