お笑い芸人の原語学

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吉村誠

お笑いタレントの話が面白いのはなぜか。結論は明快だ。暮しの中で家族や友人と話す「生活ことば」を駆使し笑いの起点にしているからだ。

例えば、ツッコミで「何をしているの」とかしこまった標準語で語るよりも「何やってんだ、この野郎」とした方が共感を得やすい。日々の営みで生まれた言い回しを聞くのは、人間にとって自然な事で、親しめるからだ。更に、日常こそ無尽蔵の笑いがある場だと気付いてネタにした時、これほど威力を持つ事は無い。

その事にタレントも放送人も長く気付かなかった。戦後は、番組制作の東京一極化が進み、標準語が主流だった。ビートたけしが言葉の標準化にあらがい、出身の下町の言葉に固執。島田紳助もリーゼントに作業服姿で不良の若者言葉を繰った。この革命が喝采を浴び、今に至る方向を決定づけた。今やドラマなどでも生活言葉があふれかえる。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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