企業の不正を滑りやすい坂道論で捉える

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ダン・アリエリー

不正は、滑りやすい坂道論で説明できる。一度悪い行動をすると、人はそれを正当化する。その為に次のステップに進む時にハードルが低くなる。私たちは不正からでも自己満足と利益を得たい。それを少しずつでも実現する道を見つけて、次々とエスカレートする。最初の不正は、ほんの些細なことでも、どんどん坂道を滑り落ちてしまう。なんて酷いことをしたんだと思うが、ストレスなどの条件が揃えば、誰でも、このステップを踏む可能性がある。

私たちは、他の人が何をしているのかを見て、何が普通なのかを機判断する。悪い文化を持つ企業なら、働いている人は周囲を見て、どこまでズルが許されるのかと不正を正当化し、一緒に滑りやすい坂道を作るようになる。滑りやすい坂では下に向かって滑っていくが、上に向かうことはできない。不正を容認するような社内文化を放置したまま、少しだけ改善しても、根本的には何も変わらない。

車内の文化を変えるためには、徐々にではなく劇的な変化が必要だ。悪習を把握したうえで、企業の体質をリセットし、正直に働く文化を持つようにしなくてはならない。正直さが鍵だが、これは努力を要する。
米グーグル社では会議中の発言などが倫理的がどうか確信を持てない時に、これはグーグリー(グーグルらしい)かと、常に問う文化が根付いている。このように常に倫理的に考える習慣を植え付けなければ、不正をする文化は無くならない。

人々が不正な行為に誘惑される前に、節目ごとに正直に行動するよう誓約させる。西洋の裁判では、証言する前に聖書に誓わせる。これは証言者を事後ではなく、事前に正直な状態に導くための行為だ。正直でないといけないと意識させることで、重要な判断局面に来た時に不正する意識を抑制することは可能だ。

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