「抗癌剤信仰」がもたらす不幸

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大西睦子、米国在住内科医

FDA(米食品医薬品局)は、新しい治療薬を欲しがる患者の期待に沿うために、抗癌剤の承認を急いでいる。しかし、実際はほとんど効果の無い新薬だ。

〇「2002~14年に承認された71の抗癌剤の延命効果は、古い抗癌剤に比べて、わずか2.1か月だった。全体的に見ると、過去10年間、癌患者の生存率はほとんど変化していない。さらに、新規抗癌剤の多くは、生活の質も改善できていない。」米国立癌研究所、ティト・ホジョ博士

〇「2008~12年の間にFDAによって承認された抗癌剤18種類を調査したが、どれも延命効果は無かった。1種類のみ生活の質が向上したが、2種類は、かえって生活の質に悪影響を及ぼした。FDAの承認においては、臨床的に有益であるという証拠が欠けている。FDAは、迅速に抗癌剤を市場に出すために、臨床研究において、抗癌剤の効果を評価する指標を変えている。かつては、「生存率」だったが、今は、「腫瘍の縮小効果」や「病気が進行するまでの時間」である。つまり、癌の大きさが小さくなれば、延命や症状が改善しなくても、抗癌剤の効果があると判定されるわけだ。」国立健康研究センター、ダイアナ・ズッカーマン博士

〇「患者は、恐怖と絶望の中で抗癌剤の延命効果を知り、可能なチャンスを手に入れようとする。ところが、延命効果は実現しない事が多い。それどころか、副作用と破産のために、人生の最後の3か月を惨めに終える。これは、公平だろうか。」スウェーデン緩和ケアサービス、エリン・リー博士コメント

Chem.Dr.イチロー2017年06月07日 11:56オプジーボは画期的な抗癌剤ですよ。しかし、約30%の癌にしか効果がありません。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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