プログレッシブキャピタリズム 

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ジョセフ・E・スティグリッツ

資本主義は、新自由主義者が主張するほど効率的でもないし、安定している訳でもない。一生懸命働けば成功できるとするアメリカンドリームは、もはや神話に過ぎない。多くの労働者を置き去りにする形でグローバル化や金融の自由化が進展し、技術革新によって一握りの企業に市場支配力が集中した結果、経済は低迷した。

ゆがんだ民主主義によって、限られた成功の果実が極めて不平等に分配されてきた。経済を成功に導くためには公平なルールが必要だが、政治によって、特定の階層に有利にルールが決められてきた。自由競争のためのルールは骨抜きにされ、捻じ曲げられてしまった。

まずは、大半の市民が恩恵を受けられるように、アンバランスで、利己的で、近視眼的な政治の大胆な改革が不可欠だ。今のままでは、経済的分断が政治的分断を生み、政治的分断が新たな経済的分断を引き起こす悪循環に陥る。
一部に権力が集中するルールを改革し、万人を豊かにする進歩的な資本主義社会の構築が急務だ。累進的税制などの採用によって、機会均等や社会的公正を回復させることは可能だ。しかし、それには法の支配を通じて権力者から一般市民を守るという米国本来の価値観に立ち返り、多数派の意見が反映される体制が必要である。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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