『ほめ言葉の力』

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精神科医、和田秀樹

人をほめるのが苦手という人はたくさんいます。「照れくさくていい出せない」「どうほめていいかわからない」そういった素直な理由だけでなく、中には複雑な理由をあげる人もいます。「下心があるみたいでイヤだ」「わたしがほめて喜ぶんだろうか」と考えてしまう人です。

ところが相手は違うのです。特別な評価を求めているわけではなくて、「たまにでいいから」「少しでいいから」ほめてもらうと嬉しくなり、いい気分になったり、安心したりするのです。
たとえば仕事が終わらなくて遅くまでデスクに向かっているときに、上司や先輩がひと言、「頑張ってるな」と声をかけてくれるだけでも嬉しくなります。

ほめ方は、短くてかんたんな言葉でいいのです。「いいね」「ちゃんとしてるなあ」「羨ましいなあ」といった、自分の気持ちをそのまま表した言葉でいいのです。そういった言葉をふわっと投げかけるだけで、相手は嬉しくなります。嬉しくなったらそれで十分ですね。ほめられたのと同じです。

だからたとえば、「ありがとう」とか「助かった」といった何でもないひと言でもいいのです。言ってもらうだけで嬉しくなるような言葉はすべて、ほめ言葉です。そう考えていくと、「ほめる」というのは温かい言葉をかけることなんだと分かってきます。短くてかんたんなコミュニケーションですね。

人をほめるというと、構えてしまって、「相手のいいところを見つけて」「相手が感動するような言葉かけよう」などと思ってしまいがちです。しかし、ほめるとは、相手が喜ぶこと、嬉しくなるようなこと、だと思えば、もっと簡単な言葉で、気軽に言える。

簡単な言葉とは「よくやったね」「みんなのおかげ」「あのときは嬉しかった」「それ、おもしろいね」「元気そう」「たいへんねえ」「お疲れさま」「調子はどう?」「よかった」

誰に対しても、温かい言葉をかけられる人になろう。

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