無能唱元
夏の暑い日盛りに、私はタクシーに乗りました。
やりきれませんなあ」と話しかけてきた。
皆さん、天気のことで人にあいさつするという意味は、
「私はあなたと仲よくしたい」ということです。
交流分析という精神分析法によると、
これは裏面交流という呼びかけです。
「暑いですな、やりきれませんな」というあいさつに、
同病相憐れむという心境で、
イントネーションを相手よりもっとグレーに、
マイナスにして、「ほんと、たまりませんよ」と答えれば、
お互いに「よかった仲よくなった」とこうなるんです。
ところが、ここに落とし穴がある。
困ったことに、天気のあいさつのほとんどが
マイナスの言葉なんです。
そこで、うっかり同調すると危ない。
「いや実に暑いねえ、やりきれませんなあ」。
そこで止まればいいんですが、「お客さんの商売は」
「〇〇です」「どうです景気は」「だめですな」と、
無意識のうちに、言葉がどんどんマイナスのものに
なっていきやすい。
マイナスの言葉を口にするのに努力はいらないが、
プラスの言葉を見つけるには努力がいるんですね。
「お客さん、暑いですね、うっとうしいですね」
と言われたら
「暑いですね」とまず答えてもいいんです。
「しかし、きょうは何か空気が乾いてサラッとしてます。
軽井沢にでも行ったような気分ですね」と私は答えたんです。
するとその時の運転手さんは、気まずそうに沈黙してしまった。
私のほうから同じネクラの返事がなかったからです。
この私のようなやり方は、多分まわりからあるていど
反発をうけるかもしれません。
それは世の中が圧倒的に否定型、マイナスのことに
満ちているからなんです。
しかし、マイナス好きな人が多いというのは、
非常に有利なことです。
なぜなら競争者がほとんどいない、ということなんですから。
あなたはこれで非常に成功しやすくなる。
じめじめした梅雨どき、「毎日、雨がかり降って、
うっとうしいですね」と言われて、
「まったく、洗濯物が乾かなくて」と、
イントネーションも泣き調、これではいけない。
「でも、アジサイの色がきれいじゃありませんか」
「農作物には恵みの雨ですね」なんて、
もう一生懸命にプラスのものをほじくりだして言う。
ここが大切です。
我々は、普段自分の使っている言葉に支配されている。
しかし、言葉は自分で選択できるんです。
だから選び方しだいで、言葉を支配することができる。
このことは実に大事です。
心して、日常使用する言葉を選んでください。
日常自分が何気なく語っている言葉を見張っていて、
たとえば「できない」という言葉が口からでそうになった時、
パッと口を押える必要がある。
そして、できそうもないと思いつつも、
「できる」と自分にウソを言う必要がある。
ウソでもいいから「できます」と言う。
「これ以上無理」と言いそうになったら、
「もっとやれる」と言う。
「疲れた」とよく言いますね。
「お疲れでしょう」「ええ、もうグッタリ」なんて答えたら、
疲れが、どっとでてきちゃう。
「いや大したことありません」、クタクタでも
そう言わなければならないんです。
愚痴や悪口、うわさ話などが好きな人と話をすると、
つい自分も愚痴や悪口、うわさ話を言ってしまう。
その人との関係を壊したくないと、
つい合わせてしまうからだ。
特に、悪口やうわさ話は、神さまから試されている
「引っかけ問題」のようなもの。
対処法としては、基本的にはそういうマイナスの人とは
深く付き合わないこと。
しかし、たまたまどうしても会ってしまったり、
仕事の関係上会わなければならない時などは、
修行と思い、一生懸命にプラスのものをほじくりだして、
明るい話題にもっていく努力をすること。
「マイナスの言葉を口にするのに努力はいらないが、
プラスの言葉を見つけるには努力がいる」
だからこそ、世の中は圧倒的に否定型、
マイナスのことに満ちている。
どんなときも、プラスのものを探しだそう。
エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

