日本経済が復活する処方箋

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 加谷圭一

まずは、日本企業の生産性を高める。同じ金額を稼ぐのに、日本は米国に比べ、より多くの人が働いている。日本企業は基本的に雇用が過剰だからだ。日本企業には、仕事はないが会社に籍があるという従業員が400万人もいる。これは全従業員の1割に相当する。この社内失業者が転職、別の仕事に従事すればその分、生産性を上げることができる。そのためには、転職をしやすい環境をつくる必要がある。

もう一つは薄利多売を辞めること。生産性は企業が生み出した付加価値を労働量で割ったものだ。生産性を上げるには、利益を増やすか社員数を減らすかの二つしかない。日本では大量生産全盛時代の名残りなのか安い商品をたくさん作ってしまう傾向が今だにある。しかし、消費マインドを掴んだ商品なら高くても買ってくれる。企業の利益は増え、その分、賃金は上昇し、購買力も増加する。その好循環で全体の個人消費も拡大する。生産性を上げることで、経済を回せる。

コロナ危機は日本が、国内消費を主体とした小国にシフトするきっかけになる。人口減が進んでいるが、裏を返せば一定の生活水準を維持した1億人以上の国内市場がまだあることに気づかねばならない。

価値観を共有しない中国と一定の距離を保つには日本は中国への輸出には依存せず、完全な消費主導経済にシフトする必要がある。日本は従来の輸出立国主義を脱却し、内需に軸を置いたコンパクトな消費国家に代わる変わるべきだ。1億人の市場があれば、国内市場だけでも十分な利益を得ることができる。日本では自国に優れた技術力と輸出競争力があることをいまだに前提として議論をしている。もう、そんな力は消え失せかかっているのに。

エンジンオイル、OEMの仲間の経営塾より

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