『社会は変えられる』

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江崎禎英

どんな大人の事情があろうと、どんなに実行が困難であろうと、「おかしいものはおかしい」という勇気が必要です。特に、最近の問題は、一個人、民間企業では解決できないレベルの問題が多く、社会みんなが団結する必要がある。国を思う熱い論調と、おかしいものはおかしいと言う勇気、そして現実的な提言。

本来であれば誰もが健康長寿を謳歌できているはずなのに、実際には「食べ過ぎ(バランスの悪い過剰な栄養)」と「運動不足」、そして現代社会特有の「ストレス」という新たな障害を自ら作り出して健康を害しています。実際、どのような病気で医療機関を受診したかを示す医科診療費を見ると、その半分以上が生活習慣病や老化に関する疾患なのです
仮に医療の高度化によって費用が高くなるのなら、その高度な医療によって患者はどれほど幸せになっているのでしょうか

2周目(「還暦」を迎えた後の期間)を生きる人たちには、これとは別の役割を担っていただきたいと考えます。それは1周目の人たちを支えることです。具体的には、地域コミュニティの維持、子育ての支援など安全で住みやすい社会の構築です

お年寄りから役割や活動の自由を奪うことが認知症の温床であり、フレイルを助長している
自覚症状のない人に自覚を促すためには、分かりやすい制度設計が必要となります。例えば、健康管理への取り組み(健康状態ではありません)を昇進の際の評価項目にすることです。健康診断で注意されても何もしない社員は、将来的に他の職員及び会社が支払う保険料の大半を使っていくことになり、会社に損失を与えるからです
重症化一歩手前にいる人が生活習慣を改善すれば、およそすべての生活習慣病の予防になる

がんと認知症が「逆相関」にあることはよく知られています。具体的にはがん患者には認知症の症状を示す方が少なく、同時に認知症患者にはがんを発症している方が少ないのです
現状では医者にとって患者に正確な情報を積極的に伝えようというモチベーションが低いのが実情です。そこで「効いた抗がん剤にしか薬剤費を支払わず、同時に効いた薬の薬価を大幅に引き上げる」制度(後述)を導入してはどうでしょうか

交渉とは闘うことではない

今後開発が期待されるのが、「楽しんでいるうちに健康になる」、「健康になると得をする」サービスを付帯した保険商品です
超高齢社会の街づくりに向けたもう一つの提案が、地域の仕事や役割がセットになった高齢者向け住宅です。サ高住(サービス付き高齢者住宅)ならぬ、「シ高住(仕事付き高齢者向け住宅)」です

最後に、「この本が出ると、風当たりが強くなって仕事ができなくなるかもしれない」と言った私に、「大丈夫ですよ。今度は私が働きますから」と笑顔で背中を押してくれた妻由里香に感謝しつつ、本書を息子誠英に託します。
明治維新から150年。われわれは今こそ、国の未来を真剣に考え、正すべきものは正す、そんな時期に来ている。

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