日高洋祐、牧村和彦、井上岳一、井上佳三・著 

タイトルのMaaSとは、Mobility as a Serviceの略で、
マイカーを脱却し、マイカーと同等かそれ以上に魅力的な
統合モビリティサービスを提供しようとする試みの総称です。

MaaSには4段階のレベル、

レベル1=情報の統合(マルチモード移動計画、運賃情報)
レベル2=予約・支払いの統合(単一トリップ化(検索、予約、決済))
レベル3=提供するサービスの統合(パッケージ化、定額制、事業者内の連携など)
レベル4=社会全体目標の統合(地域政策との統合、官民連携)

現在の情報革命のほとんどは、社会や人の動き、お金の動きが「ス
ムーズ」になるように進んでいますが、おそらくはモビリティもそうなっていくのでしょう。

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これまで移動が不便だったエリアにMaaSが導入されてスマートに暮らせるようになると
不動産価値の上昇が見込める

自動運転が実用化されたことを前提にすると、
世界のMaaS市場規模は2035年には8000億ドル(約90兆円、1ドル=112円換算)、
2050年には7兆ドル(約784兆円)に達するとの見方もあるほどだ
(米インテルと米ストラテジー・アナリティクス調べ、17年発表)

行政主導として世界で最も進んだ取り組みが、
前出のフィンランドのMaaSグローバルによるMaaSアプリのウィムである。
1つのアプリでルート検索から予約決済まで行えるだけではなく、
定額のサブスクリプションモデルとなっている点がウィムの最大の特徴である。
また、アンリミテッドプランのようにタクシーの利用を5km以内乗り放題とすることで、
公共交通の課題であるラストワンマイルを補完し、
鉄道アクセスの手段としてタクシーを位置づけていることもポイントだ。

MaaSグローバルによると、ヘルシンキのウィム登録者は6万人を超え、
10~20%が毎月定額料金を支払っているという。
ヘルシンキの人口は約63万人なので、既に約1割がユーザーということになる。

ウィムユーザーの利用前後の交通行動の変化も報告されており、
利用前は公共交通(48%)、マイカー(40%)、二輪車(9%)であったものが、
利用開始後には公共交通が74%と大きく伸び、マイカーが20%に半減。
それまで、あまりなかったタクシーでの移動が5%に増加したという

公共交通事業者の主導で先進的なMaaSの取り組みの代表例は、スイス連邦鉄道(SBB)

自動車メーカー主導でMaaSに取り組んでいる代表的なプレーヤーは独ダイムラーの子会社Moovel(ムーベル)

フィンランド政府は、MaaSの実装に当たって法制度も改革している。
16年9月に、交通事業に関する個別の業法を廃止すると共に、
すべての交通事業者がデータをオープンにし、チケットや支払いに関するAPIをも
公開することを義務付ける交通サービス法(Acton Transport Services)へ一本化をした

西ヨーロッパでは1人当たり300ユーロ(3万9000円)を支払っていて、
モビリティ関連の支出は情報通信の10倍もあるのです。
もし私が事業を日本で展開し、人口の5%だけでも顧客になったとしたら、
NTTドコモより大きな売り上げになることでしょう。

しかし、移動に関する支出額の大半、実に85%がクルマの保有コストといわれ、
鉄道やバス、タクシーなどに対しては十分にマーケットが開かれていません
(MaaS Global CEOサンポ・ヒータネン氏)

東京23区と大阪市では自動車の分担率は15%を切っている。
東京・大阪の中心部では公共交通が整備され、クルマに頼らない暮らしが実現している

世界では行政機関がMaaSオペレーターとして名乗りを上げている例もある
。世界に先駆けて始めたのが、かつての自動車大国、米国
のロサンゼルス市役所である。
市役所がゼロックスと共同開発した「GoLA(ゴーエルエー)」は、
ロスで最も注目されているルート
検索のアプリだ
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「人の動くところに需要が生まれる」
この原則から行けば、このMaaSはもはや車業界、交通業界に限らず、
全産業に影響を与える重要な革命です。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より