『ブランディングの科学』

Pocket

バイロン・シャープ

マーケティングで大事なことは「事実」であるということ。データを見れば明らかなことが分からないために、多くの企業が間違ったマーケティング施策を打っている。

下の表1、マーケティングの仮説を見ていただきたい。もしあなたがこれらの憶測の多くを正しいと考えているなら、あなたの実施しているマーケティング戦略の多くは間違っている

表1:マーケティングの仮説
・ブランドの差別化を図ることは、マーケティング上の重要な仕事である
・ロイヤルティを測定することで、ブランドの規模ではなく、強さがわかる
・新規顧客を開拓するよりも既存顧客を維持する方が安い
・価格販促は市場浸透率を押し上げるが、ロイヤルティには影響しない
・どのブランドを相手にして闘うかは、ブランドイメージのポジショニング次第  である
・マスマーケティングは過去の遺産である。競合上の優位性を発揮することはもはや不可能である
・消費者が自分の担当するブランドを選ぶには、それなりの理由がある
・自分が担当するブランドを選ぶ人はユニークな存在である
・売り上げの80%以上が最も購買頻度の高い顧客の20%からもたらされている

これらのすべてが正しいと言うなら、これは大変なことです。

現実的には、同じマーケットシェアを有する2つのブランドの市場浸透率はほぼ同等であり、従ってその平均購入回数も同じになるはずだ

『ダブルジョパディ(Double Jeopardy)の法則』
つまり、売り上げが低いのは、ブランドの購買客数が少ない上に購買頻度も低いという2重苦を背負っているためである

ブランドを成功に導くための戦略は、市場浸透率を伸ばすこと

クロスセリングが優れていたというエビデンスはどこにも見ることはできない

マーケットシェアの成長のためには顧客基盤を拡大することが何よりも重要

ブランドが1年間で何人の顧客を失うかは、そもそも何人の顧客を獲得しているか次第だ

毎年、車ブランドは、その売り上げの半分を新規顧客から、別の半分を既存顧客から獲得している

マーケターは顧客の離反をコントロールできない

売り上げの変化は、市場全体の購買傾向の変化、すなわちヘビーユーザーからライトユーザーへ、さらにノンユーザーへ移行するときの購買傾向の変化に起因している

マーケティングは、ライトユーザーとノンユーザーにリーチできたときに最も成功する

バニラアイスクリームを買う人とストロベリーアイスクリームを買う人はまったくの別人ではないということだ。存在するのはアイスクリームを買う人であり、バニラを買うこともあれば、たまにストロベリーを買うこともある。それだけのことだ

実に多くのブランドが想像以上に多くの顧客を共有している。逆に重複が極端に少ないブランドも存在している

購入機会が多ければ多いほど、人は多くのブランドを購入する

ライトユーザーのように商品を頻繁に購入しない消費者はより大きなブランドを好む

◆消費者がブランドを認識・理解・想起するポイント
・色(例・コカ・コーラやボーダフォンの赤色)
・ロゴ(例:マクドナルドの金色のアーチ)
・キャッチフレーズ(例:ナイキのJust do it.)
・シンボル/キャラクター(例:ミッキーマウスの耳)
・セレブリティ(例:ナイキのタイガー・ウッズ)
・広告手法(例:マスターカードのプレイスレスキャンペーン)

「よく考えたらそんなに購買頻度なんて上げられないよな」など、思い込みによるマーケティングがいかに危険かを思い知らされる。

出版業界も今、毎年進む市場規模の縮小に苦しんでいますが、そもそもライトユーザーを取り込む戦略が欠如している。(出版業界は、本を読む人にばかりアプローチしている)

マーケティングの思い込みを排除し、真実のマーケティングを追求する。

エンシンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾

Pocket