老人党

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寺島実郎、日本総合研究所会長

「英国のEU離脱は、統合欧州に残留することを期待した若者たちの未来を老人たちが奪ってしまった。」有権者に占める高齢者の割合が高まる。政治への影響力を増す老人党が、英国をEUから離脱させた。他の国でも、老人党は影響力を強め、民主主義は、ますます機能しなくなっている。

老人党の問題
●財政面では、次世代へのツケ回しに歯止めがかからなくなる。高齢化と同時に経済成長が鈍化する。民主主義は、ますます機能しなくなる。日米欧に民主主義が定着した時代には、高い経済成長があった。増えるパイを分配するのは、優しい。しかし、減るパイの分配となれば、利害が対立し、困難が伴う。歳出が歳入を上回るならば、歳出をカットするか、歳入を増やすしか財政再建の方法は無い。しかし、社会保障費に抜本的なメスが入らない。これは、歳出の最大要因である。しかも、今後も増大するのは確実である。
●既に破綻している経済政策アベノミクスを支持する。「とにかく株価を押し上げる」は、何でも有り。官製相場まで使って株価を押し上げるからだ。資産を保有する高齢者は、アベノミクスしか選択肢はない。団塊世代は、日本が右上がりの時代にサラリーマン生活を送った。可処分所得は増え続けたので、一定の貯蓄と資産を確保できた。地方から上京したサラリーマンが、郊外に一戸建てを持ち、住宅ローンを払い終えた。これが一般的な高齢者像だ。金融資産が高齢者に偏在する理由もここにある。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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