「時間を大切にする欧米人」

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斉藤峰明

日本とフランス、両方で生活していると、日本にいる時の方が、あっという間に時間が過ぎて行く。どこか、時間に追われている感覚がある。
日本には、細かい行事が沢山あるからだろう。しかも、自分ではなく他人や組織が決める公的な行事が大半だ。行事の多くが、形式的で受け身になりがちになる。

日本でも、大人数で長時間にわたる会議を多く経験した。それは、報告会なのか、物事を決める場なのか判然とせず、参加が目的になっているものが多い。
欧米では、自分の時間を大切にする。それ以外にも、時間に関する特有な感覚がある。

エルメスでは、革の原価よりも、制作にどれくらいの時間を掛けたかで、バッグの値段を決めるように、時間に敬意を払い重んじる文化があった。
何かを企画する際に、「時に、必要な時間を与えよう」とか、議論が行き詰ると「時が、熟するのを待とう」と、よく耳にする。やみくもに結果を急がない。時には、解決を時間に委ねようという考えだ。今の時間を、けっして無駄に消費しない。

ドイツ人の妻でも、百貨店を20分ほど回り、見つからなければ、あっさり諦める。時間との付き合い方をわきまえ、振り回されずにコントロールするのが得意だ。
時間に解決を委ねたり、振り回されないようにしたり。物事の価値に見合った時間を見極める眼力を重んじる。
時間を有効に使う術を、フランスの生活は教えてくれる。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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